ご遺体の状態が正常解剖に適当かどうかの判断について
正常解剖は、全身を対象としてその正常な構造を調べるので、そのためのご遺体は、病変も損傷も死後変化もなるべく少ないものであることが望ましいわけです。現実には種々の程度の病変や手術の既往を伴ったご遺体がほとんどですが、解剖実習では複数のご遺体を同時に観察して行くため、正常でない点が広範囲でなければ、他のご遺体での観察で補い合うことができるので、普通に病死されたご遺体は大多数が正常解剖に適当なものといえます。
これに反して、轢断・衝突・墜落などで亡くなった損傷の多いご遺体では、正常解剖に不適当なことがしばしばあります。それは、損傷のために観察できない箇所が多いためだけではなく、血管に薬液を注入して行なう防腐処置が充分に行なえないためでもあります。
また、死後経過時間が長かったり、温度の高い状態に置かれた場合には、外観上損傷がなくても内部で腐敗が進行し、防腐処置が奏効しないため正常解剖に不適当なことがしばしばあります。
この他に、次のような疾患、病歴がある方は献体登録を申し込まれる時点でお断りさせていただいております。
B型・C型肝炎に感染のある場合
HIV(エイズ)に感染のある場合
梅毒に感染のある場合
結核に感染のある場合
重度の肝硬変症の場合
局所的な壊死(特に手足)がある場合
ご連絡をいただいた時点で状況を詳しく伺い、お預かりさせていただくかどうかの判断をさせていただきます。