利益相反に関する各種ポリシー

獨協医科大学利益相反ポリシー

大学は「知の拠点」として、そこで生み出された知的成果を社会に還元する責務を負う。そのため、教職員・学生(以下「教職員等」とする。)は、学外の組織・機関・個人(以下「組織等」とする。)と協力して行動することが必要になる。本ポリシーは、獨協医科大学が知的成果を社会に還元する活動を積極的に行うことを奨励するにあたって大学及び教職員等が学外の組織等と協力する際に、大学及び教職員等の利害と学外の組織等との利害が対立し、社会の不信を招くことのないように必要な考え方を定めたものである。

獨協医科大学は、天野貞祐が唱えた「大学は学問を通じての人間形成の場である」という建学の理念のもとに、教育・診療・研究を通じて社会への貢献に取り組んできた。また、教職員等は法律を守るとともに、社会を支える者であるという自覚を持って行動することに努めている。さらに、積極的に学外の組織等と協力し、知的成果を社会還元するための活動を進めている。

ただし、その際に大学の社会的使命や教職員等の個人的利害と、協力関係にある組織等の利害が対立することがある。仮に、教職員等が協力関係にある組織等から不明朗な金銭やその他の便宜を受け、その結果、大学の品位や教職員等への信頼が損なわれるような行いは厳に慎まなければならない。ましてや、金銭や便宜供与の見返りとして大学の利益や社会の公序・良俗に反する行為を行えば、大学内外から厳しく非難されることにもなりかねない。これらは、全体として「利益相反」と総称される。

「社会の不信」という漠然とした行為を対象とするのは、大学は研究活動を通じて新しい知識を生み出し、教育・診療を通じて社会に伝えることにより社会の信頼を得てきたことと無縁ではない。ここで強調しなければならないことは、法律や大学の「知的財産取扱規程」「服務規律」等を遵守したものであっても、大学及び教職員等の行為として社会から「不信の目」で見られることのないようにすることである。

そうした事態が生じれば、それに伴って様々なリスクが生じかねない。それだけに、法人としての大学、それを構成する教職員等の社会的責任も大きなものとなっている。社会貢献、なかんずく産学官連携事業の実施にあたっては、このことを十分理解することが重要となる。

教職員等は、法律に従い、大学の諸規程を遵守することを通じて、利益相反行為の発生を事前に防止できることに留意してもらいたい。また、良識ある行動をとり大学と教職員等への信頼を高めることに努めてもらいたい。

組織としての大学で問題となるのは、大学の品位をけがす行為や、教育・診療・研究という社会的な使命に背く事柄である。教職員等の行為では、仮に私的な経済的行為であっても、社会通念を逸脱した金銭の授受および便宜供与等が対象となる。従って、大学及び教職員等が学外の組織等と協力する場合、本学に期待される役割に影響を与えることのないような慎重な態度が望まれる。なんらかの理由で影響が出そうな場合は、大学の関係部局や利益相反管理委員会等との事前の相談が望ましい。

獨協医科大学利益相反倫理規範
  • 獨協医科大学は、「知の拠点」として社会から高い信頼を得ていることを自覚し、大学で生み出された「知」を社会の進歩に役立てる活動に積極的に取り組む。その際、教職員等は関係者と円滑な協力関係を構築するとともに良識を持ち法律と大学の諸規程を守って行動する。
  • 獨協医科大学の教職員等は、学外の組織等と協力するにあたって、私的な経済行為によって社会の不信を招かないよう留意する。協力関係にある組織等の利害と個人的な利害が対立する恐れのある場合は、必要な情報の公開等の手段を講じて社会への説明責任を果たす。
  • 獨協医科大学は、自らの活動及び教職員等の言動が社会の不信を招かないよう、学外の組織等との協力に関するルールを定めた規程類を整備し、透明性の高い管理運営に努める。また、学生の教育を受ける権利を損なわないように最大限の配慮を払う。

獨協医科大学知的財産ポリシー

大学とは、普遍的な真理の探求の場であると同時に時代や社会とともに歩む相対的な存在でもある。将来を担う人材を社会に提供する教育、多様な知識を創出して文化の発展や文明の形成に寄与する学術研究に加えて、第3の使命とも言うべき「社会への貢献」が期待されている。獨協医科大学は、本学で生まれた知的成果を社会へ還元することを重要な課題と自覚し、社会との連携強化、とりわけ産業界との円滑な協力関係の構築に努める。また、研究成果の権利化に積極的に取り組み、新たな知的創造サイクルの確立を目指す。そこで、本学における知的財産の創出と活用に関するポリシーを知的財産憲章として定め、それを具体化するための考え方を示した。

獨協医科大学知的財産憲章
  • 獨協医科大学は、建学の理念に則り、学問の自由と独立を堅持し、世界に誇る知の拠点として、真理の探究と学理の応用に努める。それらの成果として、優れた知的財産を不断に創出し、もって世界の学術文化の増進に多大なる貢献を果たす。
  • 獨協医科大学は、自己の創出した知的財産の重要性を深く認識し、これらの蓄積を進んで活用し社会に還元することにより、学術文化の増進とともに世界の平和、人類の福祉及び社会の発展に資する。
  • 獨協医科大学は、知的財産に係る活動について、国内外の多様な機関や個人との連携協力を積極的に推進する。これにより、関連する資源などを最大限に活用し、学術及び社会的貢献を果たすとともに、本学の教育研究活動などの一層の活性化を図る。
  • 獨協医科大学は、知的財産に係る活動に対して、果敢かつ着実に取り組む人材を育成し輩出する。これにより、自己及び他者の創出した知的財産を尊重し、学術や社会の発展に役立てる精神と能力とを有する人材が世界の多分野で活躍することを目指す。
  • 獨協医科大学は、知的財産全般について、適切な管理運営を行うとともに関連する情報を幅広く学内外に開示する。これにより、知的財産のより効果的な活用を図るとともに、大学に課せられた説明責任を果たし、厳正な点検評価とその実践への反映に資する。
知的財産創出の基本戦略

獨協医科大学は、天野貞祐が唱えた「大学は学問を通じての人間形成の場である」という建学の理念の基に、「知の拠点」としての大学の使命を果たしてきた。教育・診療・研究を通じた社会への貢献は、獨協医科大学が将来にわたって果たすべき責務である。

また、将来を展望すれば、長期的な戦略に基づき国際的に評価される研究成果や人材を輩出すること、産業界及び行政や研究機関と的確な連携を強化し、社会的な要請に応えることも求められている。さらに、知的財産を核とした産学官連携の強化を図り、日本社会の活性化を支える知的財産戦略の展開に本学も適切に応えていくことが期待される。その場合、本学で学ぶ学生の教育を受ける権利に十分配慮する。 知財戦略の目的は、知的財産を核として本学における新たな「知的創造サイクル」の展開を促すことにある。そのため、第一に本学で創出される知的創造活動の成果を積極的に世の中に発信して知的財産としての価値を高め、必要に応じて特許権や著作権などの形で権利化する取り組みを行う。第二に、知的財産を適切に管理運用し活用するための組織・システムを構築する。第三に、知的財産の対価、産学の連携、競争的資金などを活用することで、本学における教育と研究の活性化という課題を達成することを目指す。本学は「学問(教育・研究活動)を通じた人間形成の場」であることは言うまでもない。知的財産活動を通じて得た知見と経験を、教職員ばかりでなく学生にも伝えることは大学の使命、社会貢献としても重要な課題である。そのため、さまざまな形を通じて知的財産教育に積極的に取り組む。

最後に、本学は人類の平和と福祉を実現するという崇高な理想を掲げてきた。知的財産活動を通じても、その課題に応えることが求められることを指摘する。すべての教職員・学生が自発的で独創的な取り組みを行い、学術や社会の発展に貢献する決意を重ねて明らかにする。

(補則)知的財産の取り扱い
獨協医科大学は、本ポリシーに沿って教育研究活動を通じて生み出される知的創作物を対象に、個別に取り扱いに関する規程類を整備する。対象とする知的創作物は、特許権・実用新案権・意匠権・商標権・回路配置利用権・プログラム等の著作権・品種登録に係る権利・技術情報等に係る権利(ノウハウ等)とする。

発明などについては「獨協医科大学知的財産取扱規程」に従って取り扱う。大学が権利を承継するにあたっては、発明に至る経過、発明に係る関係者などに充分配慮するものとする。また、権利の活用により得た利益は、発明者の権利を尊重し、適切な配分ルールを定める。

また、知的財産の活用、共同研究・受託研究など産学官連携事業の実施にあたっては、円滑な協力を実現できるよう、これらに係る各種の契約書式を整備する。本学に帰属する知的財産権の管理と運用は、事務局総務部研究協力課が行う。

獨協医科大学産学官連携ポリシー(学外組織等との学術研究提携等に関する規則)

獨協医科大学の教育・診療の向上及び研究の発展のために、学内における教育・診療・研究体制の改革と並び、学外の組織等との学術交流及び学外資金の導入がますます必要となってきた。しかし、学外との学術研究提携等が確固とした方針に基づくことなく推進されるならば、大学における研究教育を歪め、大学の存在理由を失わせるおそれがある。大学はその主体性と独自性を保持しつつ、正しく学外との学術研究提携等を発展させることを目的として、ここに本規則を制定する。

ガイドライン

本学において、学外組織等との間で学術研究提携等を行うにあたり準拠すべき基本原則として、次のガイドラインを定める。

  • 学問の自由及び独立を守ること。
  • 世界の平和及び人類の福祉に貢献する研究を行うものとし、軍事研究及び軍事開発は行わないこと。
  • 本学における教育・診療の向上及び研究活動の発展に寄与すること。
  • 研究成果の公表を禁止された秘密研究は行わないこと。
  • 社会的に公正であること。
  • 関連資料を開示の上、民主的な手続きに基づき、提携等に関する意思決定を行うこと。