病理診断科の紹介

病理診断科とは

病理診断科では病理検査を行っており、現在直接患者様と接する機会はほとんどなく、臨床各科の下支え的な役割を果たしています。

具体的には臨床各科の先生方が病変部の組織を採取したものを、我々が顕微鏡で観察して診断します。組織の採取が可能であれば、全身の病変が検査対象となります。

病理検査は大きく、組織診断、細胞診断、病理解剖に分かれます。

組織診断

組織診断では手術など治療前に、診断目的で病変の一部を採取(内視鏡、生検針、切開などで)して行う生検があります。例えば胃内視鏡検査で癌を疑うような病変が見つかった場合、病変部から半米粒大の組織を採取して病理検査します。

顕微鏡下で癌細胞が検出されれば、胃癌の診断となり手術が行われます。癌の進展の程度によっては手術中には時に術中迅速診断が依頼されます。

術中迅速診断は病変の良性悪性の別や、腫瘍の性状、また癌の取り残しを防止するために手術範囲の決定のために行うもので、検体が提出されてからおおよそ10-20分程度で結果を手術室の医師に報告します。その際当院では捺印細胞診を併用し診断精度の向上に務めています。術中迅速診断の結果により手術方針が大きく変わることもあり、例えば乳腺の手術でのセンチネルリンパ節の検索は現在ではほぼ必須となっています。

手術後には摘出された病変部について組織病理学的な検索が行われます。この検索に基づく診断が最終診断となり、病変の悪性度、進展度、リンパ節への転移範囲、病変部の切除断端に腫瘍細胞が残っているかの確認などが調べられます。

その際に免疫組織学的な手法や電子顕微鏡による検索などを併用し、病変の細かな性状について詳しく検討します。特に乳癌におけるHER2検査をはじめとする分子標的治療の適合を判定する検査は、直接治療に反映される検査として重要度が高まっています。

細胞診断

細胞診断は病変部から剥離した細胞や針を刺して検体を採取し良悪性の診断をする検査です。肺では喀痰、子宮では子宮膣部・体部の擦過、膀胱では尿が検査対象となり、他リンパ節、甲状腺や乳腺などは穿刺細胞診が行われます。しかし、組織診断と同様に採取可能な部位であればあらゆる病変が検査対象となります。

もともとは良悪性の判定を中心に行われてきたスクリーニング検査ですが、診断技術や検体採取技術の向上により臨床所見等と合わせて手術あるいは化学療法を行う根拠となるなど重要度は高まっています。

病理解剖

病理解剖は患者様が不幸にも亡くなられた際に、詳しい死因を究明するために行われます。画像診断や組織診断の生検手技等の発達により解剖件数は近年減少傾向ではありますが、原因不明な腫瘍などはまだまだ存在しており必要な検査です。

症例により異なりますが、解剖が行われてからおおむね半年程度を目処にレポートを返しています。

病理解剖を行うことによって亡くなられた患者様自身に直接何かを還元するものではありませんが、治療の評価や臨床診断の確認など病理解剖から得られる情報は非常に多く、臨床医からお願いがある際はご協力のほどよろしくお願いします。

このように病理診断科では診断から治療まで多くの分野で方針の決定に関与しており、迅速かつ正確に行うように努めています。