病院長あいさつ

移転新築後の日光医療センター

獨協医科大学日光医療センター 病院長 安 隆則
獨協医科大学日光医療センター
病院長 安 隆則

日光医療センターは、獨協医科大学病院、埼玉医療センターに加えて三つ目の医科大学付属病院として、2006年、国立珪肺労災病院から移譲され日光市高徳に誕生いたしました。そして、日光市森友の新病院へ移転新築し、2023年1月1日から新たな活動を開始することができました。2023年は、獨協医科大学が創設された1973年からちょうど50年となる節目の年です。この度の病院移転新築に際し、栃木県、日光市、医師会、日光市の皆様のご理解とご協力、特に高徳・藤原地区の皆様に深謝申し上げます。これまで以上に、国際観光都市日光の基幹病院として、地域医療連携推進法人「日光ヘルスケアネット」と連携し、急性期地域医療からリハビリテーションまで切れ目のない医療サービスを提供してまいります。

当センターでは新しく3つの事業を行います。1つ目に、超高齢社会のトップを走る日光地域のニーズに応え、眼科を新設いたします。2つ目に、十分な急性期医療、高度医療を提供するために高度治療室High care unit(HCU)を新設いたします。救急室の隣にヘリポートを設置し、迅速に救急患者を受け入れることが可能となります。3つ目に、県西地区は、栃木県の中でも特に少子高齢化が進んでおり、多種多様な疾患を総合的に診ることができる医師が必要であり、このニーズに応えるため、救急・総合診療科を立ち上げて、人材育成してまいります。

現在、当センターには、診療部門・地域医療部門・中央部門・薬剤部・看護部・医療安全推進部・感染制御部・地域連携・入退院支援センターがあります。診療部門には、呼吸器内科、消化器内科、心臓・血管・腎臓内科、循環器内科、脳神経内科、糖尿病・内分泌内科、膠原病・アレルギー内科、皮膚科、放射線科、病理診断科、外科、呼吸器外科、心臓・血管外科、整形外科、脊椎センター、泌尿器科、眼科、形成・美容外科、麻酔科、リハビリテーション科、救急・総合診療科の計21診療科、地域医療部門の感染症内科、観光医療科、三依診療所を併せますと合計で23科と1診療所にて診療を行っております。

私たちは、医科大学付属病院としての特性を生かして最新の医学技術と最先端の医療機器を備え、中規模病院の小回りの良さを利用して、地域が求める急性期医療と高度医療、そしてリハビリテーションを切れ目なく提供します。特に地域が求める急性期医療には全力で取り組み、「救急車を断らない病院」として栃木県民、周辺医療機関、そして行政から頼りにされる施設を目指します。具体的には、救急車と近隣医療機関からの救急患者受け入れ要請に対して95%以上の受け入れを維持し、年間2,000例の受け入れを目指します。同時に医師や医療スタッフの働き方改革においても真剣に取り組み、適切な人の配置とIoT導入を徹底的に進めていきます。命は規格化を拒みます。したがって、私たちは、患者様1人1人に寄り添ってテイラーメイドの医療サービスを提供していきます。患者様の健康増進にプラスとなることは、多少辛口となりますがはっきり提言させていただきます。

2016年、当センターは栃木県で10番目の災害拠点病院としての指定を受けました。災害拠点病院とは、災害対策基本法に基づいて都道府県知事が指定する病院で、県内や近県で災害が発生し、通常の医療体制では被災者に対する適切な医療を提供する事が困難な場合に、都道府県知事の要請により、傷病者の受け入れや医療救護班(DMAT)の派遣を行う病院です。また2019年に当センターは栃木県で10番目の地域医療支援病院として承認を受けました。紹介患者様に対する高度医療の提供(かかりつけ医への逆紹介を含む)、医療機器の共同利用の実施、救急医療の提供、地域の医療従事者に対する研修の実施を通じてハード面とソフト面で地域医療中核病院としての役割を果たしていきます。

急速に進む超高齢社会とデジタル化、新型コロナ感染症、紛争問題、物価高騰により、医療の分野にも大きな変化の波が押し寄せています。当センターの基本理念である「地域社会の信頼に応える基幹病院として、医療を求める人々におもいやりの心を持って接し、安心・安全かつ高度で良質な医療を提供します」、この軸をぶらすことなく、長期的視野に立ち、変化の波を読みながら医療サービス、教育、研究の仕組みを見直してまいります。

そのために、以下の4つを徹底して実施して行くことを掲げます。

  • 「安心・安全を届ける基幹病院」としての役割、特に救急医療と高度医療の面を発展させます。そのために、日光ヘルスケアネットの一員として近隣施設や壬生大学病院と連携体制を整えます。
  • 国際観光都市日光の基幹病院として国内外の患者を医療ツーリズムや高度医療で集患できる医療レベルと事務対応レベルを整えて、質の高い医療サービス、つまり診断、治療、リハビリ、そして二次ならびに重症化予防活動を提供できる施設を目指します。
  • 医療は、最終的には人と人との繋がりです。看護部では、退院された患者様のうち許可を得た方に、1週間後に「その後、お変わりございませんか」と電話をさせていただいております。このような日常会話を通じて、患者様やそのご家族から頼りにしてもらえ、かわいがってもらえる「顔が見え、声が聞こえる病院経営」を目指します。
  • 大学付属病院として3つの柱である臨床、教育、研究に、自分たちの力量を考慮しながらバランスよく取り組み、毎年結果を出し、かつ更なる高みを目指します。特に、医学生や若手医師、若手医療スタッフの教育に力を入れます。

私たちは、患者様やその家族と真摯に向き合い、元気になって満足して帰っていただけるように全力で、人材育成や院内協力体制の強化、職場環境の向上にも取り組んでまいります。皆様からの病院に対するご意見を是非お聞かせください(管理課 nmc-kanri@dokkyomed.ac.jp)。皆様からの喜びの声は職員に勇気を与え、皆様からの叱咤激励は職員に気づきを与えてくれ、皆様の病院の質の向上につながります。職員一同、信頼される病院をめざし更なる努力をしてまいりますので、今後もご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

令和5年2月

獨協医科大学日光医療センター
病院長 安 隆則