基盤・機能看護学

領域の紹介

基盤・機能看護学では、感染看護学、看護管理学、基礎看護学に関する教育を行っています。感染看護学では、科学的根拠に基づいた感染防止技術を学修し、適切な方法で実践するための技術を身につけます。感染症対策下にある対象が置かれている状況を評価し、必要な看護について学びを深めていきます。看護管理学では、「看護管理」は特別なものでなく、自分自身のマネジメントが基盤となり、一人ひとりの看護職が組織の一員として参画することと捉え、組織と看護師、看護管理の役割について学修します。基礎看護学では、すべての健康レベルにある人々を理解し、より健康で豊かな生活を送れるよう最善な援助を行うために必要となる基本的な知識・技術・態度を学修します。看護学に関する基本となる考え方、人間・環境・健康・看護についての概念、看護の歴史と変遷を学び、未来の看護学に向けて自らができることをディスカッションを通して考えます。また、主体的学修を促進すべくアクティブラーニングを導入した演習形態により、生活の援助者としての基本的看護技術の修得をめざしています。
基礎看護学の学びを基盤とし、感染看護学と看護管理学では対象や範囲を発展させます。

担当科目

看護学原論

「看護とは何か」という看護の概念を学問的にとらえる看護学入門の科目として位置づけられています。看護の本質、看護の役割と機能、看護の方法論等、看護実践の基盤となる知識について学修します。また、看護の歴史的な変遷をたどりながら看護職の可能性と責務について学び、これから展開していく看護学全体の学びに対する動機づけとなるようにします。

キャリアデザイン

自己の問題意識を言語化し、社会への還元などの視点をふまえ、自身のキャリアをデザインしていくプロセスを学修します。また、自己を内省し、仕事を通じて実現したい将来像を描き、必要となる素養や能力について考察します。

日常生活援助論

生命を守り(安全)、日常生活を支え(安楽)、その人を尊重しながら(自立)、人々の持てる力を最大限に活用している状態の実現をはかるために、日常生活行動が阻害された対象への科学的根拠に基づいた基本的な援助技術を学びます。

診断-治療援助論

様々な援助場面に共通する感染予防の技術や、診断・治療過程にある対象への科学的根拠に基づいた基本的な援助技術を学修します。

看護学基礎実習

療養段階にある対象者に対して実施される日常生活援助および診断・治療に伴う援助を見学し、その人の意思および権利を尊重した関わりについて考えながら、患者-看護者関係を形成する基礎的能力を修得します。

看護過程展開論

健康上の問題や障害をもつ人々の生活上のニーズや諸問題を明らかにし、その解決に向けた的確な看護援助を提供するための問題解決のプロセスを学びます。

フィジカルアセスメント

対象の健康問題を把握するために必要な技術であるフィジカルアセスメントについて学修します。
各発達段階の特徴を理解し、人体の構造と機能に基づく系統的フィジカルイグザミネーションについて学修します。さらに、フィジカルイグザミネーションを通して得た情報を分析し、対象の状態を判断・予測する過程を学修します。

日常生活援助実習(現行カリキュラム:基礎看護学実習Ⅱ)

健康問題を有する入院患者を受けもち、看護過程を展開します。看護過程に沿って援助を実践することを通して、看護の対象を統合体として理解し、その人に必要で適切な看護を実践します。

看護管理

看護管理の基本的な考え方やシステムのあり方など、看護管理の役割と機能について学修します。また、看護の質保証の視点から、医療安全・感染制御のための基礎的知識について学修します。

看護専門職論

専門職とは何かについての理解を深め、看護の専門性を追求し、看護職者に求められる役割と責任について学修します。また、専門職として成長するプロセスやキャリア形成に関する基礎的知識について学修します。

卒業研究のテーマ

  • 自然風景の映像を視聴して実施する運動が心身へ与える影響
  • 化学療法による口腔粘膜炎に対するゴマ油の効果について
  • 看護大学生の臨地実習における対人ストレスとストレスコーピングの傾向
  • 外来通院をしている慢性疾患患者の回復意欲を高める看護師の関わり
  • 若年冷え症女性におけるフットマッサージの効果-自律神経活動指標、皮膚温による評価-
  • 新型コロナウイルス感染症拡大下における看護学生の実習中のストレス
  • 擦式手指消毒薬の擦り込み時間による消毒効果の差の検証
  • 新人看護師のストレスと対応
  • 新人看護師のリアリティショックと対応
  • 就業継続意思に影響する職場の人間関係
  • 臨地実習における看護学生のインシデント体験の振り返り
  • 看護学生の病院勤務継続を目指した就職先決定要因

総合実習のテーマ

  • 基礎看護技術の修得と向上
  • 専門看護師・認定看護師の役割と活躍の場
  • 感染管理担当看護師の活動と病棟における感染対策の実際
  • 臨地実習における看護学生のインシデント体験の振り返り
  • 組織横断的活動の視点から看護管理の実際を学ぶ

社会活動

  • 新人看護師移行期支援:令和5年度から、獨協医科大学病院、獨協医科大学附属看護専門学校と協働で新人看護師移行期支援を開始しました(令和6年度日本看護管理学会より研究助成を受けて実施しています)。この取り組みは3年間の継続的な取り組みを予定しており、教育機関と臨床が協働して新人看護師の移行支援を行うことで、新人看護師および実地指導者へのサポートに対する具体的示唆を得ることが期待できると考えています。
  • からだのおはなし会:体は人間の存在の基本であり、子どもの時から、体のこと、すなわち自分のことを知ることは大切です。体の知識は5歳から理解できるといわれています。自分の体について知ることは、健康になるための基本であり、体を知ると自分や周りを大事にできるようになると考えます。からだのおはなし会では、地域で生活する5-6歳児の子どもが体について学ぶ環境をつくり、子どもたちとその保護者に対するからだ教育を行っています。
  • Advanced Practice Nurse(APN)看護研究会:現在取組んでいる、あるいはこれから取組もうとしている看護研究について、建設的かつ自由な意見交換を行い、自己の看護研究を推進する糧とすることを目的としています。研究相談や研究報告、SPSSの基本操作演習を行っています。

教員紹介

教授 新井 龍
准教授 上田 理恵
准教授 河野 かおり
講師 遠藤 恭子
講師 茅島 綾
講師 齋藤 道子
助教 山本 典孝