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以下は2003年5月14日、朝日新聞朝刊の科学欄「直言」に投稿・掲載された文章です。




 
小児がんの一つ、神経芽腫の早期発見をめざす集団検査(マススクリーニング)は、生後6カ月の乳児を対象に全国規模で実施されています。厚生行政の一環として85年から続いていますが、予期せぬ問題が明らかになってきました。
 集団検査の開始以降、神経芽腫の患者が大幅に増加し、その多くは悪性腫瘍としての治療を必要としないと考えられることです。神経芽腫には自然に腫瘍が消えたり、良性腫瘍に変化したりする性質があります。
 また、異常なしと判定されても1歳過ぎに悪性度の高い神経芽腫を発症することがあるのです。
 現行の集団検査は、信頼性の低いものと言わざるを得ません。
 02年、北米とドイツの研究グループが相次いで、集団検査をしても神経芽腫による死亡率は改善しないと発表しました。期待された効果がないということです。
 わが国の厚生労働省の研究では、集団検査の受検者は死亡率が低いと結論づけています。理由は「感度のよい検査法を用いているため」とされています。
 しかし、感度のよい検査法を用いれば、それだけ治療の不要な神経芽腫も多数見つかるのです。過剰診断、過剰治療との批判が生まれる理由はここにあります。
 被検者の保護者の多くはこのような問題を知ることなく、全国規模で実施されている集団検査を受けているものと思われます。もちろん検査を受けることは全くの自由ですが、国家的事業として続けることには大きな問題があります。
 集団検査に関する疫学的、生物学的データは出尽くしたと言っても過言ではありません。集団検査を取りやめる決断を行政に望みます。

獨協医科大学越谷病院教授(小児外科)
池田 均

 
神経芽腫マス・スクリーニングはその後の厚生労働省の議を経て、2004年4月から中止になりました。

神経芽腫」のページも参照してください。
Last Update 2013/10/16