慢性呼吸器疾患(CRD)とは

COPDのファクト

病因

 COPD発症の危険因子に曝されていると、末梢気道に炎症細胞の集簇が起こり、粘液分泌、血漿滲出物の気管支への集積が起こる。炎症は、好中球、マクロファージからのプロテアーゼ活性を亢進させる一方、オキシダント産生へと働き、組織の傷害とリモデリングを引き起こす。COPDの成因としては、このプロテアーゼ・抗プロテアーゼ不均衡とオキシダント・抗オキシダント不均衡が重要と考えられている。早期には、これらの変化は急性一過性の炎症であり、リモデリングも軽度であるため、治療により可逆性を示すが、曝露が長期に渡ると気道炎症は慢性化し気道の線維化と狭窄、肺胞の破壊による拡張と肺弾性収縮力の低下、小気道の開通性を維持している肺胞支持部の破壊などのリモデリングが生じ、その変化は非可逆的となる。

オキシダント・抗オキシダント不均衡:

 オキシダントと内在性アンチオキシダントの不均衡により生ずる酸化ストレスは、炎症性遺伝子の活性化、アンチプロテアーゼのさらなる不活化、粘液分泌の刺激、血漿滲出物増加などを引き起こす。これらの悪影響の多くには、スーパーオキシドアニオンと一酸化窒素の相互作用で生成されるペルオキシナイトライトが関与している。酸化ストレスは、COPD患者の肺組織で見られるヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)活性の低下の原因となっている可能性もある。HDAC活性の低下は、炎症性遺伝子発現の促進、グルココルチコステロイドの抗炎症作用の抑制につながる可能性がある。

プロテアーゼ−アンチプロテアーゼ不均衡:

 COPD患者の肺では、結合組織の構成要素を分解するプロテアーゼと、それを阻害するアンチプロテアーゼのバランスが乱れている可能性がある。COPD患者では、炎症性細胞や上皮細胞から放出される数種のプロテアーゼが増量している。プロテアーゼによるエラスチンの分解は、肺の気腫性変化の重要な特徴である。