過年度における公的研究費使用問題についてのお詫びとご報告
平成23年10月29日
社会の皆様、並びに本学関係者の皆様へ
獨協医科大学
学長 稲 葉 憲 之
過年度における公的研究費使用問題についてのお詫びとご報告
先に、新聞等の報道にありましたとおり、過年度における本学研究者の公的研究費使用問題が生じました。社会の皆様をはじめ、在学生並びにご父母、卒業生、本学関係者の皆様には、多大なご迷惑とご心配をおかけ
しましたことを衷心より深くお詫び申し上げます。
ここに今回の問題の概要と今後の改善措置について下記のとおりご報告申し上げるとともに、公的研究費の財源が国民の貴重な税金であることを肝に銘じ、今後さらに公的研究費の適正使用に万全を期すことを宣言いたします。
1.本件の概要
本学では、これまで、過去2回にわたり公的研究費の不正使用(いわゆる預け金)の問題が発生し、調査結
果を公表してきました。最初の事案は、平成14年度から18年度における本学研究者とA社(現在廃業している)
との取引を中心に公的研究費の使用実態について調査を行ったものです。続いて第2の事案は、平成15年度
から平成19年度における本学研究者とB社との経常費補助金の使用実態について調査したものです。
今回発表する内容は、本学研究者とB社との取引を中心に、経常費補助金以外の公的研究費の使用実態
について、本学で引き続き内部調査を行い、その結果をまとめたものです。
(1)調査の対象等
①補助金等の種類:公的研究費全般
②調査の対象期間:平成15年度~平成20年度
③実態調査の概要:公的研究費に係る獨協医科大学研究者とB社(他業者を含む)との取引実態調査
(2)調査の経緯
学内に「不適切取引調査委員会」を設置しました。平成20年11月当初の委員会構成は学外学識経験者(弁
護士)を含む7名で構成し、委員長は本学の寺野彰学長(当時)でした。平成21年度には委員の一部交代と1名
増員を行いました。
調査委員会は平成20年11月から平成21年9月まで計3回開催し、平成21年10月以降は、不正防止計画推進
室に業務を移管して調査を続行しました。
(3)調査結果の概要
調査委員会ではまず、調査対象期間(平成15年度~平成20年度)にB社と取引のあった98名について、既に
取り寄せていた売上明細書と納品書を突合し改めて調査を行ったところ、8名の研究者について不一致があり
ました。このため該当研究者に対し個々に事情聴取を行うとともに、B社の歴代担当者、経理担当者を含めた
数名に対し事実確認を行いました。B社に対しては、得意先元帳等により実態をさらに詳しく調べるため、複数
回同社本社及び営業所を訪問し調査を実施した結果、品目の合わない不一致分は全て預け金であったことが
判明しました。従って本学としては、これらを預け金と判断し報告するものです。また、そのうち4名については
預け金以外に前年度納入(前年度に納品を受けた研究用物品を翌年度の補助金で支払った分)がありまし
た。
なお、今回報告する8名の該当研究者は、事情聴取の結果いずれも預け金を行ったことを認めています。
また、今回の調査を機に、他の各取引業者、本学在職全研究者及び退職した研究者を対象に公的研究費の
不正使用の有無についての調査を実施しました。
取引業者、在籍全研究者及び退職研究者への調査結果は次のとおりです。
○業者への調査
対象業者数 136社
不正なしと回答した業者 125社
不正ありと回答した業者 2社
(経常費補助金分で該当し既に報告済み)
回答率 93.4%
該当期間に取引のない業者 8社
廃業した業者 1社
売上元帳を提出した業者 69社
提出率 50.7%
(ただし、取引量は売上元帳を提出した業者で95%を超える)
依頼したが売上元帳提出の協力が得られなかった業者58社
該当期間に取引のない業者 8社
廃業した業者 1社
○在職研究者への調査
対象者数 1,014名
回答者数 1,014名
回答率 100%
○退職研究者への調査
退職者数 696名
補助金の受給のない者 144名
差引き対象者数 552名
回答者数 365名
回答率 66.1%
所在不明 182名
死亡 5名
上記のとおり行った業者、在職研究者及び退職研究者への調査結果に基づき、8名以外の研究者に業者へ
の預け金はなかったと判定しました。
また、旅費、謝金等について、平成18年度以前分は平成19年度当時に会計検査院の実地検査を機に証拠
書類の調査を行い、平成19年度以降分は定期的に聴き取り調査及び資料による確認を行っており、いずれも
適正であり、いわゆるプール金はないと判断しています。
(4)判明した預け金等の額
調査により判明した預け金の総額は、合計14,874,617円です。また、前年度納入額合計は1,121,851円です。
それぞれの内訳は以下の表のとおりです。
【年度別内訳】 (単位:円)
| 年 度 | 預け金 | 前年度納入額 |
| 平成15年度 | 7,107,991 | 0 |
| 平成16年度 | 4,445,662 | 658,434 |
|
平成17年度 |
1,587,653 | 0 |
| 平成18年度 | 1,733,311 | 463,417 |
| 平成19年度以降 |
0 |
0 |
| 合 計 | 14,874,617 | 1,121,851 |
【財源別内訳】 (単位:円)
| 財 源 | 預け金 | 前年度納入額 |
| 文部科学省関連 | 7,176,071 | 528,024 |
| 日本学術振興会関連 | 3,570,689 | 130,410 |
| 厚生労働省関連 | 4,127,857 | 463,417 |
| 合 計 | 14,874,617 | 1,121,851 |
(5)預け金の使途
各研究者の預け金は、B社が取り扱う試薬、研究用消耗品の購入に充てられており他業者の物品購入に
は使用されていません。また、預け金は現金や金券で研究者に還流されたこともありません。これらは各研究
者の申立てによるほか、同社への事情聴取により確認しています。これらのことから、預け金は全て研究目的
で支出されており私的流用はないと認められます。
(6)関係者の処分
調査委員会及び不正防止計画推進室による調査結果を踏まえ、懲戒委員会において減給1か月~3か月
の処分を行いました。
2.本件に係る発生要因及び改善措置
(1)発生要因
本件が発生した要因として、平成16年度に本学研究者の研究支援業務及び公的研究費使用に係る機関管
理を目的に新たな組織として研究協力課が設置されましたが、当時の同課は公的研究費に係る予算管理、
業者等への支払業務、各研究者への連絡窓口業務を主な業務として行っており、公的研究費の使用に係る
不正防止及び適正使用を推進するための体制は充分整備されていたとは言えない状況でした。特に、当時、
物品の納品検収は各研究者に任せられていましたが、見積書、納品書及び請求書と実際に納品される物品
のチェックは充分と言えず、研究者に公的研究費を適正に使用しなければならないという意識が欠如してお
り、預け金が発生し易い状態となっていました。
また、前回(平成19年度)報告時に、当時の在籍研究者876名及び取引業者101社を対象に、平成14年度か
ら平成18年度における不適切な取引の有無について書面による調査を行った結果、当時の不適正該当者を
除く849名の研究者には不適正な使用はなく、100社の業者については不適切取引がないとの回答でした。そ
の際の調査で今回の問題が発覚しなかった理由は、一部研究者の研究費適正使用についての認識が不充
分であったこと、また、研究者に対するアンケート調査が回答者の善意に頼ったものであり「後日偽りが判明し
た場合には厳正に処分する」旨の牽制効果のある文言がなかった点で甘さがあったこと、及び業者に対して
売上元帳の提出依頼を全く行わなかったという点で調査方法が不充分であったことが挙げられます。
(2)改善措置
本学では平成19年度に、公的研究費の管理・監査のガイドラインに沿った体制が整備され、以来、全学を挙
げて不正防止に取り組んでいるところです。前述のとおり、預け金は平成18年度以前に発生しており、平成19
年度以降には防止できています。
なお、今回の発生要因への対策として次のとおり取り組んでいます。
①平成19年度の公的研究費調査結果報告時に在籍研究者及び取引業者を対象に調査を行った結果、今回
の問題が発覚しませんでしたが、今回の調査では、偽りが後日判明した場合は、厳正に対処する旨を記載
して調査を実施しています。また、業者に対しては、今回、平成15年度から平成20年度の売上元帳提出の
協力依頼を行い提出された資料を基に調査を行いました。提出されなかったものについては、今回の対象
が過年度分であり、前回の誓約書提出時点よりも前の時点のものであったことから、やむを得ないものと判
断しました。今後は監査等で必要な際に、誓約書に基づき、売上元帳の提出を強く協力依頼することとして
います。
②平成18年11月に研究協力課において文部科学省・日本学術振興会科学研究費補助金を対象に納品検収
を開始し、翌平成19年7月以降は全ての公的研究費に対象範囲を拡げて全品検収を行っており、今後とも
洩れなく納品検収を継続して実施します。また、複数の検収担当部署(事務局研究協力課、RIセンター、実
験動物センター、越谷病院経理課、日光医療センター管理課)間で定期的に打ち合わせを行い検収方法の
徹底を図ることとしています。
③毎年、科学研究費補助金の被採択研究者を対象に「科学研究費補助金の取扱いに関する説明会」を開催
し、補助金の適正使用について周知徹底を図っているところですが、この説明会には研究者本人の出席を
義務付けるとともに説明会の内容をDVDに記録し、欠席者には後日視聴するよう義務付けており、DVD視
聴の報告書を提出させています。
④取引業者に対しては、不適切取引を絶対に行わないこと、及び監査等に際し必要な場合は本学に取引帳
簿等を提出することを約束させています。万一不適切取引を行った場合は取引を停止するとともに当該業者
名を公表することを周知徹底させ、その旨の誓約書を平成19年度に提出させています。今般、前回の誓約
書提出から4年を経過していることから、全業者を対象に改めて誓約書を提出させ、さらに新たな取引業者
にも同様に必ず提出させることとしています。
⑤平成23年度より、学外からコンプライアンスに精通した職員を新たに採用し研究協力課長兼不正防止計画
推進室副室長に起用し、客観的な立場から公的研究費使用に係る不正防止策の強化を図っています。
⑥平成19年度に第1次不正防止計画を策定しこれを運用し現在に至っていますが、今後は、さらに不正を発生
させる要因の把握に努め、平成23年度中に第2次不正防止計画を策定します。
⑦学内に内部監査室を設置し、法人本部既設の「内部監査室」と連携して、平成19年度以降、大学全体のモ
ニタリングについて確認・検証するとともに、不正防止体制が十分機能しているかについて監査を実施して
おり、今後も継続して実施します。
⑧現在、研究者発注となっている20万円以下の研究用物品についても、今後、早急に予算措置を講じた上で
発注システム(仮称)を導入することとしています。
以 上













