横紋筋肉腫

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  • 体の各部分の骨格筋、平滑筋、脂肪、結合織、骨、軟骨などの細胞になるもとの細胞を間葉系細胞といいます。
    横紋筋肉腫はこの間葉系細胞から発生し、一部、骨格筋(横紋筋)細胞の性質を示す腫瘍と考えられています。

     
    間葉系細胞からの正常な横紋筋組織の発生(実線矢印)と横紋筋肉腫の発生(点線矢印)


 

  • 横紋筋肉腫の特徴

    米国の永年にわたる(1972- )グループ研究により横紋筋肉腫の特徴が明らかになっています。
    このグループ研究はIRS (Intergroup Rhabdomyosarcoma Study)と呼ばれています。


    発症年齢
     
    全体の2/3は10歳未満のこどもに発生する (IRS-III)


    発生(原発)部位

    腫瘍の発生した部位を原発部位と呼びます。
    横紋筋肉腫は体のどの部位にも発生しますが、最も多いのは眼の周り(眼窩)や傍髄膜と呼ばれる脳の表面近くなどを含む頭頚部で約35%を占めます。続いて膀胱、前立腺、精巣周囲、膣、子宮などの泌尿生殖器、次いで四肢に発生します。

     
    横紋筋肉腫は頭頚部、泌尿生殖器、四肢に発生することが多い (IRS-III)

     
    腹壁に発生した横紋筋肉腫


    進行度

    進行度には発生部位、腫瘍の大きさ、周囲への拡がりなどで分類する
    ステージ分類と手術の結果を考慮したクリニカルグループ分類があります。

    クリニカルグループ分類(CG)と頻度

    CG I:手術で完全に取りきれた(20%)
    CG II:手術で肉眼的には全摘したが顕微鏡レベルの腫瘍が残っている(19%)
    CG III:摘出不可または腫瘍の一部が残っている(47%)
    CG IV:遠隔転移がある(14%)

     
    横紋筋肉腫のクリニカルグループ  (IRS-III)


    遠隔転移は肺に最も多く、次いで骨髄、骨、リンパ節などに見られます。


    組織型

    組織型は顕微鏡で見た特徴から分類されますが、主な組織型は
    胎児型胞巣型です。
    全体の半数以上が胎児型で20%前後が胞巣型と分類されます。

     
    横紋筋肉腫の組織型 (IRS-III)

     
    胎児型横紋筋肉腫の組織(顕微鏡)像


    予後と関連する因子

    治療後の生存率や治癒率などを予後といいます。また予後に関連する因子を予後因子と呼びます。
    横紋筋肉腫の予後と関連する代表的な因子(予後因子)は年齢、発生(原発)部位、進行度および組織型です。

    例えば、
     
    眼窩、眼瞼、この他傍髄膜を除く頭頚部、膀胱・前立腺以外の泌尿生殖器(傍精巣・陰唇交連・膣・子宮など)に発生した横紋筋肉腫は予後が良好であることが知られています。
    一方、四肢、会陰・肛門周囲、膀胱、前立腺、傍髄膜、体幹、後腹膜などに発生した横紋筋肉腫は治療に抵抗性で予後は不良です。

    また、
     
    腫瘍の組織型は治療結果に大きく影響を与えることが知られています。
    転移をともなわない場合、胎児型であれば6年後の生存率が60%であるのに対し、胞巣型では25%にすぎないというデータがあります。


    参考文献:
    Crist W, et al: The Third Intergroup Rhabdomyosarcoma Study. J Clin Oncol 13:610-630,1995.

 


  • 治療と治療成績

    手術、放射線療法と複数の抗がん剤を用いた化学療法を組み合わせて治療を行います。


    手術の目的は診断に必要な腫瘍組織を採取すること、または腫瘍を切除して腫瘍の量を減らすことです。
     
    腫瘍の切除のために正常な臓器の機能(はたらき)や形態(かたち)を犠牲にすることは最小限に止めなくてはなりません。
    このため腫瘍の切除が容易でないと判断される場合には、化学療法や放射線療法を行い腫瘍を小さくしてから腫瘍の切除を行うなどの方法がとられます。


    治療成績

    米国ではIRSの治療研究により治療成績の改善がみられ、現在、横紋筋肉腫全体の5年後の生存率は60%を越えています。しかし、転移をともなう場合には治療成績は不良で、5年生存率は30%に満たない結果となっています。

    わが国では各施設の治療経験数が少ないこと、まだグループ研究がなかったことなどによりいまだ米国の治療成績には及ばないのが現状と考えられています。

    *わが国でも2005年から大規模なグループ研究(治療研究)が始まりました。横紋筋肉腫の悪性度に応じて一定の治療が行われるものです。これによりわが国における治療成績の改善が期待されています。


    造血幹細胞移植について

    横紋筋肉腫を対象とした造血幹細胞移植(骨髄移植や末梢血幹細胞移植など)を用いた治療が国内外で行われています。
    しかし、現時点で横紋筋肉腫に対する造血幹細胞移植を用いた治療の有効性を積極的に示すデータは発表されておらず、いまだ実験的段階といわざるを得ない状況です。

     


最終更新日:2006年01月10日

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