令和4年度 獨協医科大学大学院 看護学研究科シラバス
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- 119 -決し、二次的に生じる様々な身体・心理・社会的問題の発生を予防する。高度な看護実践を提供できる専門看護師を育成する。 特に、医療の対象となる老年者とその家族へ、診断―治療による生活への影響を査定し、キュアとケアを統合した看護を提供し、多職者と協働・協調を通して問題解決を図り、退院・在宅への移行を支援する老年者に特化した老年急性期看護を探究する。 さらに急増する認知症高齢者の病院・施設・在宅における生活支援及び、認知症の診断~治療過程における老年者と家族の混乱や困惑をとらえ、生活再構築に向けた看護及びサポート体制構築のあり方について探究する。 老年看護専門看護師が修得すべき能力は、老年者と家族が抱える複雑な看護問題を査定し、老年者と家族が希望する優先順位や身体的侵襲の程度やケアを提供する家族や専門職者のケア能力を考慮して、最善のケアを計画し、実践できる判断能力及び実践力である。また社会保健福祉制度及びサポートシステムを活用し、老年者や家族及び多職者との協調的関係を図りチーム医療福祉の連携をするため、効果的な情報交換を行うコミュニケーション能力が求められる。さらに、高齢社会が抱える、政策上の課題を看護の視点から解決策を提言するためのプレゼンテーション能力や問題状況を分析できる能力も求められる。 そのため「老年看護学専門看護師コース」においては、学修方法は、主体的に学修することを基本とし、文献検討及びフィールドワークを取り入れプレゼンテーション、ディスカッションを繰り返し、学修を進める。 授業は、講義科目・演習科目・実習科目を設定する。 講義科目は、5科目を設定する。 高齢社会及び老年看護学発展の歴史的変遷をふまえた老年看護学の誕生の経緯と老年看護学の基礎及び看護実践に有用な理論を学ぶ「老年看護学特論Ⅰ(老年看護学の基盤)」、加齢に伴う身体的、心理的、社会的変化と生活を査定する必要性と方法を学修する「老年看護学特論Ⅱ(アセスメント・健康生活評価)」、生理的加齢や病的加齢、健康障害により出現する身体徴候を学修する「老年看護学特論Ⅲ(老年病病態治療学)」、老年者と家族の看護問題へのアプローチを探究する「老年看護学特論Ⅳ(看護介入方法)」、老年者を取り巻く社会システムを学修する「老年看護学特論Ⅴ(保健医療福祉政策・サポートシステム)」を設定する。 演習科目は、2科目を設定する。 日々展開されている看護実践の中で埋没してしまいがちな自らの「経験知」に気づき自己の課題を見出すことができるよう、看護実践の分析・評価する能力を培うことを目的として、「老年看護学演習Ⅰ(老年急性期看護) 」、「老年看護学演習Ⅱ(認知症高齢者看護) 」を設定する。「老年看護学演習Ⅰ(老年急性期看護) 」では、医療の高度化に伴い高度先端医療の対象となる老年者の診断~治療過程で生じる意思決定や二次障害などの老年期特有の看護問題への対応を文献、事例展開及びフィールドワークを通して、臨床への応用可能な老年急性看護学について探究する。 「老年看護学演習Ⅱ(認知症高齢者看護)」では、認知症の診断とその後の生活構築への支援方法や認知症を有しながら新たな健康障害により入院治療を必要とする認知症高齢者の看護について、文献、事例及びフィールドワークを通して探究する。 また「実習科目」は、講義・演習科目の理解を深め、専門看護師の6つの役割を果たす能力、複雑な看護問題をもつ老年者の看護を実践する能力を培うため、「老年看護学実習Ⅰ(老年急性期高度実践看護・役割)」・「老年看護学実習Ⅱ(認知症高齢者高度実践看護・役割)」を配置する。 「老年看護学実習Ⅰ(老年急性期高度実践看護・役割)」は、二次・三次救急医療機関で、様々な専門看護師、認定看護師と共にチームでの看護実践を通して、専門看護師の役割について探究する。 「老年看護学実習Ⅱ(認知症高齢者高度実践看護・役割)」では、認知症高齢者と家族の診断と新たな生活への適応過程を支援する看護実践及び倫理的課題に対する専門看護師としての役割を探

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