センター紹介

ご挨拶

救急医療は最も古い医療のかたちの一つであり、医療の原点と言えます。しかし、医学の専門分野としては、新しい領域です。私は30数年前、大学病院の救急部で卒後研修を始めました。

そこには救急の専門医はおらず、救急医療に興味を持った脳外科医や麻酔科医の集りでした。救急を自身の専門分野に選びましたが、一般社会でも医師の間でもなかなか認知されませんでした。

自分の専門を聞かれ、「救急」と答えると、「それで、専門は」と聞き返されました。しかし、専門分野の細分化に伴い、既存の診療科の枠では救急医療を捉えきれなくなり、救急の専門医が求められるようになりました。そして、地域の救急医療の中核として救命救急センターが設置されました。

救命救急センターは、適切な高度医療の提供が求められます。しかし、救急専門医のみで広範囲の最先端医療を提供するのは困難です。我々のセンターは、救急専門医が中心となって運営していますが、院内の他診療科から多数の専門医の出向を受けています。協力してセンター内で完結できる場合は診療を完結し、必要があれば院内各科と連携して診療します。これにより、大学病院ならではの高度で良質な医療を提供できます。

また、医療の需要の変化にも対応していきます。病院前医療の充実のためにドクターヘリを導入、2010年から運航しています。災害に備え、災害派遣医療チーム(DMAT)や災害対応体制の整備も積極的に行っています。さらに、高齢化社会の進展による高齢救急患者の増加にも対応しなければなりません。

しかし、救急医として変わらず求められるものもあります。緊急性の高い患者の病態や必要な処置を迅速に判断し(Swiftness)、的確に行う技術(Skill)が必要です。そして、頑張っても、結果が良いとは限りません。結果に納得してもらうには、常に誠意(Sincerity)を持って事にあたる必要があります。私たちは、この『3S』を軸により良い救急医療を目指して努力を続けていきます。

獨協医科大学病院 救命救急センター
センター長小野 一之