講演抄録

重症頭部外傷後の植物状態患者は、いつ目を覚ますのか?

大阪大学医学部附属病院 高度救命救急センター

塩崎 忠彦

 重症頭部外傷受傷から約1ヶ月が経過し、患者の意識が戻らないまま後送病院へ転院となるケースは、救命センターでは決して珍しくありません。

転院のとき、患者家族は必ず、

夫(子供)は、いつ頃目を覚ますのですか?』、

元の仕事(学校)に戻れるようになるのですか?

と質問します。

あなたがこの患者の主治医(看護師、理学療法士)ならどのように答えますか?

この極めて当たり前の質問に返答することができないのはおかしい』と考え、7年半前からこのような患者の前向き追跡調査を我々は行ってきました。その結果、誰も想像できなかった驚くべき事実が次々と判明しました。

@ 重症頭部外傷受傷1ヶ月後に植物状態を呈していても、57%(35例中20例)が1年以内に意識を回復した。

A 2例が社会復帰を果たした。

B 受傷後3年以上が経過してから6人の患者が突然意味のある単語を話すことができるようになった。

 我々は現在、『急性期治療が終了した時点で植物状態を呈していても、諦めずに治療を継続すれば中枢神経機能が回復する可能性が十分にある』と考えています。

遷延性意識障害患者の治療でのkeywordは『諦めない!』です。

塩崎 忠彦
Tadahiko Shiozaki

大阪大学医学部附属病院 高度救命救急センター

1988 大阪大学医学部卒

1990 大阪大学大学院医学研究科外科系専攻博士課程入学

1992 英国マンチェスター大学外傷研究所 研究員

1994 大阪大学医学部 救急医学講座

1995 近畿大学医学部 脳神経外科学講座

1997 大阪大学医学部 救急医学講座(現在に至る)

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