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乳腺疾患(乳がんについて)

 こんにちは。
乳腺外来を担当しております、伊藤淳です。
 当科では、乳がんの患者様はもちろん、良性の乳腺疾患の患者様を診察しています。

 最近は乳がんの罹患率は、18人に1人と言われております。
 TVや雑誌でも取り上げられる機会が多くなり、ご自分で乳房のしこりや違和感に気づき受診したり、症状がなくても乳がん検診(マンモグラフィや超音波)を受ける方が多くなったため、早期の段階で発見される方が増えてきました。

 しかしながら、今もなお、長年症状に気づきながらも、なかなか病院を受診することが出来ず、進行した状況で発見される方も少なくありません。

 乳がんのような病気で大切なことは、やはり早期発見です。
 乳房のしこり、乳頭からの異常分泌、乳房の痛み、どんな症状でも気になることがありましたら、一度外来を受診していただきたいと思います。

乳腺疾患の基本的な検査の流れ

(1)マンモグラフィ、超音波

(図1)マンモグラフィ右 (図2)マンモグラフィ左

 マンモグラフィは検診でも行われる乳房専用のX線撮影です。しこりの他に石灰化病変によってしこりになる前の早期の乳がんを見つけることができます。超音波はマンモグラフィでも発見できないような小さなしこりや、マンモグラフィでは見つけにくい若い方のしこりを見つけるのに優れています。

(2)穿刺吸引細胞診・針生検
※(1)で異常を認められた方が対象になります。
 しこりとして異常指摘された方は、超音波ガイドにしこりに針を刺して、細胞あるいは小さな組織を採取して病理検査で腫瘍の良悪の診断を行います。

 マンモグラフィで、良性・悪性の区別がつかない石灰化を指摘された方は「マンモトーム」という装置を使って石灰化部分の生検(組織検査)を行います。

マンモトームによる穿刺 石灰化した部位
生検用に採取された組織

 以上の検査で乳がんの診断に至った患者様は、がんが他の臓器に飛び火(転移)していないか、乳腺の中で拡がっていないか、さらに詳しい検査を行います。

(3)PET
 転移がないか、全身検索します。乳がんは骨、肝臓、肺やリンパ節に転移しやすい病気であり、今後の治療方針を決める上で重要な検査です。

(4)乳腺MR (気管支喘息の既往がない方)

 乳がんは乳管という管を通じて広がっていく性質があります。早期の乳がんでも、乳管の中を広い範囲に広がっていることもあります。病変が広範囲に進展していると乳房温存手術が困難になります。乳房内のがんの広がりを見るためにMRIは有用な検査です。

MRI

  乳頭の異常分泌で受診された方を対象に行う「乳管造影」も行っております。これにより、異常分泌の原因となっている乳管の拡張の場所を確認し、診断や治療に役立っています。          

治療

外科治療

  • 乳房全摘術(乳房全摘術)
  • 乳房部分切除術(乳房部分切除術)

 術式の違いによって術後の生存率には差はありません。しこりの大きさや、病変の広がりを見て手術の方法を検討します。

     〈温存手術の適応〉

       1.しこりの大きさが3cm以下

       2.広い範囲の乳管内進展がない。

       乳房温存手術を行った場合、術後に乳房の放射線照射を行います。

  • 腋窩リンパ節郭清(リンパ節の切除)
  • センチネルリンパ節生検

 早期の乳がんでは、腋窩リンパ節に転移がなければ、リンパ節郭清を行わないのが標準治療となってきました。リンパ節転移の有無を調べるために、センチネルリンパ節(見張りリンパ節)だけを摘出して病理検査を行うのがセンチネルリンパ節生検で、センチネルリンパ節に転移がなければ腋窩リンパ節郭清を行いません。リンパ節郭清を行わないことで、術後の上肢のリンパ浮腫(腕のむくみ)などを回避することが出来ます。

平成24年度手術実績

乳がん手術件数 54例
うち乳房温存手術 23例
腋窩リンパ節郭清省略 33例

 

 

 

 

薬物療法(化学療法・ホルモン療法・分子標的治療薬)

 術前・術後補助療法、再発した方の治療として行います。
 化学療法は、「化学療法室」という専門の外来があり、ゆったりとしたリクライニングチェアでテレビ鑑賞や読書をしながら、点滴加療を受けていただきます。

外来化学療法室

 

放射線療法

 乳房を温存した方、あるいは乳房全摘をした方でも場合により、局所再発の予防のために、放射線科の専門医と連携して放射線治療を行っています。また、骨に転移を認め、疼痛(痛み)が強い場合、疼痛緩和のために放射線照射をしたり、脳転移の治療で行ったりと放射線療法の目的は様々です。

患者様へのメッセージ

 乳房に異常を感じたら、悩んでいないでまずは外来を受診して検査を受けましょう。
乳がんの治療に関しても、患者様の希望を伺いながら、よく話し合って決めていきます。分からないことなどはお気軽に相談してください。

 

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