集中治療科

学内教授 長谷川 隆一

診療内容

集中治療科は2018年4月に埼玉医療センター内に新設された診療科です。主にICU(集中治療室)の中で、命の危険が高く病状の重い入院症例を専門に診療しています。診療の進め方は医師に加えて看護師、臨床工学技士、理学療法士、薬剤師、栄養士、ソーシャルワーカーといった多職種による診療チームを形成し、①診療やケアの標準化、②治療の迅速性の向上、③科学的根拠に基づいた治療手段の推進、④ICU入室時から退院・社会復帰を目指した治療計画の策定を行います。また各診療科の主治医と毎日カンファレンスを行って治療方針を決定し、協力して病状の改善に努めます。したがってICUに入室する患者さんは私たちを含めた多数の医師や医療スタッフの診療やケアを同時に享受し、手厚い医療を受けることができます。

診療実績

入院症例(当科は外来診療を行っておりません)
2018年 4月~2019年3月(合計843名)
4月 51名
5月 69名
6月 80名
7月 82名
8月 74名
9月 69名
10月 51名
11月 85名
12月 80名
1月 74名
2月 71名
3月 57名

主に心臓や肺、脳、腹部臓器などの手術後、入院中に病状が悪化してしまった症例などの診療も行っています。

特色

当院ICUの管理モデルは「high-intensity ICU」と呼ばれ、「診療各科が主治医を務め、集中治療医はそれらすべての患者さんの診療に加わる」という形式です。このようなICUでは集中治療医が関わらない場合に比べ、重症例の死亡率を20%近く低下させられることが知られています。
最近は高齢化により複数の疾患を同時に抱える症例が増加していますが、集中治療科はこれらの重症患者の全身管理を各臓器のバランスをとりながら行うトレーニングを受けており『臓器横断診療科』とも呼ばれます。私たちが診療に加わることで様々な障害をひとつひとつクリアして、最終的には点滴注射や機械的なサポートを離脱し、積極的なリハビリテーションや栄養補給を経て身体能力の回復につなげていきます。
一方生命の危機に直結するのが循環器系と呼吸器系の障害です。集中治療医は特にこの循環と呼吸の管理に専門性を発揮し、これらを安定化させることでまず治療に必要な時間を稼ぎます。例えば肺炎の治療では、重症化すると敗血症となり血圧が低下してショック状態となったり、酸素化障害を来して呼吸不全となったりするので、適切な輸液療法や循環作動薬の投与、マスクや気管チューブを介した陽圧人工呼吸を行います。これにより根本治療である抗菌薬の効果が現れる時期まで臓器機能を維持しながら待つことができるのです。
また集中治療医は各診療科の主治医と協力しながら、個人の経験よりも科学的な根拠に基づく治療を心がけています。つまり個々の医師によって判断が異なることはなく、疾患や病態の客観的な把握とそのデータに基づいた標準的な治療を確実に行うことで、最大の効果を上げられるように努めています。これは近年の医療の流れ(エビデンス・ベースド・メディスン;EBM, evidence based medicine)に則った方法であり、私達も様々な学術団体から発信されたガイドラインを参考に集中治療を行っています。

外来担当医および専門分野

氏名 役職/職名 専門分野 指導医・専門医
長谷川 隆一 学内教授 集中治療・麻酔・人工呼吸管理リハビリテーション・医療安全 集中治療専門医
麻酔専門医
多田 勝重 学内講師 集中治療・救急医療・感染症・循環器総合内科 集中治療専門医
救急専門医
病棟医長・医局長/多田 勝重

JIPAD参加について(入院される患者さんへ)

獨協医科大学埼玉医療センターの集中治療科では、一般社団法人 日本集中治療医学会が運営するデータベース事業に参加しています。この事業は、日本の集中治療室に入室した患者さんの疾病や重症度、入室の経路、集中治療室における治療内容、そしてその転帰といった医療情報を収集し、各施設間での比較を行うことによって、医療の質の向上および集中治療医学の発展をめざすことを目的に、日本集中治療医学会 ICU 機能評価委員会が中心となって2014年に開始されたものです。
この事業を通じて国内の患者さんをはじめ世界の集中治療室での、より適切な医療を提供するためにはどうするべきか検討できるだけではなく、当院の患者さんに最善の医療を提供するための参考となる情報を得ることができます。何卒ご理解の上、ご協力を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。

JIPADに登録する情報の内容

集中治療室で行われた治療に関する情報、およびその効果やリスクを検証するための情報(年齢や性別、手術の有無など治療内容等)を登録します。患者さんのお名前を登録することはなく、氏名とは関係のないIDを用いて登録します。IDと患者さんを結びつける対応表は、集中治療科で厳重に管理し本データベースには提供しません。

登録する情報の管理・結果の公表

登録する情報は、それ自体で患者さん個人を容易に特定することはできないものですが、患者さんに関わる重要な情報ですので厳重に管理いたします。集中治療科及びJIPADでは登録する情報の管理にあたって、情報の取り扱いや安全管理に関する取り決め(「有限責任中間法人日本集中治療医学会 個人情報取扱規則」「日本集中治療医学会プライバシーポリシー」「会員の個人情報照会に関する取扱指針」)を定め遵守しています。データの公表にあたっては、集中治療医学会が承認した情報のみが集計データとして公表されます。登録するデータがどなたのものであるか特定されることはありません。

登録の拒否や登録情報の確認

データを登録されたくない場合は、登録を拒否して頂くことができます。集中治療科スタッフまたは病院事務までお申し出ください。また、登録されたご自身のデータの閲覧や削除を希望される場合も、同様にお知らせください。なお、登録を拒否したり、閲覧・修正を希望したりすることで、日常の診療等において患者さんが不利益を被ることは一切ございません。

JIPAD担当者の訪問による登録データ確認への協力

当院からJIPADへ登録した情報が正確かどうかを確認するため、JIPADの担当者が患者さんのカルテや診療記録を閲覧することがあります。集中治療科がこの調査に協力する際は、JIPADの担当者と守秘義務に関する取り決めを結び、患者さんとIDの対応や氏名など患者さんを特定する情報を院外へ持ち出したり、口外したりすることを禁じます。
なお本事業への参加に関してご質問がある場合は、集中治療科スタッフにお伝えください
(病院代表番号:048-965-1111)。また、このデータベースに関する詳細な情報は下記に掲載されていますので、そちらもご覧ください。