学長挨拶

獨協医科大学 学長 吉田 謙一郎
獨協医科大学
学長 吉田 謙一郎

獨協医科大学が所属する学校法人獨協学園は、明治16年(1883年)に設立された獨逸学協会学校にルーツを有し、140年の歴史を持つ我が国でも有数の歴史と伝統を持つ学園であります。獨逸学協会学校は、設立以来医学界へ多くの人材を輩出しており、医学の進歩や社会の変化に対応し得る医学教育を念願して昭和48年、栃木県壬生町に設立されたのが獨協医科大学です。翌年4月には附属高等看護学院(現:附属看護専門学校)が設立され、7月には大学病院が診療を開始いたしました。昭和59年には埼玉県に越谷病院(現:埼玉医療センター)、平成18年には鬼怒川温泉を控える栃木県藤原町(現:日光市)に日光医療センターが開設され、それぞれ地域医療に大きく貢献しております。さらに、平成19年には看護学部の開設、平成23年には助産学専攻科の開設、そして平成24年には大学院看護学研究科が開設され、医学部と看護学部という医科大学の両輪が揃いました。その後は埼玉キャンパスの充実を図り、附属看護専門学校三郷校の開校(平成27年4月)、越谷病院の隣地2,500坪の取得に伴い、200床増床と22室の手術室を有する411床の外科系病棟の新設がなされました。本学は新進気鋭の医科大学ですが、伝統の上に立ち、開学以来、「人間性豊かな医師及び看護職者の育成」を理念に掲げ、4,700名を超える医師と、5,500名を超える看護師を世に送り出し、3病院の地域医療への貢献とともに、医科大学としての存在意義を、着実に果たしております。

本学3病院は、大学病院が1,195床、埼玉医療センターが928床、日光医療センターが199床で、全国的にも最大規模の病床数です。ここ数年の特記事項としては、大学病院にはスポーツ医学センターやリプロダクションセンターが設置されたほか、県内唯一のドクターヘリの基地病院として、地域の救急医療のため活躍しています。埼玉医療センターには低侵襲治療センター、総合患者支援センターなどが開設され、増床とあわせ地域の基幹病院としての存在感を増しております。日光医療センターは令和5年1月より日光市森友に移転新築いたしました。国際観光都市日光の基盤病院として、地域医療連携推進法人と連携し、急性期医療からリハビリテーションまで切れ目のない医療サービスを提供しております。

教育面では、入試改革、教育の高度化に取り組んでおり、令和2年度大学改革推進等補助金に本学が申請した「データ一元管理とAI解析を用いた学修の最適化と無限学習を目指す大学改革事業」が採択されました。首都圏以外の私立医大の採択は本学のみであり、AI解析により、一人ひとりの学生に適したきめ細かな学習支援を全学的に実施することができる仕組みづくりに取り組みます。研究面では、先端医科学統合研究施設を設置し、研究支援部門も強化しております。

令和5年度は、記念すべき創立50周年の節目となります。本学が更なる飛躍と発展に向けた新たな一歩を踏み出すため、これまで培ってきた50年の基盤を生かしながら新たな創造を見出し、「医科大学として高い教養と専門的能力を有する医療人の育成」、「知の創造としての研究の進化」、「地域社会への最新医療の提供を行う医療センターとしての役割」を果たしてまいります。具体的には教育の変革として、高大接続、教育のスマート化に取り組みます。研究の変革として、大量のデータから新たな価値を生み出す研究を産学連携で進め、ベンチャーの創出を支援します。診療の変革として、3病院のスマート化を加速化し、また、医大全体での4週8休体制の導入、看護師特定行為研修の実施などで、医療の効率化、労働環境の改善に努めます。本学と社会(企業や官)とが、新たなコンセプトで実証できるシステムを構築します。手始めとして、地域の医療について医学部・看護学部と地域社会との間で、共創体制を構築すべく、「地域共生協創センター」を設置し、中間的な視点で、シーズ発掘から事業化までシームレスに行う体制づくりを目指します。創立50周年記念事業としては、現在進行中の看護学部棟の増築、並びに埼玉医療センター管理棟、及び総合教育研究棟(仮称)の建設など、各種プロジェクトを実現させてまいります。

厳しい状況は、今後も継続するものと思われますが、本学は、更なる地域医療貢献に向けて取り組んでまいりますので、皆さまのこれまで以上のご指導・ご鞭撻を衷心よりお願い申し上げます。

令和5年4月