毎日のように続き治療に難渋する頭痛

平田幸一 獨協医科大学神経内科 教授

 頭痛は経験したことがない人がいないくらいありふれた症状であり,日常診療でもっともよく遭遇するものの一つである.最近,片頭痛の特効薬も上市され,頭痛の正確な診断に基づいた診療の必要性が再認識されるようになりつつあるが,頭痛診療の実際は簡単なようで難しい.例えば,国際頭痛学会(IHS)の分類に従って診断を下そうとしても,実際にはかなりの数の患者さんの診断に迷ってしまうことになる.頭痛について多少なりとも勉強をして診療にあたっても,片頭痛なのか緊張型頭痛なのか,あるいはその合併なのかと,思いのほか非典型例が多いことに困惑してしまう. 
 治療経過の長い頭痛症例で種々の抗頭痛薬の効果の乏しい,治療に難渋する症例の多いことが日常臨床では現実的に重大な問題である.IHSの分類にはないが,このような頭痛は慢性連日性頭痛(chronic daily headache:CDH)と呼ばれている.緊張型頭痛が基本となるものもあるが,多くは,始めは典型的な片頭痛であったものが次第に発作頻度が増し,緊張性頭痛を合併,毎日頭痛が起こるようになるものである.この頭痛の背景には,頭痛に苛まれる恐怖から鎮痛薬あるいはエルゴタミン製剤などの過剰服用を生じ,それが頭痛の悪化を生じさせていることがあると考えられている.鎮痛薬は飲んでもすぐには効かないこと,頭痛が起きてしまった場合多大な日常生活の障害を受けるという恐怖感,義務感が関与している場合が多いのである.
 治療は,思い切って鎮痛薬常用を断つ事にある.このために補助薬として抗うつ薬の投与,さらに必要なら入院させることもある.ただ,もともと頭痛があるので,薬剤中止で完全に頭痛がとれることはないことを銘記することが必要である.薬剤乱用について医師の認識のみならず,患者の啓蒙,教育も必要であり,頭痛日記の活用などにより,適切な医師,患者関係の構築が再発予防の前提になる.

 

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