- 116 -(11)慢性看護学実習Ⅳ(予防期/地域) 本科目では、地域住民の健康に対する意識とセルフケア行動を理解し、慢性病を予防し、健康の保持・増進をはかるための質の高い看護実践能力を養う。 行政及び民間・職場(企業)、総合スポーツクラブによる健康増進、生活習慣病予防活動への参加、民間の総合スポーツクラブを利用する成人期または老年期にある対象へインタビューを行い、慢性病の予防のための意識、セルフケア行動を理解し、看護の役割を検討する。 総合スポーツクラブを利用する地域住民のヘルスニーズにもとづき、対象とするグループのセルフケア能力を高めるために、健康教育を行う。 これらの実習を通して、地域に居住する住民を対象に、慢性病予防のための健康増進に関する実態を知り、看護の役割を探究する。 (12)課題研究 共通科目や専門科目の学修を統合し、実践経験と文献クリティークを通して自己の研究課題を明確にし、研究計画書を作成し、修士論文(課題研究)を作成することを目標としている。本科目を通して、専門看護師の役割の一つである研究に必要な基礎的な能力を学修する。 がん患者数は増加傾向にあり、現在、全死亡者数の3人に1人はがん患者であり、将来的には2 人に1人となると予測されている。がん対策基本法の施行による地域がん診療連携拠点病院の指定もあいまって、がん治療は、一段と進歩した。 それに伴いがんサバイバーの数も増加し、これらの人々に診断から終末期までの緩和ケアが重要となってきた。緩和ケアは、がん医療の柱の一つであることから、本コースでは緩和ケアをサブスペシャリティーとして、緩和ケアに必要ながん薬物療法看護をも併せて科目を構成した。 がん専門看護師の修得すべき知識として、がん患者とその家族が抱える複雑な背景や行動を理解し、医学的治療も含めた包括的かつ高度で専門的な看護を実践する能力を培うために、「がん看護学特論Ⅰ(腫瘍病態学)」、「がん看護学特論Ⅱ(がん看護理論)」、「がん看護学特論Ⅲ(がん看護援助論)」、「がん看護学特論Ⅳ(がん薬物療法看護)」、「がん看護学特論Ⅴ(がん薬物療法看護方法論)」、「がん看護学特論Ⅵ(緩和ケア)」、「がん看護学特論Ⅵ演習(緩和ケア演習)」の14単位を配置した。 また、講義・演習科目の理解を深め、専門看護師の6つの役割を果たす能力、複雑な問題をもつ患者の看護を実践する能力を培うため、「がん看護学実習Ⅰ(診断と治療)」、「がん看護学実習Ⅱ(高度実践・役割)」、「がん看護学実習Ⅲ(緩和ケア)」、「がん看護学実習Ⅳ(在宅緩和ケア)」の10単位を配置した。また、がん専門病院、緩和ケア病棟を実習施設とし、緩和ケアのサブスペシャリティーの実習ができるようにした。 更に、課題研究の2単位を配置した。これは、研究計画書を作成し修士論文(課題研究)を作成することを目標として、患者・家族の抱える問題、臨地での問題を改善・改革するために研究的方法を用いて取り組むための基礎的能力を養う。 主たる科目の概要 (1)がん看護学特論Ⅰ(腫瘍病態学) 腫瘍の定義と分類、腫瘍の診断、腫瘍の分化度や腫瘍の増殖および浸潤・転移など腫瘍の生 物学的および臨床的特徴、発癌のメカニズムと癌遺伝子の役割および多段階的発癌のしくみ、腫瘍の疫学、発がんの危険因子、腫瘍の病気と予後および治療など、ヒト腫瘍学の病態全般に3)がん看護学領域の科目構成
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