診療部長 |
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井原 裕 |
こころの診療科
はじめに
当科は、「薬に頼らない」「児童・思春期も診る」といった他院にない方針を掲げており、そのため受診希望者が多く、初診までの待機期間が延長しています。当科予約日までは、当科医師外勤先にて一時的に診る、もしくは、いったんはセカンドオピニオン外来にお越しいただき、現在通院中医療機関と協力するなどの対応策を行っております。ご不便をおかけいたしますが、なにとぞご寛恕のほどをお願いいたします。
今後も、うつ病・不安障害・不眠症、不登校・引きこもり、発達障害、多動性障害などでお困りの方の診療をお引き受けいたします。 まずは、お電話にて事情をうかがわせていただきます。(月)から(金)の12:00~15:00、当院(048-965-1375)「こころの診療科外来」までどうぞ。
診療内容
当科は本邦の大学病院で唯一の「薬に頼らない精神科」です。患者さんは、精神科に薬物療法だけを求めているわけではないはずです。薬物療法偏重(いわゆる「薬漬け」)の現状に抗して、私どもは一石を投じるべく療養指導・精神療法中心の治療をめざしています。過量処方に疑問をお感じの患者さん、強力な薬物療法を希望しない患者さんは、どうぞ当科へおこしください。
特色:薬に頼らない治療
薬は使わないわけではありませんが、必要な範囲にとどめています。外来患者さんの約40%は「投薬なし」です。薬物療法よりも、睡眠や生活リズムをめぐる療養指導に力を入れています。「無理なく、無駄なく、穏やかに」ヘルシーな生活を送ることで、はつらつとした日々を取り戻しましょう。
うつ状態を呈する精神障害には、うつ病・適応障害・不安障害など、さまざまなものがあります。そして、そうした患者さんは、男性でも女性でも、若年でも中年でも高齢でも、睡眠不足、不安定な睡眠相、過度の飲酒(成人の場合)、運動不足、対人交流の乏しさなど、生活習慣上の問題を伴っていることがほとんどです。医師の指導のもと、それらを少しずつ是正していけば、必ずしも薬物を使わなくても軽快していきます。もちろん不眠症の場合にも、就床・起床パターンと日中の活動量の見直しによって、依存性の高い睡眠薬を使わなくても治っていきます。
不登校の場合、学校不適応にくわえて、「よいっぱりの朝ねぼう」となっている場合があります。まずは、睡眠・覚醒時間を正常化します。次に、遅れての登校、相談室登校、部活のみの登校など、ご本人の事情に応じて実現可能性の高いものを探っていきます。必要に応じて、塾通い、フリースクール、単位制高校への転校なども考慮します。
不登校・引きこもり・学業不振の背景には、発達障害が隠れていることがあります。当科では、公認心理師と連携しながら、必要に応じて各種心理検査を行っています。
自閉症スペクトラム障害(アスペルガー障害を含む広汎性発達障害)の場合、対人関係におけるコーチングが治療の中心です。患者さんにとって、得意なことは、ある知的テーマについて深く追求すること、苦手なことは、人のこころを察することです。したがって、得意なことをどんどんやって自信を深め、同時に、苦手な対人場面での対処方法について、一緒に考えていきましょう。
注意欠陥・多動性障害(ADHD)の場合、多動性を吸収してくれるものがあれば、問題は軽減します。できることを個性に応じて探し、建設的な活動性を表現していきましょう。ただし、ゲームへの没頭はよくありません。楽器、ダンス、スポーツ、コンピューター、絵、工作、そろばん、料理など、将来につながるような、自己表現の喜びと心地よい疲労感を感じられる「何か」を探しましょう。
当科では、就業継続と並行して治療を行います。こころの健康を守る際に、ビジネスパーソンとしての可能性を損ねることがあってはいけません。ストレス状況の回避は一時的な効果しかもたらさず、長期の自宅療養は能力低下をまねきます。そこで、当科では、長期休職を控え、産業医や事業者と診断書・診療情報提供書等を介して密に連携し、「条件付き就業継続」の具体案を示すことで「働きながら治す、治しながら働く」ことを支援します。その際は、働き方改革関連法、労働安全衛生法等の労働関連法規に基づき、事業者側に専門家意見を提案します。
お問い合わせ
当科は、初診・再診とも全例予約制です。また、原則として、他の医療機関からの紹介状をお持ちの患者さんと当院診察券をお持ちの患者さん(院内他科受診歴のある人)を優先しております。年齢については、すべての世代の方を受診させていただいております。
まずは、お電話にて事情をうかがわせていただきます。(月)から(金)の12:00~15:00、当院(048-965-1111)「こころの診療科外来」までどうぞ。
セカンドオピニオン外来
なお、セカンドオピニオン外来をご希望の患者さんは、主治医の紹介状(診療情報提供書)をお持ちください。患者さんとご家族の両方からお話をうかがうとともに、紹介状(診療情報提供書)の情報を参考にしながら、当科医師の精神医学的判断および意見を提供いたします。
まずは、当院(048-965-1147)「総合患者支援センター・医療連携部門」にご一報ください。
他の医療機関の主治医の先生方へのお願い
埼玉県東部地域においては、精神科を擁する総合病院は当院だけです。当科は、190万人を超える巨大医療圏における唯一の総合病院精神科となっております。そのため、現在、総合病院にのみ可能な診療(うつ病・不安障害・不眠症、不登校・引きこもり、発達障害の外来治療、身体疾患闘病中の方のこころのケアと治療)に専念しております。
一般精神科医療機関(統合失調症、認知症など)にても治療可能な患者さんについては、原則としてそちらでの診療活動を尊重させていただき、当科としては診療を控えさせていただいております。したがって、他の医療機関からの紹介患者さんは、診察の結果、紹介元にお戻りいただくことがございます。
総合病院精神科と一般精神科医療機関との機能分担にご理解いただき、なにとぞ、お許しのほどをお願い申し上げます。
精神科・心療内科の先生方におかれましては、難治性うつ病・治療抵抗性うつ病・双極Ⅱ型障害の患者さんをふるってご紹介ください。なお、当科は精神科の入院病床がありませんので、入院が必要な患者さんのご紹介はお控えください。
小児科の先生方におかれましては、不登校・引きこもり、発達障害、プラダー・ウィリー症候群などの患者さんは、どうぞご紹介ください。
≪Psychiatric Practice in English≫
Dr. IHARA Hiroshi and Dr. NAKANE Elina offer English psychiatric practice and happy to consult with patients from overseas. Dr. IHARA is currently Professor of the Department of Psychiatry, Saitama Medical Center, Dokkyo Medical University, has thirty-seven years of clinical experience. Dr. NAKANE is an Assistant Lecturer of the Department with eleven years of psychiatric experience and two-years of research career in New Zealand. Both psychiatrists have treated a variety of mental disorders, including depression, anxiety, sleep, obsessive-compulsive, and autistic disorders, and ADHD (attention-deficit hyperactive disorder). Their approach to clinical practice involves creating an ideal balance between pharmacotherapy and psychotherapy. Since many patients with mental problems also suffer from circadian rhythm disturbances, they employ an approach guided by social rhythm therapy. This approach emphasizes that maintaining regular rhythm in daily activities can reduce symptoms of depression and anxiety, build up mental resilience against psychosocial stress, and improve quality of life. Keeping this in mind, mental symptoms such as depression and anxiety cannot be treated with medication alone, despite their biologically based nature. Hence, they propose lifestyle alteration and the development of consistent habits, such as sleeping, waking, and eating meals at regular hours and working and exercising on a routine basis.
With Japanese national insurance (30% co-pay), your first visit will cost app. 2,500~3,000JPY. For each of consecutive visits, it will be app. 1,500JPY.
Inquiries concerning psychiatric practice in English can be addressed to Saitama Medical Center by phone: 048-965-1111.
外来担当医とその専門分野
氏名 | 職名 | 専門分野 |
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井原 裕* | 主任教授 | 思春期精神医学、うつ病、プラダー・ウィリー症候群 |
斎間 草平* | 学内講師 | 臨床精神医学、思春期精神医学、うつ病、プラダー・ウィリー症候群 |
中根 えりな* | 病院助教 | 臨床精神医学、思春期精神医学、精神腫瘍学 |
江畑 琢矢* | 病院助教 | 臨床精神医学、思春期精神医学 |
永山 有希 | 病院助教 | 臨床精神医学 |
赤松 直哉* | 病院助教 | 臨床精神医学 |
岡田 哲朗* | 病院助教 | 臨床精神医学 |
長田 紀大* | 病院助教 | 臨床精神医学 |
吉田 友莉子* | 病院助教 | 臨床精神医学 |
沖本 信太朗* | レジデント | 臨床精神医学 |
儀藤 政夫 | 非常勤講師 | 臨床精神医学 |
田中 伸一郎 | 非常勤講師 | 思春期精神医学、うつ病、リエゾン精神医学 |
近藤 忠一 | 非常勤助教 | 臨床精神医学、思春期精神医学 |
佐藤 圭吾 | 非常勤医 | 臨床精神医学、発達障害 |
尾形 広行* | 公認心理師 | 心理臨床、プラダー・ウィリー症候群 |
外来曜日別診療医一覧表
月曜日 | 火曜日 | 水曜日 | 木曜日 | 金曜日 | 土曜日 | |
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医 師 |
(初診・再診) 井原 裕 教授 沖本信太朗医員 齊間草平 医員 岡田哲朗 医員 |
(初診・再診) 永山有希 医員(救命) 長田紀大 医員(非) 赤松直哉 医員 儀藤政夫(非)講師 |
(初診・再診) 齊間草平 医員 江畑琢矢 医員 赤松直哉 医員 五明佐也香医員 中根えりな医員 |
(初診・再診) 井原 裕 教授 永山有希 医員(救命) 岡田哲朗 医員 沖本信太朗医員 |
(初診・再診) 江畑琢矢 医員 岡田哲朗 医員 沖本信太朗医員 中根えりな医員 |
(初診・再診) 井原 裕 教授 江畑琢矢 医員 佐藤圭吾(非)医員(月1) 齊間草平 医員 近藤忠一 医員(非) 赤松直哉 医員 |
心 理 士 |
尾形広行 臨床心理士 | 尾形広行 臨床心理士 | 尾形広行 臨床心理士 | |||
備 考 |
◎ 再診の患者さんの予約変更は下記にご連絡ください。 |
令和6年12月現在
048-965-1375