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医局紹介

メカノバイオロジー

グループ名 研究支援センター 責任者 小尾 正太郎

#1 流れずり応力が血管内皮前駆細胞の分化に及ぼす効果

血管内皮前駆細胞は成体の血管新生に関与し、骨髄由来のCD34陽性細胞の一部が血管内を循環し、虚血部の血管に接着して内皮下に遊走し、新たな血管の構築に関与しています。その過程で、血液や組織液に起因した物理的刺激である流れずり応力が血管内皮前駆細胞に作用します(J Biomed Nanotechnol, 2014)。現在、血管内皮前駆細胞は慢性閉塞性動脈硬化症や狭心症、心筋梗塞の患者に対して移植をして血管新生を促したり、血管内皮前駆細胞がホーミングしやすい人工血管やステントが研究されていますが、臨床効果はまだ十分ではありません。

私たちは、流れずり応力が血管内皮前駆細胞をより成熟した内皮細胞に分化誘導することを報告してきました(Am J Physiol Cell Physiol, 2012)。その機序としてVEGFR2/PI3K/Akt/mTORのシグナルが重要であることを解明しました。また、流れずり応力は血管内皮前駆細胞を静脈よりはむしろ動脈に分化誘導することを報告しました(J Appl Physiol, 2009)。動脈化の機序として、転写因子Sp1が活性化して動脈内皮のマーカーであるephrinB2の転写が亢進することがわかりました。

現在、流れずり応力による血管内皮前駆細胞の遺伝子の発現変化に関して網羅的に解析をしています。

図1 血管内皮前駆細胞に作用する流れずり応力。血管内皮前駆細胞は血液あるいは組織液に起因する流れずり応力を感知し、応答しています。
図2 流れずり応力負荷装置。培養皿でステンレス製の円盤を回転させて細胞に定量的な流れずり応力を負荷します。
図3 流れずり応力による血管内皮前駆細胞の形態変化。血管内皮前駆細胞に流れずり応力を負荷すると、流れの方向に細胞が伸展・配勾します。
図4 流れずり応力が脈管形成に及ぼす効果。流れずり応力を負荷した血管内皮前駆細胞はヒト臍帯静脈内皮細胞との共培養において脈管形成数が多くなります。

#2 伸展張力が心臓線維芽細胞の分化に及ぼす効果

心臓における線維化は、線維芽細胞とその分化形態である筋線維芽細胞が化学的・機械的刺激に応答して産生する細胞外基質の過剰な蓄積に起因し、心不全、不整脈、心筋症などを誘発します。しかし、機械的刺激が心臓線維芽細胞の分化に及ぼす効果に関しては十分にはわかっていません。

現在、伸展張力が心臓線維芽細胞の分化に及ぼす効果に関して、Thermo-transient receptor potential (TRP)チャンネルによるカルシウム伝達機構を中心に細胞内シグナル、転写機構を中心に解析しています。

#3 温熱刺激が骨格筋に及ぼす効果

近年、加齢や病気による移動能力の低下により筋肉量の減少や歩行障害を生じるサルコペニアが問題となっています。80歳以上における有病率は11~50%に及んでおり、高齢化社会ではその対策が急務となっています。高齢者のサルコペニアの予防と治療は運動ですが、すでに機能不全を生じてしまったサルコペニアの運動療法は困難です。

骨格筋細胞は様々なサイトカインを分泌し、周囲の骨格筋だけでなく脂肪細胞や他の臓器に影響を及ぼしています。運動や温熱刺激により骨格筋細胞からインターロイキン6(IL6)が分泌され骨格筋の肥大や再生に関与していると考えられています。しかし、骨格筋細胞が熱を感知してIL6を産生する機序に関してはよくわかっていません。

TRPは温度によって活性化するイオンチャンネルであり、活性化すると細胞外から細胞内にカルシウムイオンを流入させます。しかし、骨格筋におけるTRPの働きは十分には分かっていません。

現在、骨格筋が温度を感知してIL6を産生するメカニズムに関して研究しています。

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