Ⅰ.当センターの特徴
- 当センターは、基本的には小児科医(特に小児神経科医)が中心となって診療を行っています。
- 子ども達はストレスを受けたとき、自分の心の中の不安や緊張などを言葉で表すことが苦手であり、身体的な不定愁訴(頭痛、腹痛、全身倦怠感など)を主に訴え来院します。
- このような身体症状を有する子ども達(小児心身症)への対応や乳幼児期からの発達障害(自閉症やADHD、学習障害など)の診断や治療に小児科「特に小児神経科あるいは小児心療内科」の立場から診療します。
- 思春期年齢となり「こころの診療科」での対応がふさわしいと考えられる患者さん(学校や社会生活で不適応を生じている方々)は、「こころの診療科」教授 井原裕先生と協力して診療を進めています。
Ⅱ.小児心療内科とは?
- 心療内科は心身医学を内科の領域において実践する診療科です。
- 心身医学とは、病気を身体だけでなく、心理・社会面をも含めて、それらの関係性を評価しながら統合的に診療します。
- たとえば、頭痛、斜頸、書痙、本態性高血圧、不整脈、消化性潰瘍、過敏性腸症候群、上腹部不定愁訴、潰瘍性大腸炎、慢性疼痛、過呼吸症候群、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症、糖尿病、肥満、自立神経失調症、更年期障害、摂食障害など心療内科治療の対象は多岐にわたりますが、主体は心身症の診療です。心身症とは病名ではなく身体の病態です。
- 心身症の定義は「身体疾患の中で、その発症や経過に心理社会的な因子が密接に関与し、器質的ないし機能的障害が認められる病態をいう。ただし、神経症やうつ病など他の精神障害に伴う身体症状は除外する(日本心身医学会, 1991)」となっています。
- 心理的因子としては、「ストレスの関与」などが問題となりますが、幼少時の体験(虐待など)、性格、社会的スキルなどの問題も関係が深いのです。
- 社会的因子としては、家族関係に問題がある、地震や交通事故などの災害によるトラウマなどがあります。
- 機能的障害とは、例えば過敏性腸症候群、頭痛、倦怠感など、器質的異常は検査で認めないが、明らかに一つの器官の働きに機能的異常があって起こる障害です。
- 心療内科的アプローチでは、まず医師は全人的医療を行います。そのためには身体全体を診られる医師である必要があります。
- 次に、身体と心の相関(心身相間)の病態に焦点を当て診断と治療を行うことになります。
- 前述のように、子どもたちは心の中に渦巻くストレスを言語化して親に伝えることが難しいのです。うまく伝えられないストレス、どのように対処したら良いか分からないので不安を抱えやすい。この点では、小児科医の診療姿勢は最も心療内科のコンセプトに近いと言えるだろうと考えられます。
Ⅲ.当センターの診療の特徴
- 摂食障害治療プログラム:
- 心理的治療としての外来院内学級:
- 発達障害への薬物療法:
- 発達障害への療育:
- ソーシャルスキルを高める目的の親子グループ(臨床心理士による)
- グループ、個人療育(言語療法士による)
- 音楽療法(音楽療法士による)
医師、臨床心理士、看護師のチームによる包括的入院治療
(問題行動のないお子さんの場合小児病棟で入院治療が可能です。すでに150人の治療を行っています)。
何らかのこころの問題(適応障害、摂食障害、不安障害など)のある不登校の患者さんに対して外来通院形式で医師・臨床心理士が心理治療の一環として運営し、グループ心理療法として効果を上げています。
薬物療法は患者さんの状況に応じて慎重に行っています。
特にAD/HDの治療(メチルフェニデート、アトモキセチン)、自閉症への治療(リスペリドンなど)を行います。また、発達障害のお子さんはてんかんを合併することがあり、てんかんの薬物療法も行います。
Ⅳ.診療実績
- 平成22年度:
- 外来新患数 月平均 40人。
- 月平均延患者数 650人。
- 発達障害40%。
小児心身症30%
神経症・抑うつ状態10%
てんかん10%
その他10%
