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獨協医科大学病理診断学 病理診断科

研究の紹介

今井 康雄 教授

1.大腸癌の表現形質と生物学的悪性度の関連

大腸癌では低分化腺癌は比較的まれであるが、通常見られる高分化-中分化腺癌に較べて明らかに予後不良である。大腸低分化腺癌を中間形フィラメントであるサイトケラチン20(CK20)の発現の有無で2郡に分類し、CK20陰性の低分化腺癌は充実型が多く野生型のp53を有し、マイクロサテライト不安定性を伴い高分化-中分化腺癌に匹敵する良好な予後を示すことを明らかにした。

大腸癌の表現形質と生物学的悪性度の関連

参考文献
1. Yamagishi H, Imai Y, et al. J Gastroenterol Hepatol 2013;28:1815-1822.
2. Imai Y, et al. Anticancer Res 2014;34:159-168.
3. Imai Y. Int J Colorectal Dis 2015;30:187-196.

2.薬物トランスポーターによる抗癌剤耐性機構とその克服

薬物トランスポーターABCG2は1998年に発見された癌細胞の薬剤多剤耐性の原因の一つである。ABCG2が胎盤に高発現していることをヒントにして、ABCG2がエストロゲンの硫酸抱合体とエストロゲンと構造の似たゲニステインを輸送すること、エストロゲンとその類似化合物がABCG2による抗癌剤多剤耐性を克服することを初めて明らかにした。

薬物トランスポーターによる抗癌剤耐性機構とその克服

参考文献
1. Imai Y, et al. Mol Pharmacol 2003;64:610-618
2. Imai Y, et al. Cancer Res 2004;64:4346-52.

小島 勝 教授

我が国の多中心性キャッスルマン病の臨床病理学的特徴

本邦の多中心性キャッスルマン病(multicentric Castleman's disease:MCD)には形態学的に2つの亜型が存在することに注目し、臨床病理学的にMCDの亜分類を試みた。idiopathic plasmacytic lymhomadenopathy with hyperimmunoglobulinemia (IPL)型はリンパ濾胞の胚中心は正常ないし過形成で、濾胞間には多クローン性形質細胞の著明な増生がみられる。non-IPL型は萎縮性の胚中心に細血管の侵入と濾胞樹状細胞の核腫大がみられ、濾胞間の形質細胞の浸潤はせいぜい中等度である.両者とも高IL-6血症をきたすがIPL型はIL-6高値に伴う、高ガンマグロブリン血症などを特徴とするが、non-IPL型は高ガンマグロブリン血症は見られず、胸腹水などの体腔液貯留を特徴とする。

我が国の多中心性キャッスルマン病の臨床病理学的特徴

Kojima M, et al. Int J Surg Pathol 2008;16:391-39 より引用

参考文献
Kojima M, et al. Int J Surg Pathol 2008;16:391-398.

黒田 一 教授

乳癌トリプルネガティブ乳癌における通常Keratin(K)7およびK20の検討

乳癌は通常Keratin(K)7陽性およびK20陰性である。一方エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PgR)、およびHer2 / neuタンパク質に対して陰性であるトリプルネガティブ癌(TNC)において、Kの異常発現パターンが多くみられた。免疫組織化学的アルゴリズムを用いてTNCからの転移巣を診断する際には、注意が必要であることが示された。

乳癌トリプルネガティブ乳癌における通常Keratin(K)7およびK20の検討

Kuroda H, et al. Ann Diagn Pathol 2016;20:36-39.

参考文献
1. Kuroda H, et al. Hum Pathol 2008;39:1744-1750.
2. Kuroda H, et al. Int J Surg Pathol 2010;18:324-329.
3. Kuroda H, et al. Ann Diagn Pathol 2016;20:36-39.

中里 宜正 准教授

1. 原発性肺腺癌の予後と核の大きさの関係に関する研究

核の大きさによる悪性度判定の確立を目的として,2cm以下の原発性肺腺癌症例を対象に核の腫大に基づいた悪性度分類の基準値の定量化を試みた.
腫瘍細胞において核面積を測定したところ,67μm2未満と以上の2群に分けたところ,5年生存率90.4%,57.7%と有意に核が小さい群で良好であった(P=.001).また多変量解析をおこなった結果,独立因子でもあった.核面積67μm2を基準値とした核の大きさにより,組織亜型を考慮せずに5年後の生存を予測することが可能であった.

原発性肺腺癌の予後と核の大きさの関係に関する研究1 原発性肺腺癌の予後と核の大きさの関係に関する研究2

参考文献
1. Nakazato Y, et al. J Thorac Oncol. 2013;8:736-743.
2. Nakazato Y, et al. Cancer. 2010;116:2011-2019.

2.CTガイド下肺針生検の迅速診断併用時における正診率改善の検討

肺内の結節は,診断が困難であり,時にCT画像をガイドにリアルタイムで,穿刺を行うことがしばしばある.その際に,迅速細胞診断を併用するとことで,有意に合併症の改善と,正診率の向上に寄与することがわかった.

CTガイド下肺針生検の迅速診断併用時における正診率改善の検討

参考文献
1. Nakazato Y, et al. Diagn Cytopathol. 2013;41:1063-1068.
2. Nakazato Y, et al. J Thorac Oncol. 2008;3:931-934.