医学部長挨拶

医学部長 種市 洋

本学の建学の精神「学問を通じての人間形成」のもと、獨協医科大学医学部は「患者及びその家族、医療関係者をはじめ、広く社会一般の人々から信頼される医師の育成。」を教育理念として掲げています。医師という職業(プロフェッション)は、「医学知識への精通」と「熟練した技能」の上に成り立つ労働を核とするもので、その実務は自分以外の他者への奉仕に用いられる「天職」です。この「天職」を勤め上げるためには3つの土台となる力、すなわち、倫理学・法学の理解、コミュニケーション力、臨床力(医学知識)をしっかり身につけた上で、excellence(卓越性)、humanism(人間性)、accountability(説明責任)、altruism(利他主義)という4つの原則に基づき仕事をして行くことが求められています。これをプロフェッショナリズムといいます。本学医学部では医学知識、技能のみならず、医師という天職を立派に勤め上げるための6年一貫のプロフェッショナリズム教育プログラムD-Mep(Dokkyo Medical Professionalism)を開設いたしました。現代の「良き医師」とは、高いコミュニケーション能力と省察的実践を基礎とした「Values Based Practice(価値に基づく診療)」を高い次元で「Evidence Based Medicine (EBM)」と融合させ、真の「患者中心の医療」を実践できる医師とされています。これはEBMを中心とした従来型の医学教育(医学知識と技術の教育)のみでは達成し得ません。医学教育モデル・コア・カリキュラムの医師として求められる基本的な資質・能力としてプロフェッショナリズムが最上位に据えられている所以だと考えます。本学ではD-Mepプログラムの「誓いの言葉プロジェクト」で第4学年生が自らの言葉で「良き医師」になるための誓いの言葉を策定し、「白衣式」で宣誓し、診療参加型臨床実習(Clinical Clerkship)に臨んでいます。
2023年に開学50周年を迎えた本学はNEXT50(「学生、および教職員にとって魅力ある大学」「未来を拓く良質な医療人の育成のもと、輝き続ける大学」)の方針に基づき、医学教育の更なる改善を図っていきます。そのコアになるのが前述のプロフェッショナリズム教育の推進、全統合型カリキュラムの実現、教育のスマート化による個別化教育の確立です。高等教育機関では教育効果の高いアクティブラーニングをいかにとりいれていくかが重要ですが、そのためのラーニングコモンズ等のアクティブラーニングスペースの充実も開学50周年事業として行います。また、臨床医学教育の核となる診療参加型実習(CC)では、本学独自のルーブリックによる形成的評価をほぼ全科目でとりいれるなどの積極的な取り組みも行っています。
本学は2023年に医学教育分野別評価(JACME)の認証、2024年には大学基準協会の機関別認証評価により適合の認定を受け、次世代の更なる発展につなげていきます。