手術の実績


虫垂炎は腹痛、嘔吐、発熱などを主症状とする虫垂の化膿性炎症性疾患です。
学童期のこどもに多く見られる病気ですが、2歳または3歳をすぎた幼児にもみられるため注意が必要です。

特徴的な症状

虫垂炎の典型的な腹痛:


最初はおへその周りや上のほう(胃のあたり)を痛がるが、1日または2日で痛みが右の下腹部(おへその右ななめ下)に移動する。
また、痛みのためお腹を抱えて前かがみで歩いたり、ジャンプすると右下腹部の痛みが強くなるなどの特徴がある。
お腹が痛いよ


虫垂炎の診断には血液検査、尿検査、腹部のX線検査などの他に腹部超音波検査やCT検査が有用です。

超音波検査による虫垂炎の診断:

超音波で虫垂の腫れ、膿のたまり、原因となる虫垂結石(糞石)などを描出して診断する。
腫れた虫垂の先端がみえる(右矢印)

CTによる虫垂炎の診断:
腫れてとぐろを巻いた形の虫垂がみえる(造影剤により白く造影されている)CTでは虫垂の腫れ、炎症の有無などを判断できる

虫垂炎のような症状を呈しても虫垂炎以外の病気であることがあります。
このような場合、超音波検査やCTが病気の鑑別診断に有用です。


超音波検査でリンパ節の腫れ(矢印)が認められ、虫垂炎ではなく腸間膜リンパ節炎と診断された。


腹痛、嘔吐、発熱など虫垂炎に似た症状を呈する病気には腸間膜リンパ節炎、メッケ憩室炎、盲腸炎、腸重積、大網梗塞、卵巣腫瘍による茎捻転、骨盤内の炎症など複数の病気があります。

一般に虫垂炎の診断で手術された病気のうち手術が必要な虫垂炎は80%から90%程度で、10%から20%は他の病気であったり、あるいは手術をしなくても治る程度の虫垂炎(カタル性虫垂炎)であるといわれています。
治療は虫垂切除術を原則としますが、最近では腹腔鏡を用いた虫垂切除術が可能です。

腹腔鏡を用いた虫垂切除術(腹腔鏡下虫垂切除術)

従来の開腹法腹腔鏡下虫垂切除術の比較:

従来の開腹法と腹腔鏡下虫垂切除術の違い(それぞれの利点、欠点)をよく理解した上で手術法を選択してください。
獨協医科大学越谷病院小児外科の手術の実績:

開腹法 腹腔鏡下虫垂切除術
実施時期 2001年5月〜2007年12月
症例数 58例 204例
おなかの創(きず)
右下腹部に約数cmの創
創が小さい(**):お臍(へそ)の下に約1.5cmの創と左下腹部、恥骨の上方に約7-8mmの創
手術操作 腹腔内の観察、洗浄がやり易い
手術時間(*) 50分程度 長い、80分程度
手術の回復 早い
合併症(*) 15.5% 8.3%
入院期間(*) 6日程度
(ただし、進行した虫垂炎では入院期間が長くなることがあります。)
6日程度
(ただし、進行した虫垂炎では入院期間が長くなることがあります。)
治療費(*) 開腹法に比べて高い(約26%の増額)

(*) 獨協医科大学越谷病院小児外科の治療データによる
(**)赤字は腹腔鏡下虫垂切除術の利点、緑字は不利な利点を示す。





腹腔鏡下虫垂切除術の実際

                   
手術後の合併症

虫垂炎の手術は簡単な手術と考えられがちですが、本当に手術が必要な虫垂炎の手術では、一般的に手術後に10%前後の頻度で合併症がみられます。
お腹の中に膿の溜りが残ったり(遺残膿瘍)、手術の創の化膿(創感染)などのため、退院までの期間が延びたり、場合によっては再手術ということもあります。

もともとの虫垂の炎症の程度が進んでいる場合には、手術が困難で、合併症の頻度はさらに高くなります。
したがって、炎症が進行しない段階で虫垂炎の診断を正確に行うことが重要ですが、炎症の極めて軽微な虫垂をやたらに切除するようなことも当然避けなければなりません。

獨協医科大学小児外科では2001年5月から2007年12月までの6年8カ月間に262例の虫垂切除術を行いました(腫瘤形成例を除く)。

うち26例(9.9%)に29の合併症が認められ、その内訳は術中合併症2件、術後合併症27件(創感染、腹腔内膿瘍など)でした。

また、手術時すでに腹部全体に炎症が広がっている汎発性腹膜炎に至った症例では22例中6例(27%)に術後合併症が認められました。
虫垂炎後の腹腔内膿瘍(うみの溜まり)
同、骨盤内の膿瘍
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Last Update 2013/10/16