研究科長挨拶

看護学研究科長 金子 昌子

少子超高齢社会を迎えた今日、労働力の不足による経済成長の鈍化や地域経済の衰退など多岐にわたる社会的課題が報告されています。保健医療福祉の分野でも、社会保障制度や労働力の不足による需給バランスの不均衡、AIや先端技術の進歩に伴う医療の新時代への対応など多様な課題に直面しています。このような社会状況を受け、看護職者には個人、組織、地域の健康課題への対応に加え、新たな役割が希求されています。その期待に応えるためには、専門職者としての尊い倫理観と高度なマネジメント能力、看護実践能力を備え、さらに問題解決に取り組む研究的思考能力を有することが求められます。
獨協医科大学大学院看護学研究科は、これらの期待に対応できる高度実践看護者、看護管理者、教育者、研究者の養成に取り組んでいます。令和5年度から博士後期課程を開設し、地域社会及び地域の人々の健康問題や保健医療福祉上の課題を研究し、専門的な知識に基づいた看護ケアやケアシステム開発、専門者としてのキャリア形成に向けセルフマネジメントを促進する教育プログラムの開発に関する研究活動を支援しています。また、博士前期課程では論文コースと高度実践看護専門看護師コースを開設しています。専門分野として、「基盤・機能看護学」と「実践看護学」の2分野を配し、論文コースは11の専門領域により構成し看護学上の学術的価値・有用性のある看護を探究します。一方、高度実践専門看護師コースは、専門領域として「生体防御・感染看護学」「慢性看護学」「在宅看護学」「精神看護学」「クリティカルケア看護学」「遺伝看護学」を開講しています。各専門領域でのゼミはもちろん、専門領域を超えた横断的なゼミ、院生間の自主ゼミ等が充実しており、教員と大学院生、大学院生同士が「共に学ぶ」関係性を大切にしています。大学院生は、病院、施設、地域での看護実践者や教育の場で活躍する社会人が大半を占め、それぞれの身近な課題から看護学上の意義を見出し「看護実践や教育に還元できる」研究に取り組んでいます。授業は夜間開講や長期履修制度、研究費支援、奨学金制度等の学修支援を行っています。さらに、獨協医科大学地域共生協創センターと連携して、社会連携・貢献事業を企画し運営することで、自己の学びを地域に還元し、自ら可能性を高めています。
このような学修環境の中で、地域社会及び地域の人々の健康課題の解決並びに保健医療福祉の質の向上に貢献する看護を共に探究し、創出していきましょう。

看護学研究科長 金子 昌子の写真