6年間のカリキュラム

1学年

豊かな人間性と高度なスキルを備えた医師となるための
基礎づくりを始めます。

第1学年では、信頼される医師になるために、人間力の向上と医学の基礎を固める学習を始めます。まず、「これからの時代を生き抜くための医師のキャリアプラン」で医師としてのプロフェッショナリズムを学び、「スタディ・スキルズ」で今後の学習を見据えた効果的な学修法を習得。また、地域医療や福祉の現場を実体験する「コミュニティヘルスインターンシップ」では、患者さんの生活の原点に立った医療と福祉とは何かを考えます。そのほかにも医師となるための基本を学ぶ科目によって広い視野を養っていきます。

主な科目紹介
細胞の生物学Ⅰ・Ⅱ

生命を理解するためには、基本単位である「細胞」を理解することが欠かせません。本科目では、細胞の構造と機能に関する基本を学びます。「細胞の構造と機能」「ゲノム・染色体・遺伝子」「生物の進化」「生体物質の代謝」「細胞膜」「細胞骨格と細胞運動」などがテーマとなります。人体の構造と機能を理解する上で必須となる、重要な学習内容です。

コミュニティヘルスインターンシップ(CHI)(地域医療早期体験実習)

人間性豊かな社会性ある医師としての心構えを身につけることが、この体験学習のねらいです。そのため、本学病院や社会福祉施設などの現場を体験し、患者さんやご家族と交流することで相手の気持ちを理解し、信頼関係を築くにはどうすればよいのかを学びます。また、地域包括ケアシステムの概念を理解し、多職種間連携の必要性も理解していきます。

2学年

基礎医学の講義と実習を通して、
生命の尊厳と人体の神秘に向き合います。

人体の構造や機能、疾病の原因や予防などを履修する基礎医学系の講義が本格化します。また、「解剖学」「植物性機能生理学」「生化学」「微生物学」「病理学」などの実習が始まります。実習を通して、講義で得た知識を自ら確認し、自分のものとして定着させていきます。特に「解剖学実習」は、生命の尊厳と人体の神秘に直接触れられる貴重な学びです。献体いただいた方への感謝の念とともに、改めて医師として命と向き合う重みと決意を強く感じることになります。

基礎医学の講義と実習を通して、生命の尊厳と人体の神秘に向き合います。
主な科目紹介
解剖学実習

人体の構造の全体像をとらえ、各器官の肉眼的な構造と基本的な機能を理解します。臨床的な重要性を意識しながら剖出を進め、個人差を知り、多様性を認識します。机上での学びを実習でさらに深め、医師として必須の知識を体得します。また、協調性や自己問題解決能力を鍛え、献体の精神を学んで、人の心が分かる医師となることを目指します。

PBL(Problem-Based Learning)テュートリアルⅡ

問題基盤型学習(PBL)を少人数のグループがテューター(教員)陪席のもとに自主的に学習を行います。目的は課題から問題を抽出し、抽出された問題を解決するために、どの様に自己学習をすれば良いか、“学び方”を学びます。

3学年

臓器・器官別の病態や診断、治療を学ぶため、
より専門的な臨床医学の科目が始まります。

第2学年からの基礎医学系科目に加え、臨床医学の履修が始まります。「消化器」「循環器」「呼吸器」「脳・神経」「耳鼻・咽喉・口腔」「腎・泌尿器」「運動器」などの科目で、各臓器の病態・診断・治療の知識を学びます。また、臓器・器官別の病態を系統的に学ぶ「病理学各論」や実習が行われます。基礎的な知識を確実なものにして臨床実習へ臨めるように万全の準備をしていきます。

臓器・器官別の病態や診断、治療を学ぶため、より専門的な臨床医学の科目が始まります。
主な科目紹介
消化器

口腔、食道、胃、小腸、大腸、直腸、肛門の消化器に加え、肝臓、胆嚢、胆道、膵臓、腹膜の諸臓器の基本的な構造と機能、主要疾患における症候・病態・診断(鑑別診断も含む)・治療について学びます。これらを理解するための必要最小限の解剖・生理等の内容と病理学各論実習も実施。諸臓器の機能や疾病を総合的に理解できるようにします。

薬理学

臨床における薬物療法を理解するために、薬物と生体との相互作用を学び、診療に必要な薬物治療の基本的知識を修得します。本科目では、薬の用量反応関係と受容体、薬理作用の分子機序、薬物動態、臓器/病態別の薬と作用、薬理作用、薬物動態への影響因子、人を対象とした研究における薬効評価、患者薬物治療などについて学びます。

脳・神経

脳神経系の基礎的知識を振り返りながら、神経系の構造、病理、各種神経疾患の病因、病態生理、検査法、治療などを理解することを学習目標とする。さらに、この学習目標を遂行し、臨床実習の予備知識を得るとともに、医師として神経病に病む患者さんを診療するための基礎知識、広く脳科学に対する素養を身につけることを目指します。

4学年

基礎医学・臨床医学の知識を集大成し、
臨床実習に臨むための万全の準備をします。

臨床統合科目の「麻酔」「救急医学」「眼・視覚」や、社会医学系科目の「法医学」「公衆衛生学」などの講義と実習が加わります。また、「臨床推論演習」で症例の診断や治療といった解決方策を修得して、知識と実習成果のさらなる理解と定着を行います。これらは、共用試験「CBT」「OSCE」を突破するために不可欠な学びであり、第5学年の臨床実習「CC(Clinical Clerkship)」への準備となります。

基礎医学・臨床医学の知識を集大成し、臨床実習に臨むための万全の準備をします。
主な科目紹介
共用試験 OSCE(Objective Structured Clinical Examination)

OSCE(オスキー)とは、「客観的臨床能力試験」のことで、臨床実習に必要な診療技能や態度が備わっているかを客観的に評価する実技試験です。同時に反省点をフィードバックし、臨床能力の向上を図っていく目的もあります。
受験生は複数の試験場を回り、各試験場において設定された臨床能力を評価するための課題に一定時間内で取り組みます。具体的には、模擬患者を前に、医療面接を行うほか、頭頸部診察、胸部診察、腹部診察、神経診察、救急処置などを行います。患者さんから病歴などを聞き出して良好な関係を築くとともに、訴えやバイタルサイン、ボディサインなどから必要な情報を収集し、的確な診断に結びつける臨床能力を評価します。

CBT(Computer Based Testing)

CBTとは、コンピューターを用い医学知識を評価する客観試験で、モニターに写し出された問題を選択肢の中から選んで解答していきます。出題範囲は医学教育モデル・コア・カリキュラムの項目と内容に準拠しており、問題プールから受験生ごとに異なる問題がランダムに出題されますが、ランダムに出題されても受験生ごとの難易度に差がないように調整されます。

法医学

社会が複雑化するにつれ、また人権意識が浸透するにつれて、法医学の包括する範囲も急速に拡大しつつあり、単に、司法上・行政上の寄与のみならず、日常臨床にも深く関与しています。本科目では、臨床医学に必要な法医学的・社会医学的問題解決能力を身につけることを第一の眼目とし、突然死、外傷学、中毒学といった臨床医学で必要な基本的問題について学びます。

眼・視覚

眼を身体の中心と位置づけて視覚について解析します。臨床所見を基に、生じている現象が生理学、生化学、病理学的に分析され、その原因と病態について総合的に学びます。視覚の仕組み、透明器官、光受容器官、眼球付属器官の眼科特有の疾患の原因について系統的に学ぶほか、診断に必要な機器の原理を習得します。

総合診療

地域と医療システムの継続的な連携に基づいた医療の実践、教育と研究を行う分野です。領域は超急性期から慢性期まで、病院から在宅までと幅広いのが特徴。総合診療の能力は、今後、どの医師にも基本的能力として少なからず必要になります。本科目の講義では、総合診療の重要性とその概念を学び、現場で実行するために必要な基礎を学習します。

5学年

1年間、全診療科で臨床実習を行い、
医師としての自覚と必要な技術を養います。

4年間にわたり習得した医学の知識と技能を医療現場において確認する「臨床実習(CC)」が始まります。大学病院では「内科」「外科」「小児科」「眼科」「泌尿器科」「耳鼻咽喉・頭頸部外科」「産科婦人科」「麻酔科」などの全診療科を経験するほか、埼玉医療センター、日光医療センターでも実習を行います。本学では「診療参加型臨床実習」を全面導入しているのが特徴です。医療現場を見学するだけでなく、実習生も監督医師の下で医療チームの一員として診療に携わる実習で、知識や技術だけでなく医師となる意識を高めることができます。

1年間にわたり臨床実習を体験し、医師としての自覚と責任を実感します。
主な科目紹介
臨床実習 CC(Clinical Clerkship)

CCは大学病院、埼玉医療センター、日光医療センターで実施されます。特徴は医療チームの一員として、医師とともに患者さんの診療に携わる「診療参加型臨床実習」。建学の理念である「人間性豊かな医師」、教育理念である「信頼される医師」を目指して、問題解決能力、診療技能、態度を身につけていくことを目標としています。

Student Doctor認定システムの導入

CCに臨む学生が、医療の現場に入る自覚と医療行為を行うことへの責任感を認識するため、『Student Doctor』として認定するシステムを導入しています。認定要件として、具体的には「大学独自の進級要件を満たし、かつ医学教育モデル・コア・カリキュラムに準拠した全国共通の共用試験CBT・OSCEをクリアすること」となっています。

地域保健実習

地域で展開される保健・医療・福祉の施策を実際に体験し、業務内容や保健指導における医師の役割と重要性を理解することを目的に、CCの途中の1週間で実施しています。予防医学を支えることが地域の健康危機管理で、その拠点が保健所であること、保健指導も医師の重要な役目の一つであることを実感できるでしょう。

6学年

医師国家試験合格に向けて、
知識と技術を再確認し、総仕上げを図ります。

希望する診療科を選択できる臨床実習「ACC(Advanced Clinical Clerkship)」に加え、基礎医学や社会医学、臨床医学の集中講義で、5年間のカリキュラムの総仕上げを行います。これらを受講することで、これまで学んだ知識をもう一度定着させ、最新の医学情報などを上書きして知識と技術の幅を広げていきます。また、医師国家試験形式の卒業試験や個別指導、模擬試験などを繰り返し行い、2月に実施される医師国家試験の合格を確かなものにします。

知識と実習の集大成を図ることで、万全な態勢で医師国家試験に臨みます。
主な科目紹介
カリキュラムの集大成

臨床実習(ACC)を体験。その後、臓器・疾患別の集中講義を行います。知識を確かなものとして定着させ、不得意な分野、不十分な知識をフォローしていきます。また、クラブ活動などの学生生活を通して、社会人として心身ともに健康でバランスの取れた人格形成を図るとともに、思いやりのある医療を実践できる人格を養っていきます。

万全の医師国家試験対策

少人数用勉強会室の貸出しやネット講座、模擬試験、国家試験対策合宿、個別指導を実施するなど、きめ細やかに学生をサポートしています。また担当教員を配置し、定期的に学生と情報交換をするなど、学生と学校サイドのコミュニケーションを深める取り組みも推進。全員の合格を目指し、全学を挙げてバックアップしています。

Post-CC OSCE

国民・社会の要請に応えた優れた医師の育成に向けて、大学自らが臨床実習後、すなわち卒業時の臨床能力を適切に評価するための共用試験システムです。卒業時の臨床能力とは、すなわち臨床研修開始時に必要な臨床能力であり、安全・安心の診療に不可欠なものです。