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腸重積症は2歳位までの乳児に発症することが多い(生後7カ月から8カ月頃の乳児に最も多い)、緊急を要する病気の一つです。

突然発症しますが、不機嫌にぐずったり、落ち着いたりというのを繰り返し(”間欠的”な症状)、自然にあるいは浣腸でで粘液の混じった血便(粘血便)を排泄し、嘔吐もみられます。

かぜや下痢症状が先に現れることがあり、春から夏にかけて、および冬に多いと言われています。


腸重積症の原因と診断

多くの場合、腫れたリンパ節(パイエル板)が便のように腸内へとおくられることが原因で腸が腸の中に入り込み(重積する)発症すると考えられています。

2%−4%程度の頻度で腸自体の病変(メッケル憩室、ポリープ、消化管重複症、悪性リンパ腫など)が原因となり腸重積症を発症することがあります。


注腸造影検査

大腸内に造影剤を入れると、入り込んだ腸により”カニバサミ“または”カニ爪“状の像がみられる
腹部超音波検査

入り込んだ腸により的(ターゲット)のような像が見られたり、原因となる腸の病変を発見できることもある
(消化管重複症による腸重積症)
盲腸の重複症による腸重積症
切除した盲腸重複症
メッケル憩室による腸重積症
切除したメッケル憩室
盲腸にできた悪性リンパ腫による腸重積症
悪性リンパ腫の内視鏡像

腸重積症の非観血的整復法

おしりから造影剤や生理的食塩水を注入したり、空気を注入して入り込んだ腸を押し戻す方法で8割から9割の腸重積症を治すことができます。この方法は非観血的整復法といいます。

造影剤を用いるか、生理的食塩水を用いるか、また空気を用いるかは各施設により異なり、それぞれの施設が慣れた方法で治療を行っています。
いずれの方法もおしりから高圧で注入することにより入り込んだ腸を押し戻そうとするもので、確立した方法であり、通常は安全な方法ですが、場合によっては腸を破ってしまう危険が決してないとはいえません。したがって、慣れた小児科医や小児外科医、あるいは放射線科医による治療を受けることが重要です。

腸重積症の非観血的整復法に対する見解:

現在、多くの教科書には造影剤としてバリウムを使用する方法が記載されています。しかし、腸が破れてバリウムが腹腔内にもれた場合にはバリウムによる腹膜炎をおこし重篤になることがあります。また、非観血的整復法により整復されず手術に至った場合、やはり希ですが結腸(大腸)の漿膜(外側の膜)が裂け、破れかかっている状態(いわゆる“pending rupture”)になっていることを経験することもあります。

したがって、獨協医科大学越谷病院小児外科ではバリウムを用いた非観血的整復法は行うべきでないと考えています。当科では造影剤(6倍希釈のガストログラフィン)または生理的食塩水を注入する方法で治療を行っています。
腸重積症の手術

非観血的整復法で戻らない場合や腸自体の病変をともなっている場合、またすでに長時間を経過し腸閉塞症状を呈していたり、腹膜炎の症状をともなっている場合には手術が必要となります。

治療の実績(2000年4月〜2008年3月)

94例の計105回の腸重積症に対し治療を行いました。

治療の実績
・非観血的整復(手術なし) 86回(82%)
・手術例
 腸切除なし(Hutchinson手技)
 腸切除あり
   うち器質的疾患は6例でメッケル憩室・盲腸重複症
   ・悪性リンパ腫など
19例
11例
8例

※治療にともなう合併症はありませんでした。
再発

数%程度の頻度で腸重積症は再発することがあります。

何度も繰り返す場合や、3歳以降に腸重積症を発症する場合には腸自体に病変があることを考え、慎重に検査を行う必要があります。

腸重積症の高圧注腸整復法:

前獨協医科大学越谷病院小児外科・川満富裕によると腸重積症に対する高圧注腸整復法の普及に貢献したのはデンマークの小児外科医ヒルシュスプルングであったという。

19世紀後半から20世紀初頭にかけ、当時の医学会は「腸重積症に対する治療はなるべく早く手術を行うのがよく、不確実な注腸整復に時間を費やすべきでない」という点で意見が一致していた。しかし、手術による治療の成功率は極めて低かったという。
ヒルシュスプルングは外科医の集まる医学会へ出かけていき、非観血的に約60%の治療に成功したと報告し議論を巻き起こした。これが現在の非観血的整復法の復旧につながったという。

川満はその論文の結論に次のように記載している。
「70歳を越える高齢だったにもかかわらず、外科医の批判に果敢に立ち向かい、腸重積の非観血的治療における今日の基礎を築いたヒルシュスプルングに敬意を表したい。」
(ヒルシュスプルングは彼の名の冠されたヒルシュプルング病で有名である)

参考文献:
1.川満富裕:ヒルシュスプルングと腸重積の高圧注腸整復。外科、54:277-280,1992

 
Last Update 2013/10/16