雷鳴 第47回文化会創作研究発表会
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- 12 - 美術部 部長:杉本博之 主将:石川美鈴 美術とはなんでしょうか。Oxford languageでは「美の視覚的表現をめざす芸術。絵画・彫刻・建築・写真など」と定義されています。美術部といえば絵を描いている人が多い、と思う方も多いかもしれませんが、実は非常に自由なのが美術部の特徴です。近年ではアートカフェなど、美術に触れる機会が増えていることと思います。今回は、大まかな日本の美術史と、最新の美術はどのようなものであるかを紹介したいと思います。 1. 日本美術とは 日本の美術は、古代以来、中国・朝鮮半島からの影響が大きいものの、平安時代の国風文化をはじめ、日本独自の展開も見られます。広い視野で見れば、日本の美術はアジア美術の一環であり、インド、中国を含む仏教圏の美術とみなすこともできます。縄文時代を例外として、常に外国(近世以前は主に中国、近代以降は主に西洋)の影響を強く受けつつ、日本は独自の様式を発達させてきました。つまり、日本美術の流れを理解するには、常に中国や朝鮮半島の美術史と対比して考えねばならず、日本の美術が日本人のみの手によって自律的に発達したものと考えることは誤りですが、日本美術を中国美術の亜流と見なすことも同様に誤りと言えるでしょう。 2. 日本美術の始まり 日本の旧石器文化の遺物には美術品と呼ぶべきものはほとんど存在せず、私たちの考える「美術」に該当する遺物が出現するのは新石器文化に相当する縄文時代からです。縄文時代は日本列島の美術が外部からの影響や情報にさらされず、独自の発展をとげた唯一の時代であると言えます。 木製品や繊維製品などの有機遺物は土中で遺存しにくいため、この時代の出土遺物は土器・土偶を初めとする土製品、石器などの石製品、骨角製品が中心です。この内、造形表現が豊かで時代の変遷を最もよく示す遺物が土器であり、時代や地域によって様式にかなりの違いがあります。全般的な特色として言えることは、いわゆる縄文(縄紋とも書く)をはじめとした各種文様で器面を飾り、祭祀用途の強い器種は容器としての機能性に因われない華美な装飾が施されます。ここから、日本の美術は始まったと言えます。

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