令和元年度 獨協医科大学埼玉医療センター 病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 1528 699 794 1060 1689 2216 3777 6555 2671 233
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
小児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
080270xxxx1xxx 食物アレルギー 手術・処置等1あり 73 1.01 2.15 0.00 2.82
050200xx99xxxx 循環器疾患(その他) 手術なし 52 3.04 7.12 0.00 12.62
140010x199x00x 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重2500g以上) 手術なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 51 8.67 6.17 1.96 0.02
140010x299x0xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重1500g以上2500g未満) 手術なし 手術・処置等2なし 29 16.62 11.16 0.00 0.00
140620xx99xxxx その他の先天異常 手術なし 27 8.15 7.77 0.00 8.78
小児科では、生まれたばかりの赤ちゃんから、慢性の病気で小児期から治療し成人になった患者さんまで幅広い年齢や分野の患者様をみています。症例数の第1位は食物アレルギーなどのアレルギー疾患です。第2位は起立性調節障害や先天性心疾患などの循環器疾患です。第3位と4位は新生児センターで治療が必要な未熟児や呼吸障害などの新生児です。プラダウイリ症候群や代謝疾患などの先天異常の患者さんの頻度も多いです。ガイドラインにそった標準治療を行っています。
外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060035xx01000x 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍 結腸切除術 全切除、亜全切除又は悪性腫瘍手術等 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 121 15.30 15.02 0.00 71.52
060160x001xxxx 鼠径ヘルニア(15歳以上) ヘルニア手術 鼠径ヘルニア等 80 3.31 4.85 0.00 69.90
060020xx02x00x 胃の悪性腫瘍 胃切除術 悪性腫瘍手術等 手術・処置等2なし 副傷病なし 69 11.75 16.12 2.90 73.07
060330xx02xxxx 胆嚢疾患(胆嚢結石など) 腹腔鏡下胆嚢摘出術等 38 6.53 6.37 0.00 65.13
060040xx02000x 直腸肛門(直腸S状部から肛門)の悪性腫瘍 肛門悪性腫瘍手術 切除等 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 27 21.48 15.48 0.00 67.52
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
07040xxx01xxxx 股関節骨頭壊死、股関節症(変形性を含む。) 人工関節再置換術等 156 21.71 21.53 12.82 65.58
070180xx97xxxx 脊椎変形 手術あり 82 20.87 22.78 15.85 34.41
070230xx01xxxx 膝関節症(変形性を含む。) 人工関節再置換術等 72 23.17 23.56 11.11 74.78
070210xx01xxxx 下肢の変形 骨切り術 前腕、下腿等 40 22.38 22.01 5.00 62.03
070230xx02xxxx 膝関節症(変形性を含む。) 骨穿孔術等 32 23.13 27.40 3.13 63.66
股関節
若年者の生まれつきの股関節疾患をはじめ、高度な股関節の変形、股関節周囲の外傷や過去の股関節手術歴を有する股関節疾患など幅広い症例に対応しております。ご自身の骨が温存できる骨切り術や早期社会復帰も目指せる人工股関節置換術(THA)など、患者さんの有する股関節疾患に加え年齢や社会背景に合わせた手術の方法を相談、行うことが可能です。また人工関節においては高齢の方でも安全にかつリハビリが進みやすくなるように低侵襲性の術式を採用しており、少ない疼痛、脱臼の軽減、早期歩行開始が可能となっております。
治療についての相談内容に関しては、手術だけでなく装具治療や日常動作指導、リハビリ指導なども行っております。

膝関節
中高齢者の変形性膝関節症に対する治療から若年者のスポーツ外傷まで幅広く手術・加療を行っています。生活背景・症状・患者さんのニーズに合わせて人工膝関節置換術(TKA/UKA)、around knee osteotomy(高位腟骨骨切り術、大腿骨遠位骨切り術、double level osteotomyなど)を選択する、semi-order madeの変形性膝関節症治療を提供することを目標としています。
スポーツ外傷に対しては靱帯再建・半月板縫合術・半月板修復術(鏡視下セントラリゼーション法)など機能回復・組織温存を重視して治療を行っています。

脊柱変形
頸椎から仙椎までの脊椎と脊髄の疾患や外傷に対し手術を行っております。脊柱変形の手術矯正や若年者の脊柱側弯症(思春期特発性側弯症、早期発症側弯症)および中高齢者の脊柱変性後側弯症(成人脊柱変形)に対しに対して良好なアライメント(脊椎の形)を目指した矯正手術を実施しております。腰部脊柱狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアに対しては近年注目を浴びている小侵襲脊椎手術も行ってます。また高齢化する社会においてより増加しつつある骨粗軽症に対する治療も積極的に行っており、疼痛が遷延する骨粗縣症性椎体骨折に対しては、より低侵襲なBKP(バルーンカイフォプラスティ)からアライメント矯正のための前後合併手術まで幅広く対応しております。

下肢変形
先天的に短い下肢や曲がっている下肢、骨折や腫瘍などに伴う下肢の変形に対し手術を行ってます。手術は骨切り術や創外固定を用いた矯正、短い骨を伸ばす骨延長術、骨の成長線を利用し成長と共に変形を矯正する方法などがあります。下肢の荷重軸や脚長差を矯正することにより歩行が改善される手術です。

足・足関節
足や足関節の痛みの原因となる疾患や変形(変形性足関節症、靭帯損傷、外反母趾や扁平足、麻痺性の足部変形など)に対し保存加療では症状が軽快し得なかった症例に対し手術を行っています。手術は関節鏡を用いた低侵襲な手術から、短縮してしまった腱を延長ないしは移行する手術、骨切り術、人工関節置換術など患者さんの病態に合わせて手術を行います。

小児疾患
先天性の足部変形(先天性内反足、先天性垂直距骨下、足根骨癒合症など)に対する手術や股関節の疾患(発育性股関節形成不全、ペルテス病、大腿骨頭すべり症など)、外傷(骨折や骨端線損傷)に対する手術を行っています。
適切な治療を行えば子供は元気に成長します。子供の成長、発達を常に考え子供の将来を見据え治療していぎます。
形成外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
070010xx010x0x 骨軟部の良性腫瘍(脊椎脊髄を除く。) 四肢・躯幹軟部腫瘍摘出術等 手術・処置等1なし 副傷病なし 35 6.03 5.41 0.00 54.51
160200xx0200xx 顔面損傷(口腔、咽頭損傷を含む。) 鼻骨骨折整復固定術等 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 35 4.71 5.26 0.00 30.31
070010xx970xxx 骨軟部の良性腫瘍(脊椎脊髄を除く。) その他の手術あり 手術・処置等1なし 13 3.15 4.67 0.00 27.54
080010xxxx0xxx 膿皮症 手術・処置等1なし 6 19.83 12.55 0.00 44.50
160200xx0100xx 顔面損傷(口腔、咽頭損傷を含む。) 下顎骨折観血的手術等 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 6 12.00 14.04 0.00 43.17
診療科別症例数トップ5
  1. 骨軟部の良性腫瘍。四肢・躯幹軟部腫瘍摘出術等 手術・処置等1なし 副傷病なし
    四肢および体幹部は、体表面の皮膚、体の中心構造を支える硬組織である骨、およびその間の筋肉、脂肪などの軟部組織などでできています。軟部組織にできる腫瘍が、「軟部腫瘍」ですが、その多くは、脂肪組織から発生する「脂肪腫」です。脂肪腫は、直径1cmに満たない小さいものから、長径30cm以上になる大きいものまであります。小さいものでは、外来手術で摘出することができますが、大きいものや深い部位に存在する場合は、入院、全身麻酔で安全に摘出する手術を行います。手術後、創部が自宅で処置できる状態となれば退院可能であり、当科での入院期間の平均は6.0日です。

    患者用パス:あり

  2. 顔面損傷(口腔、咽頭損傷を含む)鼻骨骨折整復固定術等 手術・処置など1なし手術・処置等2なし
    顔面の外傷は、おもに表面の皮膚や軟部組織を損傷する場合と、より深い顔の骨を損傷する場合があります。皮膚・軟部組織の損傷では、創部の縫合などにより、損傷する前の状態に戻す、あるいは近づける処置を行います。損傷した部位が多数であったり、重要な組織の損傷があったりする場合は、全身麻酔での処置を行います。
    顔の骨の骨折(顔面骨骨折)には、受傷される部位により、鼻骨骨折、頬骨骨折、下顎骨骨折などがあります。顔面骨骨折では、他の部位の骨折と同様に、機能的あるいは整容性を改善する目的で、受傷3週間以内を目途に、骨折を整復し固定する手術を行います。形成外科では、鼻骨骨折整復固定術は、骨折の状態を受傷前になるべく近い状態に戻すために、入院、全身麻酔で手術をしています。鼻骨骨折の整復固定術後は、全身状態に問題がなければ退院可能となり、当科での入院期間の平均は4.7日です。

  3. 骨軟部の良性腫瘍。その他の手術あり 手術・処置等1なし
    骨軟部の良性腫瘍。四肢・躯幹軟部腫瘍摘出術等 手術・処置等1なし 副傷病なしとの症例の違いがわかりません。
    当科での入院期間の平均は3.2日です。

    患者用パス:あり

  4. 膿皮症 手術・処置等なし
    「膿皮症」の診断群分類には、膿皮症の他、皮膚及び皮下組織のその他の局所感染症、蜂窩織炎、皮膚膿瘍などが含まれます。各疾患に共通しているのは、皮膚・皮下組織の感染であり、組織の感染に対して、適切な抗生物質の投与による全身的な治療、および洗浄や軟膏処置などの外用剤による局所的な治療を行います。一般的には、皮膚及び皮下組織のその他の局所感染症や蜂窩織炎では、主に保存的な治療を行います。一方、膿皮症(皮膚・皮下に瘻孔を形成し、難治性の感染巣を形成)では病巣の切除や、皮膚膿瘍では膿瘍部の切開排膿を行い、いずれも組織欠損部が生じた場合は、皮膚や皮弁の移植による創部の閉鎖などの外科的な治療を行います。当科での入院期間の平均は19.8日です。

    患者用パス:なし

  5. 顔面損傷(口腔、咽頭損傷を含む)下顎骨折整復固定術等 手術・処置など1なし手術・処置等2なし
    顔面の外傷は、おもに表面の皮膚や軟部組織を損傷する場合と、より深い顔の骨を損傷する場合があります。皮膚・軟部組織の損傷では、創部の縫合などにより、損傷する前の状態に戻す、あるいは近づける処置を行います。損傷した部位が多数であったり、重要な組織の損傷があったりする場合は、全身麻酔での処置を行います。
    顔の骨の骨折(顔面骨骨折)には、受傷される部位により、鼻骨骨折、頬骨骨折、下顎骨骨折などがあります。顔面骨骨折では、他の部位の骨折と同様に、機能的あるいは整容性を改善する目的で、受傷3週間以内を目途に、骨折を整復し固定する手術を行います。
    下顎骨骨折は、入院、全身麻酔で手術をしています。下顎骨の整復固定術後では、骨折部を整復して固定する他、噛み合わせをより良い状態に誘導・維持するために、一時的に上下の歯を固定して口が開かないように固定します。また上下の歯の固定解除後は、開きにくくなった口を大きくあけるための訓練を行います。当科での入院期間の平均は12.0日です。

    患者用パス:あり
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010030xx9910xx 未破裂脳動脈瘤 手術なし 手術・処置等1あり 手術・処置等2なし 93 3.02 3.01 0.00 61.57
010030xx03x00x 未破裂脳動脈瘤 脳血管内手術 手術・処置等2なし 副傷病なし 51 8.47 9.24 0.00 58.78
010040x099000x 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 41 18.59 18.81 43.90 58.88
010010xx01x00x 脳腫瘍 頭蓋内腫瘍摘出術等 手術・処置等2なし 副傷病なし 39 17.23 21.14 10.26 57.69
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 手術なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 37 8.54 7.34 8.11 54.08
【診療科別症例数】
[未破裂脳動脈瘤 手術なし]
未破裂脳動脈瘤は健常人の約3%に認められる疾患です。未破裂脳動脈瘤があることのみで頭痛や麻痺、痺れなどの症候を呈することは稀ですが、問題となるのは動脈瘤が破裂することにより、くも膜下出血を呈することがあることです。くも膜下出血による致死率は3割前後であり、社会復帰可能な方は3割前後のみの疾患です。未破裂脳動脈瘤が破裂して、くも膜下出血を呈する可能性は大きさや部位、形状などにより様々でありますが、全てを総合すると年間の破裂率は1 – 2%です。一般的に5mm以下の動脈瘤ですと更に可能性は低くなりますが、大きいものでは稀に年間破裂率が10%を超える動脈瘤もあります。動脈瘤の性状に応じて経過を見てもよいものか、治療を考慮すべきかなど、今後の方針を個別に相談させて頂きます。

[未破裂脳動脈瘤 脳血管内手術]
未破裂脳動脈瘤を認めた際には方針として、経過観察、開頭脳動脈瘤クリッピング術、血管内塞栓術があります。動脈瘤の性状に応じて方針を相談させて頂きますが、動脈瘤に対する治療が必要と判断された場合、通常2泊3日の入院の上、血管造影検査の後、開頭脳動脈瘤クリッピング術もしくは血管内塞栓術を選択させて頂きます。各々の治療方法には利点、欠点があり、脳血管内手術も開頭手術もいずれも可能な指導医・専門医による十分な討議の後、総合的に判断した上で相談させて頂きます。当院では、開頭することなく非侵襲的な血管内治療を第一選択として脳動脈瘤の治療を行っており、全国でも有数の治療件数と治療方法を誇っています。血管内治療が困難な症例であっても開頭手術の優れた術者による治療が可能です。

[非外傷性硬膜下血腫]
転倒などによる頭部外傷後に頭部精査で問題がなくとも、数カ月後に脳と脳を保護する硬膜の間に血混じりの液体が溜まり、脳が圧迫されることで意識障害や麻痺、痙攣などの症状を呈することがあります。慢性硬膜下血腫と診断された場合、麻痺などの症状を呈している際は、血腫を洗浄、除去する手術が必要となります(血腫の少ない場合や症状のない場合などは内服による加療もあります)。手術は局所麻酔下で多くが30分程度で終了し、術直後には症状は改善し、1週間程度の入院加療となります。

[脳腫瘍]
脳腫瘍とは、頭蓋内に発生する腫瘍の総称で、各部位から様々な腫瘍が発生します。脳の細胞、脳を覆う膜や脳神経などから発生する腫瘍は原発性腫瘍と、頭蓋外の悪性腫瘍(癌)から頭蓋内へと転移する転移性脳腫瘍があります。また、増殖速度の遅く正常組織との境界が明瞭である良性腫瘍と、増殖速度が速く周囲組織に浸潤する悪性腫瘍に大きく分けられます。原発性脳腫瘍は病理学的検査や遺伝子検査により150種類以上に分類されます。その分類、発生部位や患者様の状態に合わせた最良の治療を行います。

[非外傷性頭蓋内血腫]
非外傷性頭蓋内出血の多くは脳出血です。脳出血のほとんどが高血圧や動脈硬化などにより脳の中を走る細い動脈が突然破れることにより引き起こされます。その他、稀に脳動静脈奇形や脳硬膜動静脈瘻などの血管疾患により脳出血が引き起こされることがあります。どのような症状が現れるかは、出血部位や出血の程度により異なりますが、最悪の場合、命の危険性を伴うが場合や、意識障害、高次脳機能障害や麻痺などの重篤な後遺症が残る場合があります。早期の治療とリハビリテーションおよび再発予防のための治療が必要となります。
呼吸器外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx97x0xx 肺の悪性腫瘍 手術あり 手術・処置等2なし 111 13.47 11.51 0.90 70.78
040200xx01x00x 気胸 肺切除術等 手術・処置等2なし 副傷病なし 50 9.66 10.18 0.00 41.70
040010xx01x0xx 縦隔悪性腫瘍、縦隔・胸膜の悪性腫瘍 縦隔悪性腫瘍手術等 手術・処置等2なし 13 13.46 9.75 0.00 60.46
040040xx99040x 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等24あり 副傷病なし 9 9.11 9.59 0.00 70.44
040150xx97x00x 肺・縦隔の感染、膿瘍形成 手術あり 手術・処置等2なし 副傷病なし 7 20.14 31.04 14.29 71.29
診療科別症例数トップ5

当科では、肺癌に対する肺葉切除の85%、気胸・肺嚢胞に対する手術の95%程度は、低侵襲手術として胸腔鏡下手術(完全胸腔鏡、ハイブリッド胸腔鏡、ロボット支援、単孔式)で施行しております。肺悪性腫瘍手術例、縦隔悪性腫瘍手術例は、大学病院・総合病院として多様な合併疾患、併発疾患を持つ方の手術割合が多いため、全国平均より在院日数が数日長くなっています。
今回の集計では、気胸に対する肺切除術では、入院期間が全国平均よりも0.5日短くなりました。これは、気胸の緊急入院・胸腔ドレナージ後の術前待機期間が短くなったことを反映しています。
心臓血管外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050163xx03x0xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 ステントグラフト内挿術 手術・処置等2なし 41 10.90 11.75 2.44 75.22
050080xx97010x 弁膜症(連合弁膜症を含む。) その他の手術あり 手術・処置等1なし、1あり 手術・処置等21あり 副傷病なし 30 15.87 19.05 3.33 85.20
050080xx01010x 弁膜症(連合弁膜症を含む。) ロス手術(自己肺動脈弁組織による大動脈基部置換術)等 手術・処置等1なし 手術・処置等21あり 副傷病なし 27 23.37 23.77 0.00 69.70
050163xx01x10x 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 大動脈瘤切除術(吻合又は移植を含む。) 上行大動脈及び弓部大動脈の同時手術等 手術・処置等21あり 副傷病なし 24 27.71 28.02 4.17 69.96
050163xx99000x 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 17 5.18 8.28 0.00 78.24
主要手術
大動脈が太く拡張した状態を大動脈瘤といい,大きくなると破裂して死に至ります.手術の方法には,人工血管に置換する方法(人工血管置換術)とバネ付きの人工血管をカテーテルで血管内に挿入する方法(ステントグラフト内挿術)があります.人工血管置換術は開腹手術でやや侵襲が大きいものの長期成績が安定しているという特徴が,ステントグラフト内挿術は,創が小さく体への侵襲は小さいが,術後に人工血管周囲に漏れ(エンドリーク)などが生じ,再治療が必要になる可能性はあるという特徴があります.当院では大動脈瘤の形態や患者さんの年齢,全身状態などを考慮し,また患者さんとよく相談のうえ,手術方法の選択をしています。

経カテーテル的大動脈弁置換術は、大動脈弁狭窄症(弁が硬くなり狭くなった病気)に対して、カテーテルによって人工弁を植え込む方法です。胸を切らずに手術できるので、体への負担が少なく、高齢者(概ね80歳以上)や合併疾患を多く抱えた患者さんに敵した方法です。

冠動脈バイパス術は,心臓の筋肉を栄養する冠動脈に狭窄や閉塞が生じた場合に行う手術です.狭心症による胸痛などの症状を改善させ,心筋梗塞による突然死や心不全を予防する効果があります.当科では.患者さんの血管の状態や全身状態によって,人工心肺を使用する方法と使用しない方法のどちらが良いかを考え手術術式の選択をしています。

心臓弁膜症は心臓の弁が悪くなり、狭窄や閉鎖不全(逆流)を起こす疾患です。自分の弁で修復可能な場合は弁形成術を、修復が難しい場合は人工弁置換術を行います。人工弁には、機械弁(金属でできた弁)と生体弁(ウシやブタの組織で作成された弁)があります。術式にはそれぞれメリット、デメリットがあり、患者さんの年齢や状態、希望などを加味し医師と患者さんで相談の上選択します。
小児外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
140590xx97xxxx 停留精巣 手術あり 185 3.99 3.13 0.00 1.69
060160x101xxxx 鼠径ヘルニア(15歳未満) ヘルニア手術 鼠径ヘルニア等 102 2.99 2.81 0.00 3.24
180060xx97xxxx その他の新生物 手術あり 40 3.30 6.39 0.00 4.83
080180xx99xxxx 母斑、母斑症 手術なし 36 2.94 3.92 0.00 2.53
060150xx03xxxx 虫垂炎 虫垂切除術 虫垂周囲膿瘍を伴わないもの等 33 4.09 5.45 0.00 10.09
  1. 停留精巣
    • 精巣が、お腹の中や、足の付けねに止まってしまい、おちんちんの袋(陰のう)まで落ちてこないことを停留精巣と言います。袋にあったり、触れなくなったりするのを、遊走精巣と言います。
    • 精巣は、妊娠7ヶ月でお腹の中から袋に下降します。しかし、生まれてすぐの赤ちゃんの5%に停留精巣が認められますが、7割は自然に治ります。生後6か月以降になると、自然に治ることは極端に少なくなります。停留精巣を放置すると、不妊症の原因となりますが、正い位置に精巣を固定する手術を行うことで、危険性が半減します。遊走精巣は、精子を作る能力に異常が生じず、成長とともに自然に袋に収まってしまうこもが多いのですが、まれに停留精巣となってしまうことがあるため定期的な診察が必要です。
    • 獨協医科大学埼玉医療センターでは、精巣に詳しい小児泌尿器科医や小児外科医が診療にあたり、生後6か月以降から、遅くとも2歳までには手術行います。術後も将来まで精巣の機能に問題がでないか経過を診ますので安心して受診してください。

  2. 鼠径ヘルニア
    • 小児外科で扱う疾患の中で最も多いもののひとつです。腹膜が足の付け根(鼠径部)に袋状になって突出しているところに、腸管や卵巣(女児)が脱出するため、同部位が膨らんで見えることで異常に気がつきます。脱出臓器が袋に入り込んで戻らなくなり(嵌頓)ねじれたりむくんだりすることによって、血流が少なくなり、臓器が壊死してしまうことがあるので、見つけたら早めの手術が必要とされます。

  3. その他の新生物
    • 石灰化上皮腫
      毛母細胞由来の腫瘍で、石灰沈着をともない皮膚(皮下)の硬い腫瘤として発見されます。顔面や頸、上腕などに好発し、大きさは0.5-3 cm程度です。2個以上の発生をみることもあります。徐々に大きくなり、出血や感染をともなうことがあるので、手術による摘除の対象になります。
    • 乳児繊維性過誤腫
      新生児や乳児の皮下に発生する良性腫瘍で、腋窩や四肢、体幹に好発します。急に大きくなることもあります。切除が必要ですが、周囲の正常な脂肪組織との境界が不明瞭なため、再発することがあります。再発1年以内にみられ、12%の頻度とされています。
    • 皮様嚢腫
      前額部や上眼瞼外側に好発する円形の良性腫瘍です。中には脂肪を含み、切除すれば再発は少ないとされています。発育は緩徐ですが、外傷などを契機として増大したり、炎症を起こすこともあります。骨膜に嚢腫壁が固着している場合があります。

  4. 母斑
    • 皮膚の生まれつきの異常の中で、多いものが色調の異常です。いわゆる赤あざ、茶あざ、青あざと言われ、範囲は様々です。
    • 赤あざには、ポートワイン母斑がありますが、皮膚のみではなく他の部分に症状が現れることを母斑症といい、スタージ・ウェーバー症候群が代表的です。レーザー治療が最も効果的でありダイレーザーという波長595nmの光を照射し、異常に拡張した血管を減少させます。乳児血管腫は母斑ではなく良性腫瘍ですが、ダイレーザーがよく効きます。プロプラノロールによる内服治療も行なっています。
    • 茶アザは扁平母斑や色素性母斑で、波長694nmのQスイッチルビーレーザー照射を行いますが、扁平母斑の場合は個人差が大きく、まず外来で一部の試験照射を行い、再発がなければ全体の照射を行うこととしています。逆に色素性母斑は扁平母斑の様な個人差はありませんが、深い部分まで存在するため、大きさが大きい場合は悪性化の可能性があるため切除法を取ることもあります。
    • 青あざは顔面では太田母斑、肩にあると伊藤母斑、その他の部位であれば殿裂を除き、異所性蒙古斑と呼ばれます。Qスイッチルビーレーザーが最も良い治療になります。広範囲であれば全身麻酔下に照射を行います。異所性蒙古斑の濃いものは大きくなるまで待っても消えないばかりか、レーザー後の色素沈着が長く続きますので1歳前に照射を開始することとしています。

  5. 虫垂炎
    • 虫垂炎は腹痛、嘔吐、発熱などを主症状とする虫垂の化膿性炎症性疾患です。学童期のこどもに多く見られる病気ですが、2-3歳の幼児にもみられるため注意が必要です。最初はおへその周りや上のほう(胃のあたり)を痛がり、1-2日で痛みが右の下腹部へ移動するのが虫垂炎に特徴的な腹痛です。痛みのためお腹を抱えて前かがみで歩いたり、ジャンプすると右下腹部の痛みが強くなるなどの特徴があります。
    • こどもの虫垂炎は穿孔し、腹膜炎に進行しやすいといわれます。進行しないうちに手術(虫垂切除術)をするのが最も確実で、効果的な治療法です。ただし、すでにを穿孔し大きな塊や膿瘍を作っている場合には、抗菌剤で治めてから3-4ヵ月後に待機的虫垂切除術を行います。また最近では、炎症や腹痛が強くない場合、抗菌剤のみで炎症を抑えて手術をしないという選択肢もあります。
産婦人科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
12002xxx99x40x 子宮頸・体部の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等24あり 副傷病なし 259 4.36 4.58 0.00 62.57
120010xx99x50x 卵巣・子宮附属器の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等25あり 副傷病なし 178 3.63 4.39 0.56 62.71
120010xx99x70x 卵巣・子宮附属器の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等27あり 副傷病なし 101 3.14 4.27 0.00 61.69
120060xx01xxxx 子宮の良性腫瘍 子宮全摘術等 99 9.55 9.71 0.00 46.09
120070xx01xxxx 卵巣の良性腫瘍 卵巣部分切除術(腟式を含む。) 開腹によるもの等 97 10.18 10.11 0.00 49.61
眼科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020110xx97xxx0 白内障、水晶体の疾患 手術あり片眼 875 2.98 2.78 0.00 73.34
020110xx97xxx1 白内障、水晶体の疾患 手術あり両眼 295 4.50 5.09 0.00 75.00
020160xx97xxx0 網膜剥離 手術あり片眼 203 7.19 9.33 0.00 58.64
020200xx9710xx 黄斑、後極変性 手術あり 手術・処置等1あり 手術・処置等2なし 138 4.88 6.71 0.00 71.14
020180xx97x0x0 糖尿病性増殖性網膜症 手術あり 手術・処置等2なし片眼 110 7.57 7.29 0.00 56.69
耳鼻咽喉科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030350xxxxxxxx 慢性副鼻腔炎 132 6.78 6.80 0.00 54.99
030150xx97xxxx 耳・鼻・口腔・咽頭・大唾液腺の腫瘍 手術あり 89 8.33 7.24 0.00 59.43
030240xx99xxxx 扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽頭喉頭炎 手術なし 88 6.14 5.45 0.00 36.61
030440xx01xxxx 慢性化膿性中耳炎・中耳真珠腫 鼓室形成手術 82 8.99 7.85 0.00 43.30
030230xxxxxxxx 扁桃、アデノイドの慢性疾患 78 8.26 7.80 0.00 31.09
診療科別症例数トップ5
  1. 慢性副鼻腔炎
  2. 耳・鼻・口腔・咽頭・大唾液腺の腫瘍 手術あり
  3. 扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽頭喉頭炎 手術なし
  4. 慢性化膿性中耳炎・中耳真珠腫 鼓室形成手術
  5. 扁桃、アデノイドの慢性疾患
市民向け解説
当科では耳、鼻、咽喉頭、頭頸部全般にわたる幅広い疾患に対応しております。手術加療が必要な疾患の中では慢性副鼻腔炎、慢性中耳炎、真珠腫性中耳炎が多く、中耳炎に対する手術では入院期間は9.0日であり、慢性副鼻腔炎では6.8日となっています。より安全な手術を目指しているため慢性中耳炎および慢性副鼻腔炎に対する手術の入院期間は全国平均をやや上回りますが、術後の感染や再出血による再入院はほとんど認めておりません。昨年度と比較し、頭頸部腫瘍に対する手術が飛躍的に増加しており、頭頸部腫瘍に対する治療に関しても力を注いでおります。
また、手術加療以外の疾患にも対応しており、当科では急性扁桃炎、扁桃周囲膿瘍をはじめとする炎症性疾患の入院症例が最も多い状況です。急性扁桃炎では入院のうえ抗菌薬の点滴加療を行いますが、扁桃周囲膿瘍では穿刺または切開による排膿が必要であり、重症例の受け入れが多いため平均の入院期間は6.1日となっています。通院の簡便さや時間的な制限の緩和を目的に地域の診療所や病院と積極的な地域連携を強化しており、退院後の通院先を紹介することが可能な体制を整えております。
脳神経内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010060x2990401 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等24あり 副傷病なし発症前Rankin Scale 0、1又は2 38 18.89 16.13 28.95 70.66
010090xxxxx00x 多発性硬化症 手術・処置等2なし 副傷病なし 33 17.12 14.46 12.12 44.64
010110xxxxx40x 免疫介在性・炎症性ニューロパチー 手術・処置等24あり 副傷病なし 33 23.24 15.90 21.21 57.42
030250xx991xxx 睡眠時無呼吸 手術なし 手術・処置等1あり 30 2.00 2.03 0.00 63.93
010130xx99x4xx 重症筋無力症 手術なし 手術・処置等24あり 26 25.35 17.16 0.00 56.12
  1. 脳梗塞(脳卒中発症3日以内、かつ、JCS 10未満)手術なし 手術・処置なし 手術・処置等24あり 定義副傷病なし 発症前 Rankin Scale 0,1 又は 2
  2. 多発性硬化症 手術・処置等2なし 副傷病なし
  3. 免疫介在性・炎症性ニューロパチー 手術· 処置あり定義副傷病なし
  4. 睡眠時無呼吸 手術なし 手術・処置等1あり
  5. 重症筋無力症 手術なし 手術・処置等2なし
  1. 脳卒中医療は脳神経外科と密な連携を行っています。急性期で重症な方は脳卒中ケアユニット(Stroke Care Unit, SCU)で管理し、血管内治療あるはい手術が必要な症例では脳経外科が担当します。多職種合同カンファレンスにて、在宅へ退院できない方は回復期リハビリ施設あるいは療養型病院へ引き継いでいきます。
  2. 多発性硬化症は、視力障害、感覚障害、運動麻痺などさまざまな神経症状の再発と寛解を繰り返す、厚生労働省が指定する自己免疫性脱髄性疾患のひとつです。適切な治療により、症状が現れなくなる寛解期をむかえます。診断には神経診察や脳脊髄液検査、電気生理検査、MRI検査が必要です。神経症状の早期回復ならびに再発の予防、障害の進行抑制を目的とした薬物療法が中心に行います。
  3. 免疫介在性・炎症性ニューロパチーの代表はギランバレ一症候群です。上・下肢からしびれや筋力低下が始まり徐々にその範囲が拡大します。肩や腰の激痛を伴うこともあります。症状が進行すると四肢麻痺、歩行困難、嚥下困難、呼吸困難を来します。病気の部位は末梢神経であるため MRI 検査では診断できず、診断には神経診察や髄液検査、電気生理検査が必要です。早期治療とリハビリにより社会復帰を目指しています。
  4. 睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中にいびきあるいは呼吸が止まることにより血液中に取り入れられる酸素量が大幅に減り、血液中の酸素濃度を表す「動脈血酸素飽和度」が繰り返す低下する病態です。酸素不足を補うために心拍数は跳ね上がり、これに従って血圧も急激に上がります。心臓や脳、血管に大きな負担がかかるこの異常状態が、1晩に何度も繰り返され、治療を行わなければ数年にわたって続くのです。蓄積された負担は、高血圧症、狭心症、心筋梗塞、慢性心不全、不整脈、糖尿病といった疾患を併発する要因となります。当科では脳卒中予防の観点から診断、治療介入を行っています。
  5. 重症筋無力症は瞼が下がる、ものが二重にみえる、四肢の筋力低下がみられ、さらに飲み込みが悪くなったり、呂律が回りにくくなったりすることがあります。病変部位は神経筋接合部であるため、薬による反応をみるテストや電気生理検査が必要です。基本的には免疫療法になりますが、胸腺腫がある方は呼吸器外科と相談し手術を行うことがあります。
皮膚科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
080006xx01x0xx 皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外) 皮膚悪性腫瘍切除術等 手術・処置等2なし 159 7.31 7.90 0.00 75.08
080007xx010xxx 皮膚の良性新生物 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)等 手術・処置等1なし 85 5.13 4.01 0.00 50.11
080020xxxxxxxx 帯状疱疹 23 7.74 9.00 0.00 70.52
080005xx01x0xx 黒色腫 皮膚悪性腫瘍切除術等 手術・処置等2なし 21 13.05 12.62 0.00 56.71
080006xx97x0xx 皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外) その他の手術あり 手術・処置等2なし 19 13.37 10.28 0.00 75.37
超高齢化社会を迎え、皮膚悪性腫瘍患者は顕著に増加し、入院患者様の7割を占めます。皮膚悪性腫瘍の治療は術式や手術部位を問わず入院治療を原則としています。基底細胞癌が最も多く、有棘細胞癌、悪性黒色腫、乳房外パジェット病、ボーエン病が主要な疾患です。この他にも血管肉腫、メルケル細胞癌、脂腺癌など稀ながら極めて悪性度の高い腫瘍の治療も行っております。腫瘍を正確に切除し、悪性黒色腫、メルケル細胞癌、有棘細胞癌、乳房外パジェット病に対してはセンチネルリンパ節生検も行っております。リンパ節転移を伴う場合はリンパ節郭清術を行います。また、欠損部を機能的、外観的に良い状態に再建することも重要です。
手術以外にも必要があれば抗がん剤や放射線治療も行い、症例ごとに最善の治療方法を選択します。また、粉瘤や脂肪腫といった良性腫瘍も大きさや部位によって入院での手術を行っています。入院手術を行う患者様を対象とした「腫瘍外来」という専門の外来を設けております。
手術以外では、皮膚筋炎、強皮症などの膠原病、ウイルス・薬剤による中毒疹、水疱症、アトピー性皮膚炎・尋常性乾癬・痒疹など難治性皮膚疾患、蜂窩織炎、帯状疱疹、壊死性筋膜炎などの感染症、アレルギー検査などの幅広い疾患を診療し、多くの患者様が入院・外来で治療されています。専門性を高めるために、乾癬外来、アトピー性皮膚炎外来、爪外来等の専門外来も行っています。
泌尿器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110080xx991x0x 前立腺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1あり 副傷病なし 125 3.22 2.49 0.00 71.67
110070xx02020x 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 手術・処置等1なし 手術・処置等22あり 副傷病なし 101 7.84 7.25 0.00 73.33
11012xxx020x0x 上部尿路疾患 経尿道的尿路結石除去術 手術・処置等1なし 副傷病なし 69 5.42 5.61 0.00 59.97
110070xx0200xx 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 62 8.08 7.07 0.00 72.48
110080xx01xxxx 前立腺の悪性腫瘍 前立腺悪性腫瘍手術等 55 11.69 12.18 0.00 67.27
獨協医科大学埼玉医療センター泌尿器科の手術の特色

ロボット支援腹腔鏡下手術手術支援ロボット「ダヴィンチ-daVinci-Xi」が導入されています。術者は、人体から離れた操作用の器具を用いて、立体的な3D内視鏡映像を見ながら、体内に挿入した自由度の高いロボットアームによる手術操作を行い、出血が少なく正確な手術が行えます。泌尿器科では、現在、前立腺癌、腎臓癌、膀脱癌に対して、ロボット手術および腹腔鏡手術を行っており、体に負担の少なく、QOLの高い手術を実践しており、ロボット支援腹鏡下前立腺全摘除術では、首都圏でも有数の手術実績を積んできています。尿路結石に対しては、侵襲の低い体外衝撃波結石破砕術(ESWL)をはじめ、ホルミニウムレーザーを用いた、経皮的腎砕石術や経尿道的腎•尿管砕石術を行い、短期間の入院でQOLの高い治療効果を得ています。
呼吸器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx9910xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1あり 手術・処置等2なし 218 3.96 3.34 0.46 69.82
040040xx99040x 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等24あり 副傷病なし 119 12.56 9.59 0.84 69.54
040040xx9908xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等28あり 80 13.26 10.59 1.25 71.31
040040xx9900xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 65 14.09 14.62 13.85 72.11
040110xxxxx0xx 間質性肺炎 手術・処置等2なし 47 21.36 18.84 4.26 73.85
当科では肺がんを含めた多くの肺疾患の診療を行なっています。最も多い肺がんの診断検査として、気管支内視鏡検査を年間300例以上行っています。安全のために入院での検査を原則としていますが、気管支内視鏡検査の在院日数は3〜5日程です。肺がんと診断され化学療法(抗がん剤治療)を行う場合、最初は入院での治療を行います。化学療法後の副作用を確認し(平均在院日数16.9日)、2コース(回)目以降は外来通院での化学療法も行っています。そして治療薬剤の変更が必要となった場合には、入院での新たな薬剤(抗がん剤)の導入を行います。また、胸水貯留や食事摂取困難、呼吸困難、疼痛など、がんによる病状の進行を認めた場合にも入院治療を行っています(平均在院日数23日)。そして当科では地域の関連施設との連携を積極的に行い、個々の患者さんに対して最適な医療を地域の病院と共に行っています。

2020年10月19日
呼吸器・アレルギー内科 福島康次
循環器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050070xx01x0xx 頻脈性不整脈 経皮的カテーテル心筋焼灼術 手術・処置等2なし 422 4.83 5.02 0.00 65.07
050050xx99100x 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 手術・処置等11あり 手術・処置等2なし 副傷病なし 367 3.45 3.01 0.00 68.62
050050xx02000x 狭心症、慢性虚血性心疾患 経皮的冠動脈形成術等 手術・処置等1なし、1,2あり 手術・処置等2なし 副傷病なし 187 5.85 4.40 0.00 72.00
050130xx99000x 心不全 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 110 20.85 17.71 4.55 74.75
050080xx99100x 弁膜症(連合弁膜症を含む。) 手術なし 手術・処置等11あり 手術・処置等2なし 副傷病なし 59 3.81 5.69 0.00 73.93
狭心症・心筋梗塞・下肢動脈閉塞のカテーテル治療
心臓を栄養する動脈である冠動脈や足の動脈に狭窄や閉塞が生じると狭心症・心筋梗塞、または下肢の壊死が発症します。治療には、カテーテル治療やバイパス手術があります。どの治療法も、当施設では最先端の技術で行っており良好な成績を誇っています。

不整脈のカテーテルおよび薬物治療
心臓の脈が速くなったり、遅くなったり、また不規則になったり“脈がみだれる”ものを不整脈と呼びます。カテーテル治療、薬物治療など患者様それぞれに合った治療法を相談させて頂いております。カテーテル治療では、最先端のクライオバルーン、ホットバルーン、レーザーバルーンを使用して多くの患者様の治療を安全に行っています。

弁膜症のカテーテル治療
弁膜症では大動脈弁狭窄症と僧帽弁閉鎖不全症が代表的疾患です。通常は外科的手術を行いますが、手術リスクの高い患者様にはカテーテル治療を行っています。現在、両弁膜症のカテーテル治療が可能な施設は当施設を含めて3施設のみです。

心不全治療
心臓の動きが悪くなって息が苦しくなったり、体がむくんだりする状態を心不全と呼びます。薬物治療が中心ですが、当施設では、心臓再同期療法、体外式人工心臓など、最先端の機器も使用しております。
腎臓内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110280xx99000x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 102 6.45 11.67 1.96 51.45
110280xx991x0x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1あり 副傷病なし 58 8.88 7.00 0.00 47.53
110280xx02x00x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 動脈形成術、吻合術 その他の動脈等 手術・処置等2なし 副傷病なし 30 11.00 8.48 0.00 67.47
110280xx99010x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等21あり 副傷病なし 29 19.10 14.23 17.24 66.76
110260xx99x0xx ネフローゼ症候群 手術なし 手術・処置等2なし 24 25.50 20.93 0.00 53.29
入院主要トップ5

1番頻度の高いDPCの内訳は、多くの腎疾患が含まれますが、その中で最多はIgA腎症に対する治療入院です。
IgA腎症は学童から比較的若い成人に多い慢性腎炎で、適切に診断・加療が行われなければ、慢性腎不全に至る疾患です。治療は日本で標準となっている扁桃摘出術(耳鼻科に依頼)後のメチルプレドニゾロンパルス療法で、ステロイドを大量に点滴静注する治療法です。月に1回、4日間入院のパルス療法を3ヶ月連続で行い、後は経口のステロイドの内服で治療します。患者さんの状況に応じて扁桃摘出術を行わずにパルス療法のみ行う場合もあります。以前に比べ血尿・タンパク尿の消失割合が増えています。
→患者用パス:メチルプレドニゾロンパルス療法パス

2番目に頻度の高いDPCの内容は腎臓の組織検査(腎生検)入院です。腎生検は様々な腎疾患の診断に必須の検査です。腎生検で診断された上位3疾患はIgA腎症、膜性腎症、半月体形成性糸球体腎炎となっています。当科では年間90件前後、6日間の入院日程でエコー下での針生検を行っており、その後の治療方針に寄与しております。腎生検の最大の合併症は出血であり、当科開設(2010年12月)以来約9年で800例弱の腎生検を行っておりますが、腎生検後の出血により輸血等を要した方は1名のみです。
全国平均に比し若干入院期間が長いのは、重症例が多く、腎生検後に退院せずにそのまま治療を必要とする患者さんが多いためだと考えられます。
→患者用パス:腎生検パス

3番目に頻度の高いDPCの内容は、内シャント設置術です。慢性腎不全が進行して、近いうちに透析療法が必要になってきたときに作成します。腎代替療法には、血液透析、腹膜透析、腎移植がありますが、内シャントは血液透析を選ばれた方に行うものです。手術した血管が発達する必要があるため、通常は透析がいよいよ必要になると思われる時期より1ヶ月以上前に余裕を持って、転ばぬ先の杖として作成します。入院期間はおおよそ10日間~2週間です。
当院が他院に比して平均在院日数が長いのは、重症や緊急の患者さんが多く、内シャントを前述のように余裕を持って作ることができずカテーテルを挿入して透析をしながら内シャントを作成したり、内シャントを作成後、直ちに透析導入まで行う方が多いためと思われます。
→患者用パス:内シャント設置術パス

4番目に頻度の高いDPCの内容は末期腎不全の血液透析導入です。最も多い原疾患は糖尿病性腎症であり、次いで腎硬化症、慢性糸球体腎炎の順になっています。事前に内シャントを作成した方は、尿毒素による症状出現時に10日~2週間入院し、透析を受けながらの生活に慣れていただきます。シャントを作成していない方は(緊急入院の方)、首や足の付け根から太いカテーテルを挿入して透析を行いながら、内シャントを作成し、安定的にシャント穿刺ができるようになってから退院としますので、1ヶ月以上の入院を必要とすることになります。外来の血液透析は当院附属越谷クリニック、もしくは患者さんの地元のクリニックへのご紹介を行っております。
→患者用パス:血液透析導入パス

5番目に頻度の高いDPCの内容はネフローゼ症候群の精査、加療入院です。ネフローゼ症候群とは、様々な腎臓の病気により、腎臓から多量の蛋白が漏れてしまい、血液中の蛋白が減少することによって浮腫などの症状を認める疾患です。多くの場合は腎生検を行い、ネフローゼ症候群の原因疾患を特定してからその疾患に特有の治療を行います。入院期間は、症状改善に時間を要することが多いため、1ヶ月以上となることが多いです。
→患者用パス:腎生検については腎生検パス
入院期間に関しては、短くて済むものは短く、必要な場合はしっかり入院して加療し、再入院率を減らすという方針で行っております。
糖尿病内分泌・血液内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
130030xx99x40x 非ホジキンリンパ腫 手術なし 手術・処置等24あり 副傷病なし 90 23.36 15.79 0.00 69.50
100070xx99x100 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。)(末梢循環不全なし。) 手術なし 手術・処置等21あり 副傷病なし85歳未満 65 15.94 13.72 1.54 62.91
100180xx990x0x 副腎皮質機能亢進症、非機能性副腎皮質腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 副傷病なし 65 5.83 6.24 0.00 53.40
130060xx97x00x 骨髄異形成症候群 手術あり 手術・処置等2なし 副傷病なし 38 16.82 15.22 2.63 77.47
130030xx97x40x 非ホジキンリンパ腫 手術あり 手術・処置等24あり 副傷病なし 36 32.08 31.30 0.00 73.25
当科は糖尿病内分泌疾患と血液疾患の診療を担当していますが、入院される患者さんは糖尿病では2型糖尿病、内分泌疾患では副腎腫瘍が多くを占めています。今や我が国において糖尿病および糖尿病が疑われる人は約20人に1人と極めて多くなっています。また30歳以上の男性の約3割、40歳以上の女性の約2割は肥満であり、肥満者は急激に増えています。したがって肥満を主たる原因とし、インスリン抵抗性(体から分泌されるインスリンの効き目が悪い)による2型糖尿病が近年増加の一途にあり、当科の入院患者さんとしても年々増えています。実際当科の年間の糖尿病の外来患者さんの延べ数は6000名を超え、常時20名程度の糖尿病患者さんが入院されています。
糖尿病治療は最初が肝心です。当科では、未治療の2型糖尿病で入院した患者さんの血糖状態を24時間の血糖モニタリングなどを用いて正確に把握し、高血糖状態をインスリン治療によってなるべく早く是正します。そして退院時にはインスリンを卒業し、なるべく経口薬(飲み薬)のみで治療できるようにしていきます。また当科では医師、看護師、薬剤師、管理栄養士および臨床検査技師が一体となって糖尿病教室を開き、患者さんの教育にあたっております。特に独自のエクササイズプログラムを用いた運動療法は全国的にも有名で、当科の糖尿病教室の特色です。退院後も食事運動療法を継続できるように指導いたします。

さらに最近のCTやMRIなどの画像診断の進歩により、偶然に副腎腫瘍が見つかるケースが多くなっています。また高血圧の患者さんへの二次性高血圧症、特に原発性アルドステロン症のスクリーニングが、かかりつけ医の先生方にも浸透してきたため、副腎腫瘍、原発性アルドステロン症疑いの患者さんをご紹介いただくことが増えています。副腎腫瘍特に原発性アルドステロン症については、当科は全国的にも多くの診療実績を持っています。各種内分泌負荷試験を行うことで診断し、放射線科とタイアップして副腎静脈サンプリングを行い、手術の場合は当院の泌尿器科で行うという円滑な診断治療ラインが確立しています。

血液疾患では高齢化社会に伴って、悪性リンパ腫および骨髄異形成症候群の患者さんが入院患者さんの上位を占めています。血液疾患は、近年新規薬剤(特に分子標的薬)の進歩が目覚ましく、その治療成績も飛躍的に向上しています。当科では無菌治療室(クリーンルーム)も6床稼動し、悪性リンパ腫および骨髄異形成症候群などに対する化学療法に必要な環境も完備しています。さらに大量抗がん剤治療を安全に行うことを可能にする自家末梢血幹細胞移植も近々開始となります。また放射線治療も当院放射線科との密接な連携の下に行っています。

糖尿病内分泌・血液内科 診療部長 橋本 貢士
救命救急センター・救急医療科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
161070xxxxx00x 薬物中毒(その他の中毒) 手術・処置等2なし 副傷病なし 53 2.62 3.52 11.32 40.77
010310xx97x1xx 脳の障害(その他) 手術あり 手術・処置等2あり 25 35.36 48.25 76.00 67.16
050210xx97521x 徐脈性不整脈 手術あり 手術・処置等15あり 手術・処置等22あり 副傷病あり 15 21.80 30.46 20.00 60.07
050210xx99010x 徐脈性不整脈 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等21あり 副傷病なし 13 6.77 8.36 0.00 65.08
160980xx0100xx 骨盤損傷 体外式脊椎固定術等 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 12 34.17 32.52 50.00 53.08
診療
県内にある8つの救命救急センターの1つとして埼玉県東部地域の重篤な症例の治療に積極的に関わっています。搬送される症例は呼吸不全、循環不全、外傷、敗血症など様々ですが、特に薬物中毒を受け入れる病院が東部地域では限られており、当センターで受け入れる割合が高くなっています。重症の場合もありますが早期の自宅退院を目指し、その後のサポートも行っています。薬物中毒で搬送されるケースでは精神的なサポートが必要であり、当院にあるこころの診療科にも協力をお願いしています。脳血管障害は脳神経内科や脳神経外科、急性冠症候群は循環器内科や心臓血管外科と協力し、積極的な集中治療により救命率の向上に努めています。退院や転院が早期に可能となるようリハビリテーションや医療相談員の介入を積極的に図っていく体制を心がけていることから、平均在院日数は全国平均よりも短い傾向にあります。
麻酔科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010120xx99xxxx 特発性(単)ニューロパチー 手術なし 2 3.00 6.27 0.00 73.50
特発性(単)ニューロパチー手術なし:三叉神経痛

三叉神経痛(特発性(単)ニューロパチー)は顔面の知覚を司る三叉神経の各枝に添った激痛(通常は左右片側のいづれかの前額,上顎,下顎の各単領域,時に複数領域)が生じる高齢者の病気です。特に食事時あるいは歯磨き時に生じる強い痛みで,その1回の発生時間は極めて短い(1-3分)ことを特徴とするもので,睡眠中は起こりません。基本的には頭蓋内の血管による神経の圧迫あるいは良性腫瘍が原因です。原因不明で,何時間もあるいは一日中痛みが生じる非定型顔面痛と鑑別をしなければなりません。治療法には薬物,神経ブロック,手術,放射線療法があり,各患者様の生活様式等を考慮して決定いたします。

麻酔科 奥田泰久
消化器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060100xx01xx0x 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む。) 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 副傷病なし 502 2.24 2.63 0.00 68.77
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎 限局性腹腔膿瘍手術等 手術・処置等2なし 副傷病なし 182 7.99 9.79 1.65 73.68
060020xx04x0xx 胃の悪性腫瘍 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術 手術・処置等2なし 113 7.50 8.27 0.88 74.03
060100xx01xx1x 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む。) 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 副傷病あり 81 4.78 3.57 0.00 72.69
06007xxx97x00x 膵臓、脾臓の腫瘍 その他の手術あり 手術・処置等2なし 副傷病なし 52 10.50 12.83 3.85 75.46
大腸ポリープ
大腸ポリープとは、大腸の粘膜の一部がイボ状に盛り上がり、内腔に突出したものを指します。大腸ポリープのなかでも最も多いのは、「腺腫性ポリープ」です。大腸ポリープは良性の病気ですが、大腸がんのなかには腺腫性ポリープの状態を経てがん化したものもあります。したがって、腺腫性ポリープが発見されたときには、良性の段階で早期に治療することが重要です。

胆管結石・胆管炎
結石や腫瘍が胆管をふさぐことにより上腹部に痛みが生じますが、結石がはまり込んでいない場合は無症状のこともあります。結石や腫瘍が胆管をふさぎ細菌感染を伴うと発熱、悪寒、黄疸、褐色尿などをきたし、急性胆管炎の状態となります。悪化すると意識障害やショックを伴い致命的となることがあります。また、結石により急性膵炎を発症することもあります。急性胆管炎や急性膵炎をおこすと、緊急入院や緊急の治療処置が必要となります。治療は内視鏡で結石を除去したり、胆汁のドレナージ(排泄)目的に内視鏡で胆管にステントを留置したりします。

早期胃癌
胃がんの大きな原因のつであるピロリ菌感染症は減っていますが、胃がんの罹患率はあまり変化していません。しかし、胃がんは初期に発見すれば内視鏡での治療が見込めます。最近、胃粘膜下層剥離術(ESD)という方法が普及し、多くの早期胃がんを内視鏡で治療できます。別部位に新たにがんが発生することもあり、治療後も定期的な内視鏡検査が必要です。

早期大腸がん
内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は、日本で開発された新しい内視鏡治療です。これまでの内視鏡的粘膜切除術(EMR)では切除できない大きな病変や、切除が難しい病変に対しても治療が行えることが特長です。以前は手術治療を必要とする病変も内視鏡で治療できるようになってきました。大腸ESDではリンパ節は切除できないため、リンパ節転移が疑われる早期がんは大腸ESDの適応にはなりません(外科手術が推奨されます)。そのため、事前の診断が重要となってきます。

膵臓癌
膵臓癌は早期発見が難しく、5年生存率も非常に低い癌です。診断のために腹部超音波、CT、MRI、超音波内視鏡(EUS)など様々な画像診断を組み合わせて行いますが、特に超音波内視鏡検査(EUS)は比較的小さな腫瘍でも描出しやすい検査です。組織採取のために超音波内視鏡を用いて針生検(EUS-FNA)を行ったり、内視鏡を用いて膵管や胆管の造影検査(ERCP)を行います。治療は手術や抗癌剤による化学療法などがあり、進行度や全身状態にあわせて選択されます。また膵臓癌により胆管を圧排・ふさいでしまい、胆汁の流れが悪くなり黄疸をきたすことがあり(閉塞性黄疸)、胆汁のドレナージ(排泄)目的に内視鏡で胆管にステントを留置したりします。

内視鏡的胆道ステント留置術
内視鏡的胆道ステント留置循は、様々な素材で作られたチュープ(ステント)を、結石や腫瘍などにより胆汁の流れが悪くなった部分に留置する方法です。流れずにたまっていた胆汁が元通り流れていくため、黄疸がよくなります。胆管結石による急性胆管炎や、切除不能と診断された悪性の胆道閉塞(胆管癌や膵臓癌など)には非常に有効です。また切除可能な悪性の胆道閉塞(胆管癌や膵臓癌)でも、後日安全に手術が受けられるようにステントを留置します。
リプロダクションセンター
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110100xx99x0xx 精巣腫瘍 手術なし 手術・処置等2なし 1 3 7.05 0.00 36.00
乳腺科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
090010xx01x0xx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴うもの(内視鏡下によるものを含む。))等 手術・処置等2なし 105 10.22 10.34 0.00 62.93
090010xx99x4xx 乳房の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等24あり 79 2.10 4.25 0.00 60.15
090010xx02x0xx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わないもの) 手術・処置等2なし 49 4.80 6.10 0.00 59.73
090010xx99x8xx 乳房の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等28あり 32 3.03 4.87 0.00 59.09
100020xx010xxx 甲状腺の悪性腫瘍 甲状腺悪性腫瘍手術 切除等 手術・処置等1なし 19 7.74 8.44 0.00 55.79
乳癌は増加の一途をたどり、いまや日本人女性の10人に一人が罹患する疾患となりました。ご親族や、ご友人のなかにも乳癌の治療を受けられた方がいると思います。乳癌は、最初の治療が大切です。最初の治療が適切に行われたかどうかで予後まで影響を受けてしまいます。また、乳癌は比較的化学療法(抗癌剤)が効果的である癌です。このため、手術に先行して化学療法を行い、腫瘍を小さくしてから手術を行う場合があります。さらに、手術を終了してから、再発を予防するために抗癌剤を投与する場合があります。いずれのケースも予後を伸ばす効果が確認されています。このように、抗癌剤治療を多く行う診療科でもあり、化学療法が治療頻度の上位をしめています。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 40 32 43 48 260 35 1 7,8
大腸癌 30 81 80 74 246 68 1 7,8
乳癌 58 100 51 34 35 28 1 7,8
肺癌 91 50 85 258 273 39 1 7,8
肝癌 2 4 10 5 80 49 1 7
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
病院指標
初発の5大癌のUICC病期分類別ならびに再発患者数

解説
初発患者は、UICC (国際対がん連合) によって定められたTNM分類に基づいて決定した病期分類による退院患者数を、再発患者 (再発部位によらない) は集計期間内の実患者数を示しています。
TNM分類では、T:原発腫瘍の大きさと浸潤の程度、N:所属リンパ節への転移の有無と拡がり、M:遠隔転移の有無を評価します。そして、これらを総合的に組み合わせて病期をStage I~Stage IVに分類します。
TNM 分類が不明確などでStageが決定できなかった場合は、「不明」と記載しました。
一連の治療で、集計期間内に複数回入院しても、1例として集計しています。

胃癌・大腸癌・肝癌
消化器内科と外科が連携して診療に当たっております。
胃癌は、健康診断等で早期に発見されたStage Iの患者さんが48名いましたが、一方、Stage IVになってから診断された患者さんも61名と多かったです。
大腸癌は、Stage II~IVで診断された患者さんが多かったです。
肝癌は、常にStage不明の患者さんが多い傾向にあります。
再発患者数は、いずれも昨年より減少しています。

乳癌
乳腺科で診療が行われています。
乳癌は、乳房腫瘤の自覚やマンモグラフィーなどの検診により、早期に発見される患者さんが多く、Stage IとIIが大部分でした。再発患者数も少なめです。

肺癌
肺癌は、呼吸器・アレルギー内科と呼吸器外科が連携して診療しております。
診断時、既にStage III~IVの進行癌であった患者さんが多く、検診や人間ドックなどで、早期に発見することが重要と思われます。再発患者数は昨年より減少しています。

なお、上記の5大癌は、必要に応じて、放射線科および腫瘍センター放射線治療部門による放射線治療や、各診療科と腫瘍センター化学療法部門が連携して化学療法を施行しております。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 26 13.92 61.38
中等症 94 18.04 77.76
重症 10 18.80 82.20
超重症 13 18.00 82.15
不明 0 0.00 0.00
「肺炎」は日本人の死亡原因の第5位[1位:悪性新生物(がん)、2位:心疾患、3位:脳血管疾患、4位:老衰、5位:肺炎、6位:不慮の事故、7位:誤嚥性肺炎]ですが、7位の誤嚥性肺炎を「肺炎」に含めると死亡原因の第3位となり、特に高齢者のかかる肺炎が増加しています。通常の社会生活を送っている中で発症する肺炎を「市中肺炎」と言います。市中肺炎は抗菌薬による治療反応性や病気の予後(改善しやすさ)によって軽症、中等症、重症、超重症の4段階に分類されます。中等症以上の肺炎では予後も悪くなるため、入院治療が必要となります。高齢になると、COPDなどの慢性呼吸器疾患、糖尿病、心疾患、脳血管疾患といった合併症や併存症も多くなり、肺炎を繰り返して発症し、難治化・重症化に至る危険性も高くなります。
肺炎を早期に発見し治療を開始することが大切ですが、予防ワクチン(インフルエンザワクチン、肺炎球菌ワクチン)接種を行なって、肺炎の発症を積極的に予防することや、入院早期からリハビリテーションを開始することで体力を保持し、廃用性障害による身体活動性の低下を防ぐことも大切です。

2020年10月19日
呼吸器・アレルギー内科 福島康次
脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 231 26.04 73.24 37.17
その他 38 22.79 74.79 6.69
脳梗塞のICD10別患者数についての一般市民向けコメント

脳梗塞とは、脳の血管が突然詰まって血流が途絶えることにより、脳の神経細胞が死んでしまう病気です。脳の神経細胞は血流が途絶えると、数時間以内に死んでしまい、再生することはありません。そのため、脳梗塞が起こると、半身麻痺になったり、言葉が離せなくなったり、意識が悪くなったままになったりなど重篤な後遺症が残ることが多く、日常生活に手助けが必要となることが多くなります。脳梗塞の程度によっては、命を落とすこともあります。
そこで、少しでも後遺症を軽くするためには、神経細胞が死んでしまう前に、できる限り早く治療を開始して、脳の血流を改善させることが重要となります。半身の麻痺や言語障害などの症状が起こったら、直ちに救急車で脳卒中の専門病院に行くことが重要です。脳卒中を多く治療する専門病院では、脳梗塞が起こってから4.5時間以内であれば血栓を溶かす治療が可能であり、更に脳梗塞の中でも非常に重篤な後遺症を来す脳の太い血管が血栓で詰まった場合には血管の中から血栓を除去する治療も可能です。いずれの治療方法も症状が起こってから治療ができるまでの時間が限られていますので、症状が起きたらすぐに病院を受診することが必要となります。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
小児科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K513-4 胸腔鏡下肺縫縮術 2 0.00 41.00 0.00 3.50
K9131 新生児仮死蘇生術(仮死第1度) 2 0.00 19.00 0.00 0.00
K0052 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)(長径2cm以上4cm未満) 1 15.00 78.00 0.00 13.00
K0102 瘢痕拘縮形成手術(その他) 1 1.00 29.00 0.00 12.00
K1641 頭蓋内血腫除去術(開頭)(硬膜外) 1 0.00 24.00 0.00 2.00
小児科では、生まれたばかりの赤ちゃんから、慢性の病気で小児期から治療し成人になった患者さんまで幅広い年齢や分野の患者様をみています。症例数の第1位は食物アレルギーなどのアレルギー疾患です。第2位は起立性調節障害や先天性心疾患などの循環器疾患です。第3位と4位は新生児センターで治療が必要な未熟児や呼吸障害などの新生児です。プラダウイリ症候群や代謝疾患などの先天異常の患者さんの頻度も多いです。ガイドラインにそった標準治療を行っています。
外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K719-3 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 95 3.46 10.89 0.00 70.36
K6335 鼠径ヘルニア手術 80 1.38 1.24 0.00 69.83
K655-22 腹腔鏡下胃切除術(悪性腫瘍手術) 59 1.75 8.83 1.69 72.97
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 53 1.83 4.32 0.00 64.23
K7193 結腸切除術(全切除、亜全切除又は悪性腫瘍手術) 42 9.33 13.83 2.38 73.64
整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0821 人工関節置換術(肩,股,膝) 242 2.12 19.25 13.64 68.69
K0483 骨内異物(挿入物を含む)除去術(前腕,下腿) 44 1.32 2.48 2.27 43.34
K0542 骨切り術(前腕,下腿) 43 1.81 21.77 2.33 61.77
K1422 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(後方又は後側方固定) 41 6.39 30.22 41.46 65.54
K142-21 脊椎側彎症手術(固定術) 31 3.10 17.52 9.68 22.10
股関節
若年者の生まれつきの股関節疾患をはじめ、高度な股関節の変形、股関節周囲の外傷や過去の股関節手術歴を有する股関節疾患など幅広い症例に対応しております。ご自身の骨が温存できる骨切り術や早期社会復帰も目指せる人工股関節置換術(THA)など、患者さんの有する股関節疾患に加え年齢や社会背景に合わせた手術の方法を相談、行うことが可能です。また人工関節においては高齢の方でも安全にかつリハビリが進みやすくなるように低侵襲性の術式を採用しており、少ない疼痛、脱臼の軽減、早期歩行開始が可能となっております。
治療についての相談内容に関しては、手術だけでなく装具治療や日常動作指導、リハビリ指導なども行っております。

膝関節
中高齢者の変形性膝関節症に対する治療から若年者のスポーツ外傷まで幅広く手術・加療を行っています。生活背景・症状・患者さんのニーズに合わせて人工膝関節置換術(TKA/UKA)、around knee osteotomy(高位腟骨骨切り術、大腿骨遠位骨切り術、double level osteotomyなど)を選択する、semi-order madeの変形性膝関節症治療を提供することを目標としています。
スポーツ外傷に対しては靱帯再建・半月板縫合術・半月板修復術(鏡視下セントラリゼーション法)など機能回復・組織温存を重視して治療を行っています。

脊柱変形
頸椎から仙椎までの脊椎と脊髄の疾患や外傷に対し手術を行っております。脊柱変形の手術矯正や若年者の脊柱側弯症(思春期特発性側弯症、早期発症側弯症)および中高齢者の脊柱変性後側弯症(成人脊柱変形)に対しに対して良好なアライメント(脊椎の形)を目指した矯正手術を実施しております。腰部脊柱狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアに対しては近年注目を浴びている小侵襲脊椎手術も行ってます。また高齢化する社会においてより増加しつつある骨粗軽症に対する治療も積極的に行っており、疼痛が遷延する骨粗縣症性椎体骨折に対しては、より低侵襲なBKP(バルーンカイフォプラスティ)からアライメント矯正のための前後合併手術まで幅広く対応しております。

下肢変形
先天的に短い下肢や曲がっている下肢、骨折や腫瘍などに伴う下肢の変形に対し手術を行ってます。手術は骨切り術や創外固定を用いた矯正、短い骨を伸ばす骨延長術、骨の成長線を利用し成長と共に変形を矯正する方法などがあります。下肢の荷重軸や脚長差を矯正することにより歩行が改善される手術です。

足・足関節
足や足関節の痛みの原因となる疾患や変形(変形性足関節症、靭帯損傷、外反母趾や扁平足、麻痺性の足部変形など)に対し保存加療では症状が軽快し得なかった症例に対し手術を行っています。手術は関節鏡を用いた低侵襲な手術から、短縮してしまった腱を延長ないしは移行する手術、骨切り術、人工関節置換術など患者さんの病態に合わせて手術を行います。

小児疾患
先天性の足部変形(先天性内反足、先天性垂直距骨下、足根骨癒合症など)に対する手術や股関節の疾患(発育性股関節形成不全、ペルテス病、大腿骨頭すべり症など)、外傷(骨折や骨端線損傷)に対する手術を行っています。
適切な治療を行えば子供は元気に成長します。子供の成長、発達を常に考え子供の将来を見据え治療していぎます。
形成外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0301 四肢・躯幹軟部腫瘍摘出術(肩,上腕,前腕,大腿,下腿,躯幹) 33 1.15 3.94 0.00 54.33
K333 鼻骨骨折整復固定術 23 1.30 1.87 0.00 23.52
K427 頬骨骨折観血的整復術 10 1.50 2.90 0.00 46.30
K0051 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)(長径2cm未満) 5 1.20 1.20 0.00 13.60
K0072 皮膚悪性腫瘍切除術(単純切除) 5 0.60 7.80 0.00 71.80
診療科別主要手術トップ5
  1. 四肢・躯幹軟部腫瘍摘出術 肩、上腕、前腕、大腿、下腿、躯幹
    四肢および体幹部は、体表面の皮膚、体の中心構造を支える硬組織である骨、およびその間の筋肉、脂肪などの軟部組織などでできています。軟部組織にできる腫瘍が、「軟部腫瘍」ですが、その多くは、脂肪組織から発生する「脂肪腫」です。脂肪腫は、直径1cmに満たない小さいものから、長径30cm以上になる大きいものまであります。小さいものでは、外来手術で摘出することができますが、大きいものや深い部位に存在する場合は、入院、全身麻酔で安全に摘出する手術を行います。手術後、創部が自宅で処置できる状態となれば退院可能であり、当科では術後3.9日で退院しています。

    患者用パス:あり

  2. 鼻骨骨折整復固定術

  3. 頬骨骨折間歇的整復術
    顔面の外傷は、おもに表面の皮膚や軟部組織を損傷する場合と、より深い顔の骨を損傷する場合があります。皮膚・軟部組織の損傷では、創部の縫合などにより、損傷する前の状態に戻す、あるいは近づける処置を行います。損傷した部位が多数であったり、重要な組織の損傷があったりする場合は、全身麻酔での処置を行います。
    顔の骨の骨折(顔面骨骨折)には、受傷される部位により、鼻骨骨折、頬骨骨折、下顎骨骨折などがあります。顔面骨骨折では、機能的あるいは整容性を改善する目的で、受傷3週間以内を目途に、骨折を受傷前になるべく近い状態に整復し固定する手術を、入院、全身麻酔で手術をしています。整復固定術後は、全身状態に問題がなければ退院可能となり、当科では鼻骨骨折および頬骨骨折の整復固定術後は、それぞれ術後1.9日、2.9日で退院しています。

    患者用パス:あり

  4. 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)(長径2cm未満)
    皮膚、皮下に発生する腫瘍には、母斑(ほくろ)、脂腺母斑、石灰化上皮腫、粉瘤腫などがあります。大人では、局所麻酔での手術が可能でれば、小さい腫瘍は外来手術で摘出することができます。小児では、小さい腫瘍でも、安全に摘出するため、入院、全身麻酔で手術を行います。手術後、創部が自宅で処置できる状態となれば退院可能であり、当科では術後1.2日で退院しています。

    患者用パス:あり

  5. 皮膚悪性腫瘍切除術(単純切除)
    皮膚には、基底細胞癌や扁平上皮癌などの皮膚悪性腫瘍(皮膚癌)が発生することがあります。皮膚癌の初期段階では、腫瘍周囲の組織を含めて腫瘍を単純に切除する手術を行います。腫瘍を切除して生じた皮膚欠損部は、その大きさにより、そのまま縫合閉創したり、他の部位から皮膚を移植したり、人工の皮膚(人工真皮)を移植したりして、創部を治療します。手術の方法にかかわらず、手術後、創部が自宅で処置できる状態となれば退院可能であり、当科では術後7.8日で退院しています。

    患者用パス:なし
脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K1781 脳血管内手術(1箇所) 80 1.43 22.16 21.25 61.06
K1692 頭蓋内腫瘍摘出術(その他) 47 6.21 37.02 14.89 62.55
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 46 0.63 7.76 2.17 75.28
K609-2 経皮的頸動脈ステント留置術 36 3.53 6.97 8.33 74.31
K1783 脳血管内手術(脳血管内ステント) 31 2.23 9.55 6.45 58.45
【主要手術】
[脳血管内手術]
脳血管内手術とは、脳の病気に対して皮膚を切ったり頭蓋骨を外したりして手術することなく、血管の中から治療を行う手術です。大腿の付け根の血管や肘の血管からカテーテルと呼ばれる細く長い管を血管の中に誘導し、脳の病変部まで進め治療を行います。脳動脈瘤、脳動静脈奇形、脳硬膜動静脈瘻、頸動脈狭窄症、脳主幹動脈急性塞栓症、頭蓋内動脈狭窄症、鎖骨下動脈狭窄症などの脳や頸の血管の病気が治療の対象となります。その他、脳腫瘍摘出術前に、術中の出血を低減させる目的で脳腫瘍栄養血管塞栓術や鼻出血などの治療も適応となります。

[頭蓋内腫瘍摘出術]
脳腫瘍摘出の原則はできる限り腫瘍細胞を摘出することですが、摘出することにより、後遺症を残すような状況になることは本末転倒であります。そのため、麻痺や言語障害などの後遺症を引き起こさないようにしながら、可能な限り腫瘍を摘出することが必要となります。そのためにナビゲーションシステムを用いて神経線維と腫瘍の位置関係を術中に確認しながら摘出を行っています。また、術中に弱い電流を用いて脳表を刺激しながら手足の筋肉の動きがあることを確認する運動誘発電位モニターを用いて運動神経を損傷しないように確認を行っています。摘出術中に正常脳組織と腫瘍の境界が不明瞭であることがあり、腫瘍細胞を可視化する蛍光診断も併用し、安全で最大限の腫瘍細胞の摘出を行っています。

[脳血管内手術(脳血管内ステント)]
脳血管内手術において、頭蓋内動脈にステントと呼ばれる金属でできた網状の筒を留置することがあります。留置の対象となる疾患は、脳動脈瘤と頭蓋内動脈狭窄症です。脳動脈瘤に対する血管内治療の際には、コイルと呼ばれるプラチナでできた細い糸状の柔らかい金属を何本も瘤内に留置し、動脈瘤を塞栓しますが、お椀をひっくり返したような形状の動脈瘤の入り口が広い場合、留置したコイルが動脈瘤の外に出てしまい、血管が閉塞したり、血栓ができてたりすることがあります。このような状況を防ぐためにステントを留置することがあります。また近年ではフローダイバーターステントと呼ばれる金属の網目の非常に細かいステントが使用可能となっており、動脈瘤の基部の血管に留置するだけで動脈瘤を閉塞させることができます。全国でもこの治療が可能な施設は限られており、当院では県内でも治療可能な数少ない施設の一つであります。
頭蓋内動脈狭窄症に対しては、内服治療でも脳梗塞を引き起こしてしまう患者様に対して血管の中から広げる治療が行われます。通常は風船付きのカテーテルで狭窄部を拡張させますが、不十分な場合にはステントが用いられます。ステントは金属でできた筒ですので、血栓が付きやすいため、治療の前から治療の後も長期間にわたり抗血小板剤と呼ばれる血栓形成を抑制する薬の内服が必要となります。

[慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術]
転倒などによる頭部外傷後に頭部精査で問題がなくとも、数カ月後に脳と脳を保護する硬膜の間に血混じりの液体が溜まり、脳を圧迫することにより意識障害や麻痺、痙攣などの症状を呈することがあります。慢性硬膜下血腫と診断された場合、麻痺などの症状を呈している際は、血腫を洗浄、除去する手術が必要となります。手術は局所麻酔下で行われ、4cm程度の皮膚切開の後、頭蓋骨に10円玉程度の穴をあけ、硬膜と呼ばれる脳を覆っている膜の下にたまっている血混じりの液体を洗浄します。洗浄後、シリコン製のチューブを血腫腔内に挿入し、一晩かけて溜まっている血腫を外に出します。手術の多くが30分程度で終了し、術直後には症状は改善します。

[経皮的頸動脈ステント留置術]
動脈硬化や放射線治療などにより、頸動脈にプラークと呼ばれる血管肥厚が引き起こされることがあります。これにより血管内腔が細くなり、頭蓋内への血流が少なくなったり、プラークから血栓や破綻したプラークが飛んだりして脳梗塞を引き起こすことがあります。脳梗塞などの症状がない方でも80%以上の狭窄があると、薬だけの治療では脳梗塞の発生は予防困難となります。このような病変に対して、血管の中から風船付きのカテーテルで狭窄部を拡張させ、ステントと呼ばれる金属でできた網状の筒を留置して狭窄を解除します。血管拡張の際、プラークが破綻して脳梗塞を引き起こすことを予防するために、治療中、血流を風船付きのワイヤーで遮断したり、フィルター付きワイヤーで治療時に発生したゴミや血栓を捕捉したりします。通常、局所麻酔で行われ、1時間30分程度で終了します。

[頭蓋内腫瘍摘出術]
脳腫瘍摘出の原則は出来る限り腫瘍細胞を摘出することですが、大部分の腫瘍は正常脳組織とくっついて存在し、摘出によって後遭症を残す可能性があります。そのため、後遣症を残さないように最大限の注意を払いながら、可能な限り腫瘍を摘出する必要があります。ナビゲーションシステムを使用し、正常神経組織と腫瘍組織の位置関係を手術中に確認し摘出を行っています。また手術中に麻酔から覚醒した状態で腫瘍を摘出する覚醒下手術、手術中に弱い電流を流して手足の運動神経の状態を確認できる運動誘発電位モニターは正常機能温存に役立ちます。最大限の摘出に関しては、手術中のCT検査、腫瘍細胞を可視化する蛍光診断も併用しております。ホルモン分泌に関係する下垂体の腫瘍に対しては、患者さんの負担が少なくするために、鼻から内視鏡を挿入し腫瘍を摘出しています。
呼吸器外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K514-23 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又は1肺葉を超える) 80 3.06 10.60 0.00 71.18
K5131 胸腔鏡下肺切除術(肺嚢胞手術(楔状部分切除)) 57 5.00 4.30 0.00 43.58
K514-21 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(部分切除) 13 2.15 8.54 7.69 70.08
K5143 肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又は1肺葉を超えるもの) 9 4.33 12.11 0.00 74.78
K513-2 胸腔鏡下良性縦隔腫瘍手術 8 2.63 5.25 0.00 66.00
診療科別手術数トップ5

当科では、肺の悪性腫瘍(肺癌85%、転移性肺腫瘍15%)に対して、肺癌の場合は肺葉切除術+縦隔リンパ節郭清を基本術式として行っています。胸腔鏡を駆使した低侵襲手術(完全胸腔鏡、ハイブリッド胸腔鏡、ロボット支援、単孔式)を積極的に行っておりますが、手術の安全性と確実性を担保するため、腫瘍部位とその進行度に応じて15%程度は胸腔鏡を補助的に利用しながらの開胸手術で対応しています。
自然気胸などの嚢胞性肺疾患に対しては、胸腔鏡による肺嚢胞切除を行っています。再発防止のために切除断端部を吸収性メッシュ及び自己血で覆う被覆処置を標準的に追加しています。気胸発症による緊急入院と胸腔ドレナージ後、手術までにこれまで1週間程度の待機を要していましたが、手術部拡張により平均5日まで短縮されました。
心臓血管外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5612ロ ステントグラフト内挿術(1以外の場合)(腹部大動脈) 39 3.15 6.41 0.00 74.82
K555-22 経カテーテル大動脈弁置換術(経皮的大動脈弁置換術) 31 6.13 9.55 12.90 85.74
K5522 冠動脈、大動脈バイパス移植術(2吻合以上) 23 7.35 26.74 26.09 70.83
K5551 弁置換術(1弁) 23 9.35 36.52 13.04 71.61
K5612イ ステントグラフト内挿術(1以外の場合)(胸部大動脈) 16 3.88 12.75 18.75 75.81
主要手術
大動脈が太く拡張した状態を大動脈瘤といい,大きくなると破裂して死に至ります.手術の方法には,人工血管に置換する方法(人工血管置換術)とバネ付きの人工血管をカテーテルで血管内に挿入する方法(ステントグラフト内挿術)があります.人工血管置換術は開腹手術でやや侵襲が大きいものの長期成績が安定しているという特徴が,ステントグラフト内挿術は,創が小さく体への侵襲は小さいが,術後に人工血管周囲に漏れ(エンドリーク)などが生じ,再治療が必要になる可能性はあるという特徴があります.当院では大動脈瘤の形態や患者さんの年齢,全身状態などを考慮し,また患者さんとよく相談のうえ,手術方法の選択をしています。

経カテーテル的大動脈弁置換術は、大動脈弁狭窄症(弁が硬くなり狭くなった病気)に対して、カテーテルによって人工弁を植え込む方法です。胸を切らずに手術できるので、体への負担が少なく、高齢者(概ね80歳以上)や合併疾患を多く抱えた患者さんに敵した方法です。

冠動脈バイパス術は,心臓の筋肉を栄養する冠動脈に狭窄や閉塞が生じた場合に行う手術です.狭心症による胸痛などの症状を改善させ,心筋梗塞による突然死や心不全を予防する効果があります.当科では.患者さんの血管の状態や全身状態によって,人工心肺を使用する方法と使用しない方法のどちらが良いかを考え手術術式の選択をしています。

心臓弁膜症は心臓の弁が悪くなり、狭窄や閉鎖不全(逆流)を起こす疾患です。自分の弁で修復可能な場合は弁形成術を、修復が難しい場合は人工弁置換術を行います。人工弁には、機械弁(金属でできた弁)と生体弁(ウシやブタの組織で作成された弁)があります。術式にはそれぞれメリット、デメリットがあり、患者さんの年齢や状態、希望などを加味し医師と患者さんで相談の上選択します。
小児外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K836 停留精巣固定術 186 1.00 1.99 0.00 1.68
K6335 鼠径ヘルニア手術 106 1.00 1.01 0.00 3.14
K0051 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)(長径2cm未満) 38 1.00 1.26 0.00 4.29
K718-21 腹腔鏡下虫垂切除術(虫垂周囲膿瘍を伴わないもの) 33 0.18 2.91 0.00 10.09
K8351 陰嚢水腫手術(交通性陰嚢水腫手術) 29 1.00 1.03 0.00 3.59
  1. 停留精巣
    • 精巣が、お腹の中や、足の付けねに止まってしまい、おちんちんの袋(陰のう)まで落ちてこないことを停留精巣と言います。袋にあったり、触れなくなったりするのを、遊走精巣と言います。
    • 精巣は、妊娠7ヶ月でお腹の中から袋に下降します。しかし、生まれてすぐの赤ちゃんの5%に停留精巣が認められますが、7割は自然に治ります。生後6か月以降になると、自然に治ることは極端に少なくなります。停留精巣を放置すると、不妊症の原因となりますが、正い位置に精巣を固定する手術を行うことで、危険性が半減します。遊走精巣は、精子を作る能力に異常が生じず、成長とともに自然に袋に収まってしまうこもが多いのですが、まれに停留精巣となってしまうことがあるため定期的な診察が必要です。
    • 獨協医科大学埼玉医療センターでは、精巣に詳しい小児泌尿器科医や小児外科医が診療にあたり、生後6か月以降から、遅くとも2歳までには手術行います。術後も将来まで精巣の機能に問題がでないか経過を診ますので安心して受診してください。

  2. 鼠径ヘルニア
    • 小児外科で扱う疾患の中で最も多いもののひとつです。腹膜が足の付け根(鼠径部)に袋状になって突出しているところに、腸管や卵巣(女児)が脱出するため、同部位が膨らんで見えることで異常に気がつきます。脱出臓器が袋に入り込んで戻らなくなり(嵌頓)ねじれたりむくんだりすることによって、血流が少なくなり、臓器が壊死してしまうことがあるので、見つけたら早めの手術が必要とされます。

  3. その他の新生物
    • 石灰化上皮腫
      毛母細胞由来の腫瘍で、石灰沈着をともない皮膚(皮下)の硬い腫瘤として発見されます。顔面や頸、上腕などに好発し、大きさは0.5-3 cm程度です。2個以上の発生をみることもあります。徐々に大きくなり、出血や感染をともなうことがあるので、手術による摘除の対象になります。
    • 乳児繊維性過誤腫
      新生児や乳児の皮下に発生する良性腫瘍で、腋窩や四肢、体幹に好発します。急に大きくなることもあります。切除が必要ですが、周囲の正常な脂肪組織との境界が不明瞭なため、再発することがあります。再発1年以内にみられ、12%の頻度とされています。
    • 皮様嚢腫
      前額部や上眼瞼外側に好発する円形の良性腫瘍です。中には脂肪を含み、切除すれば再発は少ないとされています。発育は緩徐ですが、外傷などを契機として増大したり、炎症を起こすこともあります。骨膜に嚢腫壁が固着している場合があります。

  4. 母斑
    • 皮膚の生まれつきの異常の中で、多いものが色調の異常です。いわゆる赤あざ、茶あざ、青あざと言われ、範囲は様々です。
    • 赤あざには、ポートワイン母斑がありますが、皮膚のみではなく他の部分に症状が現れることを母斑症といい、スタージ・ウェーバー症候群が代表的です。レーザー治療が最も効果的でありダイレーザーという波長595nmの光を照射し、異常に拡張した血管を減少させます。乳児血管腫は母斑ではなく良性腫瘍ですが、ダイレーザーがよく効きます。プロプラノロールによる内服治療も行なっています。
    • 茶アザは扁平母斑や色素性母斑で、波長694nmのQスイッチルビーレーザー照射を行いますが、扁平母斑の場合は個人差が大きく、まず外来で一部の試験照射を行い、再発がなければ全体の照射を行うこととしています。逆に色素性母斑は扁平母斑の様な個人差はありませんが、深い部分まで存在するため、大きさが大きい場合は悪性化の可能性があるため切除法を取ることもあります。
    • 青あざは顔面では太田母斑、肩にあると伊藤母斑、その他の部位であれば殿裂を除き、異所性蒙古斑と呼ばれます。Qスイッチルビーレーザーが最も良い治療になります。広範囲であれば全身麻酔下に照射を行います。異所性蒙古斑の濃いものは大きくなるまで待っても消えないばかりか、レーザー後の色素沈着が長く続きますので1歳前に照射を開始することとしています。

  5. 虫垂炎
    • 虫垂炎は腹痛、嘔吐、発熱などを主症状とする虫垂の化膿性炎症性疾患です。学童期のこどもに多く見られる病気ですが、2-3歳の幼児にもみられるため注意が必要です。最初はおへその周りや上のほう(胃のあたり)を痛がり、1-2日で痛みが右の下腹部へ移動するのが虫垂炎に特徴的な腹痛です。痛みのためお腹を抱えて前かがみで歩いたり、ジャンプすると右下腹部の痛みが強くなるなどの特徴があります。
    • こどもの虫垂炎は穿孔し、腹膜炎に進行しやすいといわれます。進行しないうちに手術(虫垂切除術)をするのが最も確実で、効果的な治療法です。ただし、すでにを穿孔し大きな塊や膿瘍を作っている場合には、抗菌剤で治めてから3-4ヵ月後に待機的虫垂切除術を行います。また最近では、炎症や腹痛が強くない場合、抗菌剤のみで炎症を抑えて手術をしないという選択肢もあります。
産婦人科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K877 子宮全摘術 116 1.93 7.47 0.00 49.66
K8881 子宮附属器腫瘍摘出術(両側)(開腹) 112 1.84 8.00 0.00 49.81
K867 子宮頸部(腟部)切除術 88 0.16 1.11 0.00 42.18
K872-3 子宮鏡下有茎粘膜下筋腫切出術,子宮内膜ポリープ切除術 62 1.19 1.13 0.00 42.71
K8882 子宮附属器腫瘍摘出術(両側)(腹腔鏡) 49 1.04 4.67 0.00 39.45
眼科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2821ロ 水晶体再建術(眼内レンズを挿入する場合)(その他のもの) 1136 0.91 1.46 0.00 73.78
K2801 硝子体茎顕微鏡下離断術(網膜付着組織を含む) 451 0.75 4.46 0.00 65.79
K2802 硝子体茎顕微鏡下離断術(その他) 109 0.80 3.30 0.00 66.86
K281 増殖性硝子体網膜症手術 101 1.51 7.80 0.00 53.66
K2684 緑内障手術(緑内障治療用インプラント挿入術)(プレートなし) 39 0.95 7.67 0.00 68.92
耳鼻咽喉科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K3772 口蓋扁桃手術(摘出) 137 1.00 6.21 0.00 21.55
K340-6 内視鏡下鼻・副鼻腔手術4型(汎副鼻腔手術) 79 1.16 5.37 0.00 55.92
K340-5 内視鏡下鼻・副鼻腔手術3型(選択的(複数洞)副鼻腔手術) 56 1.14 4.95 0.00 57.48
K3191 鼓室形成手術(耳小骨温存術) 50 1.14 6.52 0.00 38.80
K3192 鼓室形成手術(耳小骨再建術) 41 1.02 7.49 0.00 47.29
診療科別主要手術トップ5
  1. 口蓋扁桃手術(摘出)
  2. 内視鏡下鼻・副鼻腔手術4型(汎副鼻腔手術)
  3. 内視鏡下鼻・副鼻腔手術3型(選択的(複数洞)副鼻腔手術)
  4. 鼓室形成術(耳小骨温存)
  5. 鼓室形成術(耳小骨再建術)
市民向け解説
当科では手術加療が必要な中耳、鼻副鼻腔疾患に対して、より安全で質の高い手術を行うよう努めております。鼻副鼻腔疾患では慢性副鼻腔炎に対する汎副鼻腔手術と選択的複数洞副鼻腔手術が多く、4Kモニターを用いた内視鏡下での手術加療を行っています。平均術後入院期間はそれぞれ5.4日、5.0日であり、昨年度より大幅に短縮しております。慢性副鼻腔炎のみならず、頭蓋底におよぶ腫瘍や髄液漏など高度な技術を要する疾患に対しても内視鏡下での手術対応を行います。
一方、中耳疾患では慢性中耳炎、真珠腫性中耳炎が大半を占め、内視鏡を併用したより専門性の高い手術を行っています。手術に伴う合併症はほとんどなく、術後の平均在院期間は耳小骨温存で6.5日、耳小骨再建で7.5日と昨年よりも短縮しています。手術件数は県内でもトップレベルの実績を誇り、令和元年度は91件の鼓室形成術が行われました。
慢性扁桃炎に対する口蓋扁桃摘出術は年々増加傾向にあり、令和元年度は137件と過去最多を記録しました。術後の平均在院期間は6.2日であり、昨年度より1日短縮され、早期退院を目指した安全な医療を提供してまいります。
脳神経内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K664 胃瘻造設術(経皮的内視鏡下胃瘻造設術、腹腔鏡下胃瘻造設術を含む) 7 20.86 19.43 57.14 69.14
K386 気管切開術 5 19.00 60.40 40.00 70.20
K6182 中心静脈注射用植込型カテーテル設置(頭頸部その他) 4 29.00 19.50 0.00 64.75
K150 脳膿瘍排膿術 3 23.00 55.33 66.67 80.00
K1426 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(椎弓形成) 1 21.00 10.00 0.00 63.00
  1. 脳梗塞(脳卒中発症3日以内、かつ、JCS 10未満)手術なし 手術・処置なし 手術・処置等24あり 定義副傷病なし 発症前 Rankin Scale 0,1 又は 2
  2. 多発性硬化症 手術・処置等2なし 副傷病なし
  3. 免疫介在性・炎症性ニューロパチー 手術· 処置あり定義副傷病なし
  4. 睡眠時無呼吸 手術なし 手術・処置等1あり
  5. 重症筋無力症 手術なし 手術・処置等2なし
  1. 脳卒中医療は脳神経外科と密な連携を行っています。急性期で重症な方は脳卒中ケアユニット(Stroke Care Unit, SCU)で管理し、血管内治療あるはい手術が必要な症例では脳経外科が担当します。多職種合同カンファレンスにて、在宅へ退院できない方は回復期リハビリ施設あるいは療養型病院へ引き継いでいきます。
  2. 多発性硬化症は、視力障害、感覚障害、運動麻痺などさまざまな神経症状の再発と寛解を繰り返す、厚生労働省が指定する自己免疫性脱髄性疾患のひとつです。適切な治療により、症状が現れなくなる寛解期をむかえます。診断には神経診察や脳脊髄液検査、電気生理検査、MRI検査が必要です。神経症状の早期回復ならびに再発の予防、障害の進行抑制を目的とした薬物療法が中心に行います。
  3. 免疫介在性・炎症性ニューロパチーの代表はギランバレ一症候群です。上・下肢からしびれや筋力低下が始まり徐々にその範囲が拡大します。肩や腰の激痛を伴うこともあります。症状が進行すると四肢麻痺、歩行困難、嚥下困難、呼吸困難を来します。病気の部位は末梢神経であるため MRI 検査では診断できず、診断には神経診察や髄液検査、電気生理検査が必要です。早期治療とリハビリにより社会復帰を目指しています。
  4. 睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中にいびきあるいは呼吸が止まることにより血液中に取り入れられる酸素量が大幅に減り、血液中の酸素濃度を表す「動脈血酸素飽和度」が繰り返す低下する病態です。酸素不足を補うために心拍数は跳ね上がり、これに従って血圧も急激に上がります。心臓や脳、血管に大きな負担がかかるこの異常状態が、1晩に何度も繰り返され、治療を行わなければ数年にわたって続くのです。蓄積された負担は、高血圧症、狭心症、心筋梗塞、慢性心不全、不整脈、糖尿病といった疾患を併発する要因となります。当科では脳卒中予防の観点から診断、治療介入を行っています。
  5. 重症筋無力症は瞼が下がる、ものが二重にみえる、四肢の筋力低下がみられ、さらに飲み込みが悪くなったり、呂律が回りにくくなったりすることがあります。病変部位は神経筋接合部であるため、薬による反応をみるテストや電気生理検査が必要です。基本的には免疫療法になりますが、胸腺腫がある方は呼吸器外科と相談し手術を行うことがあります。
皮膚科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0072 皮膚悪性腫瘍切除術(単純切除) 162 0.99 5.66 0.62 74.23
K0052 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)(長径2cm以上4cm未満) 50 0.98 2.76 0.00 52.24
K0062 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)(長径3cm以上6cm未満) 28 1.11 2.21 0.00 58.86
K0063 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)(長径6cm以上12cm未満) 23 0.96 3.48 0.00 56.91
K0053 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)(長径4cm以上) 21 0.95 2.76 0.00 45.57
超高齢化社会を迎え、皮膚悪性腫瘍患者は顕著に増加し、入院患者様の7割を占めます。皮膚悪性腫瘍の治療は術式や手術部位を問わず入院治療を原則としています。基底細胞癌が最も多く、有棘細胞癌、悪性黒色腫、乳房外パジェット病、ボーエン病が主要な疾患です。この他にも血管肉腫、メルケル細胞癌、脂腺癌など稀ながら極めて悪性度の高い腫瘍の治療も行っております。腫瘍を正確に切除し、悪性黒色腫、メルケル細胞癌、有棘細胞癌、乳房外パジェット病に対してはセンチネルリンパ節生検も行っております。リンパ節転移を伴う場合はリンパ節郭清術を行います。また、欠損部を機能的、外観的に良い状態に再建することも重要です。
手術以外にも必要があれば抗がん剤や放射線治療も行い、症例ごとに最善の治療方法を選択します。また、粉瘤や脂肪腫といった良性腫瘍も大きさや部位によって入院での手術を行っています。入院手術を行う患者様を対象とした「腫瘍外来」という専門の外来を設けております。
手術以外では、皮膚筋炎、強皮症などの膠原病、ウイルス・薬剤による中毒疹、水疱症、アトピー性皮膚炎・尋常性乾癬・痒疹など難治性皮膚疾患、蜂窩織炎、帯状疱疹、壊死性筋膜炎などの感染症、アレルギー検査などの幅広い疾患を診療し、多くの患者様が入院・外来で治療されています。専門性を高めるために、乾癬外来、アトピー性皮膚炎外来、爪外来等の専門外来も行っています。
泌尿器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(電解質溶液利用のもの) 191 1.63 5.53 0.00 73.04
K834-3 顕微鏡下精索静脈瘤手術 162 0.09 1.01 0.00 32.82
K7811 経尿道的尿路結石除去術(レーザー) 70 1.10 3.47 0.00 59.99
K843-4 腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いる) 55 1.53 9.16 0.00 67.27
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 48 0.58 6.90 0.00 66.46
獨協医科大学埼玉医療センター泌尿器科の手術の特色

ロボット支援腹腔鏡下手術手術支援ロボット「ダヴィンチ-daVinci-Xi」が導入されています。術者は、人体から離れた操作用の器具を用いて、立体的な3D内視鏡映像を見ながら、体内に挿入した自由度の高いロボットアームによる手術操作を行い、出血が少なく正確な手術が行えます。泌尿器科では、現在、前立腺癌、腎臓癌、膀脱癌に対して、ロボット手術および腹腔鏡手術を行っており、体に負担の少なく、QOLの高い手術を実践しており、ロボット支援腹鏡下前立腺全摘除術では、首都圏でも有数の手術実績を積んできています。尿路結石に対しては、侵襲の低い体外衝撃波結石破砕術(ESWL)をはじめ、ホルミニウムレーザーを用いた、経皮的腎砕石術や経尿道的腎•尿管砕石術を行い、短期間の入院でQOLの高い治療効果を得ています。
呼吸器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K508-3 気管支熱形成術 8 1.00 1.00 0.00 62.25
K510 気管支腫瘍摘出術(気管支鏡又は気管支ファイバースコープ) 3 5.00 5.00 0.00 62.00
K0531 骨悪性腫瘍手術(肩甲骨,上腕,大腿) 2 7.00 47.00 0.00 71.00
K522-2 食道ステント留置術 2 24.50 26.50 0.00 62.00
K1425 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(椎弓切除) 1 0.00 47.00 0.00 70.00
当科では肺がんを含めた多くの肺疾患の診療を行なっています。最も多い肺がんの診断検査として、気管支内視鏡検査を年間300例以上行っています。安全のために入院での検査を原則としていますが、気管支内視鏡検査の在院日数は3〜5日程です。肺がんと診断され化学療法(抗がん剤治療)を行う場合、最初は入院での治療を行います。化学療法後の副作用を確認し(平均在院日数16.9日)、2コース(回)目以降は外来通院での化学療法も行っています。そして治療薬剤の変更が必要となった場合には、入院での新たな薬剤(抗がん剤)の導入を行います。また、胸水貯留や食事摂取困難、呼吸困難、疼痛など、がんによる病状の進行を認めた場合にも入院治療を行っています(平均在院日数23日)。そして当科では地域の関連施設との連携を積極的に行い、個々の患者さんに対して最適な医療を地域の病院と共に行っています。

2020年10月19日
呼吸器・アレルギー内科 福島康次
循環器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5951 経皮的カテーテル心筋焼灼術(心房中隔穿刺、心外膜アプローチ) 350 1.76 2.41 0.00 65.45
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術(その他) 161 2.66 3.96 1.24 71.50
K5952 経皮的カテーテル心筋焼灼術(その他) 76 1.99 2.12 0.00 61.97
K616 四肢の血管拡張術・血栓除去術 55 3.11 5.71 1.82 74.60
K5463 経皮的冠動脈形成術(その他) 32 1.66 4.06 0.00 72.38
狭心症・心筋梗塞・下肢動脈閉塞のカテーテル治療
心臓を栄養する動脈である冠動脈や足の動脈に狭窄や閉塞が生じると狭心症・心筋梗塞、または下肢の壊死が発症します。治療には、カテーテル治療やバイパス手術があります。どの治療法も、当施設では最先端の技術で行っており良好な成績を誇っています。

不整脈のカテーテルおよび薬物治療
心臓の脈が速くなったり、遅くなったり、また不規則になったり“脈がみだれる”ものを不整脈と呼びます。カテーテル治療、薬物治療など患者様それぞれに合った治療法を相談させて頂いております。カテーテル治療では、最先端のクライオバルーン、ホットバルーン、レーザーバルーンを使用して多くの患者様の治療を安全に行っています。

弁膜症のカテーテル治療
弁膜症では大動脈弁狭窄症と僧帽弁閉鎖不全症が代表的疾患です。通常は外科的手術を行いますが、手術リスクの高い患者様にはカテーテル治療を行っています。現在、両弁膜症のカテーテル治療が可能な施設は当施設を含めて3施設のみです。

心不全治療
心臓の動きが悪くなって息が苦しくなったり、体がむくんだりする状態を心不全と呼びます。薬物治療が中心ですが、当施設では、心臓再同期療法、体外式人工心臓など、最先端の機器も使用しております。
腎臓内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K610-3 内シャント又は外シャント設置術 62 8.39 15.79 6.45 65.97
K635-3 連続携行式腹膜灌流用カテーテル腹腔内留置術 16 3.06 34.06 0.00 65.19
K6147 血管移植術、バイパス移植術(その他の動脈) 2 46.00 28.00 50.00 58.00
K0052 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)(長径2cm以上4cm未満) 1 1.00 20.00 0.00 65.00
K0823 人工関節置換術(肩鎖,指(手,足)) 1 1.00 38.00 0.00 61.00
主要手術トップ2
当科は内科ではありますが、手術も行っております。最も多い手術は内シャント設置術です。これは透析療法が間近になった方で、血液透析を希望された方に行う手術です。一般的には利き腕と反対側の前腕手首付近の動脈と皮静脈を機能的に吻合することにより、血液透析に必要な「ブラッドアクセス」を作成するというものです。この内シャントから血液浄化装置に大量の血液を送り、浄化された血液をこの内シャントに戻すことによって、腎臓の代用を透析装置にさせることができます。再入院の率も低く、十分な成功率が得られております。
→患者用パス:内シャント設置術パス

2番目は連続携行式腹膜灌流用カテーテル留置術です。慢性腎不全で腎機能の廃絶してしまった方への代替治療としては、現在血液透析、腹膜透析、腎移植の3つの方法があります。このうちの腹膜透析を選択された方が受ける手術です。「テンコフカテーテル」という腹膜透析用のカテーテルを腹壁からトンネルを作って、腹腔内(おなかの中)に埋め込む手術です。腹膜透析を行う患者さんは、このカテーテルを用いて、腹腔内に透析を入れたり、出したりご自身で行うことにより、透析を行います。
カテーテルを挿入後すぐに腹膜透析を開始する従来法と、カテーテルをおなかの中に埋め込みしばらく待ってからカテーテルの一部を体外に出して腹膜透析を開始するSMAP方とがあります。
→患者用パス:PD導入従来法パスもしくはSMAP法パス

当科ホームページアドレス
https://dept.dokkyomed.ac.jp/dep-k/nephro/
糖尿病内分泌・血液内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6261 リンパ節摘出術(長径3cm未満) 6 15.33 40.33 0.00 70.00
K386 気管切開術 3 3.00 65.67 0.00 65.33
K2762 網膜光凝固術(その他特殊なもの(一連につき)) 2 4.50 13.00 0.00 40.55
K6262 リンパ節摘出術(長径3cm以上) 2 3.50 10.00 0.00 68.00
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 2 7.50 38.00 50.00 74.50
当科は糖尿病内分泌疾患と血液疾患の診療を担当していますが、入院される患者さんは糖尿病では2型糖尿病、内分泌疾患では副腎腫瘍が多くを占めています。今や我が国において糖尿病および糖尿病が疑われる人は約20人に1人と極めて多くなっています。また30歳以上の男性の約3割、40歳以上の女性の約2割は肥満であり、肥満者は急激に増えています。したがって肥満を主たる原因とし、インスリン抵抗性(体から分泌されるインスリンの効き目が悪い)による2型糖尿病が近年増加の一途にあり、当科の入院患者さんとしても年々増えています。実際当科の年間の糖尿病の外来患者さんの延べ数は6000名を超え、常時20名程度の糖尿病患者さんが入院されています。
糖尿病治療は最初が肝心です。当科では、未治療の2型糖尿病で入院した患者さんの血糖状態を24時間の血糖モニタリングなどを用いて正確に把握し、高血糖状態をインスリン治療によってなるべく早く是正します。そして退院時にはインスリンを卒業し、なるべく経口薬(飲み薬)のみで治療できるようにしていきます。また当科では医師、看護師、薬剤師、管理栄養士および臨床検査技師が一体となって糖尿病教室を開き、患者さんの教育にあたっております。特に独自のエクササイズプログラムを用いた運動療法は全国的にも有名で、当科の糖尿病教室の特色です。退院後も食事運動療法を継続できるように指導いたします。

さらに最近のCTやMRIなどの画像診断の進歩により、偶然に副腎腫瘍が見つかるケースが多くなっています。また高血圧の患者さんへの二次性高血圧症、特に原発性アルドステロン症のスクリーニングが、かかりつけ医の先生方にも浸透してきたため、副腎腫瘍、原発性アルドステロン症疑いの患者さんをご紹介いただくことが増えています。副腎腫瘍特に原発性アルドステロン症については、当科は全国的にも多くの診療実績を持っています。各種内分泌負荷試験を行うことで診断し、放射線科とタイアップして副腎静脈サンプリングを行い、手術の場合は当院の泌尿器科で行うという円滑な診断治療ラインが確立しています。

血液疾患では高齢化社会に伴って、悪性リンパ腫および骨髄異形成症候群の患者さんが入院患者さんの上位を占めています。血液疾患は、近年新規薬剤(特に分子標的薬)の進歩が目覚ましく、その治療成績も飛躍的に向上しています。当科では無菌治療室(クリーンルーム)も6床稼動し、悪性リンパ腫および骨髄異形成症候群などに対する化学療法に必要な環境も完備しています。さらに大量抗がん剤治療を安全に行うことを可能にする自家末梢血幹細胞移植も近々開始となります。また放射線治療も当院放射線科との密接な連携の下に行っています。

糖尿病内分泌・血液内科 診療部長 橋本 貢士
救命救急センター・救急医療科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K386 気管切開術 48 10.13 20.29 64.58 71.27
K6021 経皮的心肺補助法(初日) 12 0.08 25.33 41.67 57.83
K0003ロ 創傷処理(筋肉、臓器に達するもの)(長径10cm以上)(その他のもの) 9 2.44 16.78 44.44 63.22
K125 骨盤骨折観血的手術(腸骨翼及び寛骨臼骨折観血的手術を除く) 9 2.00 27.22 33.33 53.89
K046-3 一時的創外固定骨折治療術 8 0.75 51.75 37.50 39.38
手術
埼玉県東部地域における重症症例の多くは当センターへ搬送されています。重症症例では長期の人工呼吸管理が必要となる場合が多いため、気管切開術の実施件数が多くなっています。自宅へ退院できる程度に回復するまでには時間がかかることも多く、自宅近くの病院やリハビリテーション病院へ転院していただく方が半数以上になっています。重篤な心不全や呼吸不全、難治性不整脈等で生命の危機と判断できる場合には経皮的心肺補助法も積極的に実施しています。当センターの救急搬入件数の約40%程度が外傷関連となっており、外傷診療には特に力を入れています。外傷に伴う様々な創傷に対して、洗浄を含む創傷処置、傷の縫合など搬入後速やかに行っています。骨盤骨折に限らず観血的整復術、一時的な創外固定の手術件数が多いことも当センターの特徴です。その他にも頭部、胸部、腹部外傷に対する手術、緊急手術を含め、他院からの転送にも対応しています。重篤な内科疾患から外傷に対する診療、治療そして集中治療まで一貫して行っており、必要であれば各診療科の専門医と協力する体制を構築しています。
消化器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) 517 0.37 1.21 0.00 69.42
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 187 1.39 9.13 3.74 74.92
K6532 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術(早期悪性腫瘍粘膜下層) 108 0.79 5.73 0.93 74.41
K7212 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm以上) 76 0.21 1.63 0.00 67.75
K721-4 早期悪性腫瘍大腸粘膜下層剥離術 75 0.73 5.79 0.00 69.15
大腸ポリープ
大腸ポリープとは、大腸の粘膜の一部がイボ状に盛り上がり、内腔に突出したものを指します。大腸ポリープのなかでも最も多いのは、「腺腫性ポリープ」です。大腸ポリープは良性の病気ですが、大腸がんのなかには腺腫性ポリープの状態を経てがん化したものもあります。したがって、腺腫性ポリープが発見されたときには、良性の段階で早期に治療することが重要です。

胆管結石・胆管炎
結石や腫瘍が胆管をふさぐことにより上腹部に痛みが生じますが、結石がはまり込んでいない場合は無症状のこともあります。結石や腫瘍が胆管をふさぎ細菌感染を伴うと発熱、悪寒、黄疸、褐色尿などをきたし、急性胆管炎の状態となります。悪化すると意識障害やショックを伴い致命的となることがあります。また、結石により急性膵炎を発症することもあります。急性胆管炎や急性膵炎をおこすと、緊急入院や緊急の治療処置が必要となります。治療は内視鏡で結石を除去したり、胆汁のドレナージ(排泄)目的に内視鏡で胆管にステントを留置したりします。

早期胃癌
胃がんの大きな原因のつであるピロリ菌感染症は減っていますが、胃がんの罹患率はあまり変化していません。しかし、胃がんは初期に発見すれば内視鏡での治療が見込めます。最近、胃粘膜下層剥離術(ESD)という方法が普及し、多くの早期胃がんを内視鏡で治療できます。別部位に新たにがんが発生することもあり、治療後も定期的な内視鏡検査が必要です。

早期大腸がん
内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は、日本で開発された新しい内視鏡治療です。これまでの内視鏡的粘膜切除術(EMR)では切除できない大きな病変や、切除が難しい病変に対しても治療が行えることが特長です。以前は手術治療を必要とする病変も内視鏡で治療できるようになってきました。大腸ESDではリンパ節は切除できないため、リンパ節転移が疑われる早期がんは大腸ESDの適応にはなりません(外科手術が推奨されます)。そのため、事前の診断が重要となってきます。

膵臓癌
膵臓癌は早期発見が難しく、5年生存率も非常に低い癌です。診断のために腹部超音波、CT、MRI、超音波内視鏡(EUS)など様々な画像診断を組み合わせて行いますが、特に超音波内視鏡検査(EUS)は比較的小さな腫瘍でも描出しやすい検査です。組織採取のために超音波内視鏡を用いて針生検(EUS-FNA)を行ったり、内視鏡を用いて膵管や胆管の造影検査(ERCP)を行います。治療は手術や抗癌剤による化学療法などがあり、進行度や全身状態にあわせて選択されます。また膵臓癌により胆管を圧排・ふさいでしまい、胆汁の流れが悪くなり黄疸をきたすことがあり(閉塞性黄疸)、胆汁のドレナージ(排泄)目的に内視鏡で胆管にステントを留置したりします。

内視鏡的胆道ステント留置術
内視鏡的胆道ステント留置循は、様々な素材で作られたチュープ(ステント)を、結石や腫瘍などにより胆汁の流れが悪くなった部分に留置する方法です。流れずにたまっていた胆汁が元通り流れていくため、黄疸がよくなります。胆管結石による急性胆管炎や、切除不能と診断された悪性の胆道閉塞(胆管癌や膵臓癌など)には非常に有効です。また切除可能な悪性の胆道閉塞(胆管癌や膵臓癌)でも、後日安全に手術が受けられるようにステントを留置します。
乳腺科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K4763 乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術(腋窩部郭清を伴わない)) 60 1.92 7.00 0.00 65.58
K4762 乳腺悪性腫瘍手術(乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わない)) 50 1.62 2.22 0.00 59.54
K4765 乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術・胸筋切除を併施しない) 39 2.77 10.00 2.56 60.87
K4641 副甲状腺(上皮小体)腺腫過形成手術(副甲状腺摘出術) 17 1.29 5.06 0.00 55.82
K4631 甲状腺悪性腫瘍手術(切除) 11 1.45 5.09 0.00 58.82
主要手術
乳癌の手術は、術後の手の浮腫を防ぐため、近年腋窩リンパ節の郭清を極力なくす方向で行われています。このため、手術中に腋窩のリンパ節を1個だけ調べるセンチネルリンパ節生検が主流となっています。しかし、この術式はアイソトープの施設があることや病理の迅速診断が可能なことが条件で、大きな病院でないと実施できません。当院は、乳癌の全ての手術法に対応して手術が可能な施設です。このため、種々の術式が採用されていますが、腫瘍の大きさや場所に応じて、適切な術式を選択しています。なお、乳房温存手術後は、残った乳房組織に放射線照射を行うことが必要となります。放射線治療は、局所のみに照射するもので、全身への影響はほとんどありません。治療も1回数分で終了します。ただし、1-2ヶ月間、連日の通院が必要となります。このように、追加治療の必要性も含めて手術術式は患者さんと相談しつつ決めています。術式により、再発や予後の差が出ず、かつ最大の治療効果を生じるように検討を重ね、患者さんに最新治療を提供しています。
当科のもうひとつの治療分野が、内分泌外科です。
甲状腺、副甲状腺疾患を対象としています。甲状腺疾患は、主に甲状腺癌の治療です。甲状腺癌は、組織型により予後や治療内容が変わります。腫瘍は、細胞診によりおおよその組織型がわかりますので、そのあとで治療方針を決定します。
副甲状腺機能亢進症は、近年増加傾向にあります。血中のカルシウムを測定する機会が増えたことが関係していると思います。この病気は、副甲状腺腺腫によりもたらされます。血液中のカルシウム濃度が高い状態を放置すると、尿管結石や腎機能障害、心筋梗塞や骨粗鬆症を引き起こします。これらの予防のためにも、治療は必要です。治療は、副甲状腺腺腫を摘出することが一番早く確実な方法ですが、頚部は多くの細かい神経や血管があるため、術後の合併症を防ぐ意味からも、できれば専門医の治療が必要です。当科は3名の甲状腺外科専門医が診療していますので、治療は専門病院と同質の適切な治療を安全に行うことができます。わざわざ都内の専門病院へ通院される患者さんのご負担は減ることと思います。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 3 0.01
異なる 44 0.21
180010 敗血症 同一 25 0.12
異なる 41 0.19
180035 その他の真菌感染症 同一 3 0.01
異なる 3 0.01
180040 手術・処置等の合併症 同一 56 0.26
異なる 14 0.07
更新履歴