雷鳴 第47回文化会創作研究発表会
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o o o 音域が広くムラがない 持続性があって疲れない 音域の変化が豊かで、表現力に富む(四家文子氏による) - 20 - ですが、特に気にする必要はないと思います。さて、発声法の方法の方ですが、一番大切な事はイメージすることです。なるべく多くの生の演奏家の声に接して、自分の理想とする声の感覚を高めて、そのイメージを持って実際に声を出すのです。必ず声が変化してきます。 この時、第三者に聞いてもらって自分の自然な声が出た時の感覚を発見しなければなりません。テープに録った声が自分の声ではない様に聞こえるように、自分に聞こえる声と相手に聞こえている声は違うのですから。 次に呼吸法です。これを正しく行うことによって発声法に関する悩みや疑問が解決される場合が少なくありません。発声というと明頭より上の共鳴のことを考えがちですが、実際は呼吸法によって諸器官の構えなどに決定的な影響を及ぼしているので、正しい呼吸法なくしては良い発声は有り得ないのです。 存知の通り、声楽においては腹式呼吸せよと言われる訳ですが、これにはちゃんとした理由があります。腹式呼吸(肋骨の運動を主とした呼吸)では首のまわりの筋が緊張してしまい明頭内腔は圧し狭められ、喉声になってしまいます。また、呼吸保持がなされず息を無駄に使い、声帯に大きな負担をかけてしまいます。暖が痛いとか、声がかれるとかいうのは胸式呼吸だからです。しかし、腹式呼吸は腹、横隔膜の協同作業によって自動的にする呼吸で、声帯に負担をかけません。実は人が寝ているときも目覚めているときも無意識のうちに行っている、一番自然な呼吸法なのです。さて、腹式呼吸の練習の方法です。 (1)の上の側面に両手の手のひらをあて、肺の底の方からゆっくりと空気を満たすことを意識しながらゆっくりと鼻で息を吸い、口からゆっくりと吐きます。 (2)仰向けに寝ます。この状態では胸式呼吸はできないので腹式呼吸のイメージをつかんでください。 (3)肺を全方向に拡張させます。背もたれのまっすぐな椅子に座り、腕の力を抜いて垂らし、肩は上下しないようにリラックスします。肩が椅子の背もたれに触れる程度に背中をぴんと伸ばします。肺の底から長くゆっくりと深く息を吸うと、背中がだんだんふくらみ、背もたれを押し付ける程になります。このとき腹部も拡がるはずです。

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