教授就任のご挨拶 

産科婦人科学講座教授 深澤一雄

41日付けで稲葉憲之前主任教授の後任として産科婦人科学講座を担当させていただくことになりました。前学長の寺野先生、前病院長の北島先生はじめ選考、信任いただきました諸先生方に厚く御礼申し上げますとともに、ご期待に添えますよう努力してまいります。

私は平成84月に本学へ産科婦人科学講師として着任し、平成1611月からは同学内教授として勤務してまいりました。昨今、医療を取り巻く環境が益々厳しくなっていく中で、大学病院の使命の一つであります医師育成のための教育は、従来以上に重要になったと感じております。卒後研修の必修化に伴い研修医は研修病院を選択するため、結果として大学病院の医師派遣機能が低下し、産婦人科領域でも地域の医師不足問題が顕在化しました。医学部入学における地域枠の拡大や、研修病院の募集定員の見直し等はある程度評価されますが、研修医確保のためには我々指導者自身が研修の質を向上させ、同時に学部教育の充実を図らなければなりません。本来患者と医師との関係は人間関係であり、患者の権利意識が高まる医療現場を考えるとき、医師としての人間性の涵養も学生教育の重要な課題です。本学では早くから早期臨床体験、診療参加型臨床実習や客観的臨床能力試験が実施されており、また問題解決型テュートリアルも導入され、カリキュラムは整っていると言えます。将来の医学、医療の担い手を預かる医学部教員としては必然的に指導者としての自覚、熱意が要求されますので、十分に応えていく所存です。

私の専門は腫瘍学で、これまで婦人科腫瘍における腫瘍マーカーの基礎的・臨床的検討を研究テーマにしてまいりました。昭和62年、当時の稲葉講師直接ご指導のもと「婦人科癌における腫瘍マーカーの研究−血清学的検索並びに免疫組織学的検索」と題して学位論文を発表しました。本学着任後は一連の研究で習得した技術を用い、抗癌剤抵抗性で予後不良な卵巣癌培養細胞株を樹立し、この培養細胞を用いて抗癌剤感受性とアポトーシス誘導能との関係、更には抗癌剤感受性及び抵抗性卵巣癌培養細胞を用いて、抗癌剤抵抗性に関与する癌細胞中の微量蛋白質について質量分析装置を用いて解析しました。臨床研究では以前からの子宮頸癌とヒトパピローマウイルスの研究をもとに、医療経済面も考慮したより効率的な細胞診とウイルス検出を併用する子宮頸癌検診システムを構築しました。今後は癌細胞中や患者血清中の微量蛋白質を解析し、新たな癌早期診断法の開発や、癌転移機構の解明を行いたいと考えております。

診療面では教育、研究も担う大学病院の医師としては、最高の医療を提供することが最低基準であるとする稲葉前主任教授の教えを守り、医局員共々日夜努力しております。お蔭様で本学着任以来創設しました腫瘍外来への紹介患者も年々増え、入院患者数、手術数も順調に増加しております。外来での日帰り手術は年間約100例で、効率的な病院運営に貢献できるものと考えております。子宮癌と卵巣癌を合わせた新規入院患者数は年間約90例で、日本婦人科腫瘍学会が定める婦人科腫瘍専門医認定に必要な施設基準の患者数50例を十分上回っております。婦人科入院患者は手術患者と放射線治療患者及び化学療法患者ですが、月平均100名以上の入院で稼働率90%を超えており、この面でも病院経営に十分貢献できているかと存じます。今後も近隣施設との連携を密にし、紹介患者の更なる獲得に努めます。院内におきましても広く他科の先生方や、医療安全管理を含めたチーム医療としてコメディカルスタッフとの連絡を密にし、インフォームド・コンセント、チョイスに基づいた診療を行っていく所存です。

 腫瘍外来以外では周産期外来、感染症外来、不妊・内膜症外来、思春期・中高年外来等、産科及び婦人科領域全般の疾患を従来通り高い専門性を持って扱っていきます。産科領域の渡辺教授、婦人科領域の北澤教授はじめ医局員一丸となって、産科婦人科学教室ならびに獨協医科大学の更なる発展のために尽力したいと存じますので、今後とも相変わらずのご指導を何卒宜しくお願い申し上げます。

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主任教授あいさつ