診療部長 |
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神野 哲也 |
整形外科
診療内容
整形外科は主に首から下の運動器の機能的改善を重要視して治療をする外科です。運動器とは身体の芯になる骨・関節などの骨格系と、それを取り囲む筋肉やそれらを支配する神経系があります。
当科では股関節、膝関節、足部・足関節外科、脊椎、小児整形外科、スポーツ整形外科、外傷の各グループにわかれて専門性を高めつつ、お互いに連携して高いレベルでの診療・研究を心がけています。
特色
人工股関節全置換術は、疾患の状態に応じて、前方進入法、後方進入法などの各種進入法を用いて最適な関節再建を図ります。通常の初回置換術の場合は、筋非切離・低侵襲手術により術直後から動作制限不要とし、速やかに"forgotten joint"(何ら意識しない関節)となることを目指します。両側適応例における両側一期的人工股関節全置換術は約20年の経験があり、除痛のみならず可動域改善においても良好な成績を得ています。
小児を含む若年者の形成不全性股関節症や大腿骨頭壊死症に対しては、各種骨切り術(寛骨臼回転骨切り術、Chiari骨盤骨切り術、大腿骨矯正骨切り術など)により極力関節温存を図ります。
2023年度より、股関節唇損傷、大腿骨寛骨臼インピンジメント(FAI)の股関節鏡治療も開始致しました。
人工膝関節置換術・高位脛骨骨切り術・鏡視下前十字靭帯再建術を中心に膝疾患の診療・手術を行います。高齢化に伴い患者数が増加している変形性膝関節症に対する人工膝関節置換術とaround knee osteotomyのほか、スポーツ外傷を含む関節鏡手術にも対応します。
ひざに痛みのある方に_最新医療のご紹介
現在、変形性膝関節症に対して数多くの手術療法の選択肢がありますが、患者ニーズは多様化しており、画一的な手術選択のみではニーズに応えられない可能性があります。画像所見のみでなく、ADL・症状・患者ニーズに合わせて、人工膝関節置換術(TKA/UKA)、around knee osteotomy(高位脛骨骨切り術、大腿骨遠位骨切り術、double level osteotomyなど)を選択する、semi-order madeの変形性膝関節症治療を提供することを目標としています。症例によっては、保存治療をお勧めする場合もあります。膝関節外疼痛に対して効果を発揮する痛点ストレッチなどの保存療法は、NHK「ためしてガッテン」 でも何度か紹介されました。
〈自家滑膜幹細胞注射による変形性膝関節症治療およびPRP療法を導入予定です〉 自家滑膜幹細胞は、患者さん本人の関節内滑膜を採取し、体外で抽出、培養して増殖させたものです。自家滑膜幹細胞注射はこの培養細胞を関節内に注射し軟骨の再生を促し、変形性膝関節症の痛みの改善と進行予防が期待できる再生医療です。注射後約30週間で軟骨厚の減少が抑えられたことが科学的に示されています。PRP(多血小板血漿)療法とは、自分の血液中に含まれる血小板の成長因子が持つ組織修復能力を利用し、私たちに本来備わっている「治る力」を高め、治療を目指す再生医療です。
足関節から足趾(あしゆび)にかけての変形、痛み、不安定感などを引き起こす、筋・骨格系の病気やケガを取り扱います。治療においては、カスタムメイドのインソール(足底板)や装具を用いた専門的な保存療法から、関節鏡を用いた小侵襲手術、靱帯再建や矯正骨切りによる関節温存手術、人工関節置換術や関節固定術まで幅広い選択肢から、患者様ごとの病状や生活背景に合わせた方法を提供します。また、足部病変だけに注目するのではなく、股関節・膝関節・脊椎の各専門グループとも協力して、歩行機能全般の改善を目指します
肩から下の部分、腕、肘、手首、指などの上肢全体を専門とする分野です。
手は人間の行動に密接に関わっており、複雑な人間のからだの中でも特に繊細な構造を持っています。そのような複雑な構造の手に関する病気・怪我を専門的に扱うのが手外科です。
当院では、日本手外科学会専門医のもと診療を行っております。手外科専門医は整形外科もしくは形成外科の専門医を取得後にさらに手外科の専門治療経験を数年間積んだ医師が取得できる資格です。また手術をする・しないに関わらず必要に応じてリハビリも行ってまいります。当院には日本ハンドセラピィ学会認定ハンドセラピストが在籍しており、手の専門的なリハビリを行ってまいります。
脊椎脊髄外科学会認定指導医が常勤しており、頸椎から仙椎までの脊椎と脊髄の疾患や外傷を広く取り扱っております。脊柱管狭窄症に対する脊柱管拡大術、変性疾患に対する除圧とインストゥルメンテーションを使用した脊椎固定術、脊柱側彎症に対する矯正固定術、骨粗鬆症性椎体骨折による後彎症に対する装具療法や矯正固定術に力を入れています。特に脊柱変形の手術矯正には積極的に取り組んでおり、学童期・思春期から中高年・高齢者の変形まで幅広く診療しております。成長期にある側弯症患者さんには、身長の伸びを妨げない成長温存手術(Growing rod法)を積極的に実施しております。当科では脊柱変形患者さんに対して良好なアライメント(脊椎の形)を目指した矯正手術を実施しており、また術後の日常生活動作(ADL)に配慮し、腰椎骨盤可動性の温存を考慮した矯正固定術も導入し、より満足度の高い治療を実現しております。また、近年注目を浴びている椎間板ヘルニアに対する椎間板酵素注入療法(ヘルニコア)や内視鏡視下低侵襲手術、疼痛や不安定性の残存する椎体骨折に対するBKP(バルーンカイフォプラスティ)などの小侵襲脊椎手術にも積極的に取り組んでおります。
膝関節グループを中心に各グループのスポーツ障害に対応しています。当科の片柳講師、簗瀬助教は東京オリンピック・パラリンピックの柔道スポーツドクターとして参加します。
小児整形外科は、 大人の一般整形外科の縮小版ではなく、 成長・発育に伴う大人とは違った解剖学的構造や疾患があるため、 大人のための整形外科とは異なった専門的な治療体系が必要となり、 全身を扱っています。 小児整形外科グループは他グループと共同で診療及び臨床研究を行なっています。
救命救急センターにも整形外科スタッフが所属し、各専門診療班と連携しながら重症外傷の治療を行っています。 3次救急を中心に多発外傷や開放骨折に対して治療を行っています。骨盤骨折の症例も多いのが特徴です。四肢開放骨折には創外固定器を使用しながら機能再建に重点を置き治療にあたっています。
研究内容
- 股関節・膝関節における手術療法、保存療法およびリハビリテーションに関する種々の前向き・後ろ向き臨床研究を東京医科歯科大学整形外科・リハビリテーション科と共同で継続しています。
- 大腿骨寛骨臼インピンジメント(FAI)についての全国疫学研究を主導しています。
- 変形性股関節症診療ガイドライン策定・改訂に分担責任者として携わっています。
- 特発性大腿骨頭壊死症の指定難病研究班に参画し、診療ガイドライン策定に携わっています。
- 低侵襲手術に適した人工股関節を欧米との共同研究で開発し、臨床応用しています。
- 米国や国内他施設と共同で人工膝関節の動態解析を行い、インプラントデザインや手術手技を改善し、より良い治療成績を上げることを目指しています。
- 産学共同で日本人向けの人工膝関節を開発し臨床応用しています。
- 正常足関節の基本構造およびバイオメカニクスの基礎研究に取り組んでいます。
- 変形性足関節症の病態や疫学の基礎研究、および保存療法(装具、足底板)と手術療法(人工関節、骨切り術、関節鏡視下手術など)に関する臨床研究に取り組んでいます。
- 足関節捻挫後の遺残障害に関する臨床研究により、特に足根洞症候や距骨下関節不安定症の病態解明と治療法確立を目指しています。
教育内容
当科は埼玉県東部地区の基幹病院の整形外科として診療をおこなっており、近隣の多くの施設からの紹介症例を幅広く受け入れています。また、JR武蔵野線南越谷駅と東武スカイツリーライン新越谷駅の2駅から徒歩3分と公共交通アクセスが良好なため、特殊症例に関しては埼玉県内の他地域や千葉県や栃木県、東京都内からも紹介を受けています。
整形外科は股関節外科、膝関節外科、足関節・足部外科、手の外科、脊椎外科、小児整形外科の専門医・指導医のもと、専門性の高い診療・研究をおこなっており、質の高い研修が受けられます。救命救急センターにも4名の整形外科スタッフが所属し、各専門診療班と連携しながら重症外傷の治療を行っています。
昨今、医師は業務が多いこと、応召義務があることが問題視されており、働き方改革が進められています。生活の多様化に合わせ、医師の働き方も多様な働き方への対応が求められています。当科ではいち早く男性育休の取得を推進し、2022年度は実際に育休制度を活用する男性医師が現れました(⇒育休中の男性医師のコラム 参照)。その他の要望にも柔軟に対応できるように、整形外科全体として取り組んでいます。
外来担当医とその専門分野
氏名 | 職名 | 専門分野 |
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神野 哲也 | 主任教授 | 股関節外科(人工関節、成人・小児の骨切り術) |
栃木 祐樹 | 准教授 | 足の外科(変形性足関節症、足関節鏡視下手術、 スポーツ傷害、成人足部変形) |
渡邊 敏文 | 准教授 | 膝関節外科(変形性膝関節症に対する手術・保存治療) |
片柳 順也 | 准教授 | 脊椎外科 |
猪瀬 弘之 | 准教授 | 脊椎外科 |
杉本 一郎 | 講師 | 外傷外科(救命センター出向) |
垣花 昌隆 | 講師 | 足の外科(麻痺性足部変形、成長期足部傷害)、 小児整形外科(先天性内反足および遺残変形) |
片桐 洋樹 | 講師 | 膝関節外科 |
小谷野 岳 | 講師 | 股関節外科 |
齋藤 龍佑 | 講師 | 膝関節外科 |
塩田 幹夫 | 講師 | 膝関節外科 |
横山 裕之 | 助教 | 手の外科、上肢外傷 |
長束 由里 | 助教 | 股関節外科 |
鈴木 萌 | 助教 | 股関節外科 |
橘 哲也 | 助教 | 股関節外科 |
小沼 宏樹 | 助教 | 脊椎外科 |
簗瀬 司 | 助教 | 脊椎外科 |
田中 寛来 | 助教 | 脊椎外科 |
田山 義樹 | 助教 | 足の外科 |
藤岡 将史 | レジデント | 整形外科一般 |
樋口 和歩 | レジデント(出向) | 整形外科一般 |
篠原 果夏 | レジデント(出向) | 整形外科一般 |
鈴木 章仁 | レジデント(出向) | 整形外科一般 |
大西 健太郎 | レジデント(出向) | 整形外科一般 |
下川 健太 | レジデント(出向) | 整形外科一般 |
忠地 駿 | レジデント | 整形外科一般(救命センター出向) |
片岡 貴昭 | レジデント | 整形外科一般 |
林 直輝 | レジデント | 整形外科一般(救命センター出向) |
安 勇哲 | レジデント | 整形外科一般 |
内田 裕 | レジデント | 整形外科一般 |
髙橋 萌 | レジデント | 整形外科一般 |
宮崎 光 | レジデント | 整形外科一般 |
坂東 燎 | レジデント | 整形外科一般 |
増田 陽子 | 講師(出向) | 関節外科 |
大橋 正典 | 助教(出向) | 関節外科、外傷 |
田中 亮太 | 助教(出向) | 外傷 |
品田 良太 | 助教(出向) | 股関節外科 |
大堀 正明 | 非常勤講師 | 関節外科 |
大山 安正 | 非常勤講師 | 脊椎外科、脊椎変性疾患、脊椎内視鏡下手術、脊椎後側弯症 |
木村 和正 | 非常勤講師 | 手外科 |
速水 宏樹 | 非常勤助教 | 脊椎外傷、外傷 |
松本 和之 | 非常勤医 | 脊椎外傷、成人脊椎変形、脊椎最小侵襲手術、脊椎椎体骨折 |
阿藤 晃久 | 非常勤医 | 脊椎外科、脊椎変性疾患 |
五木田 茶舞 | 非常勤医 | 腫瘍 |
小柳 広高 | 非常勤医 | 腫瘍 |
船内 雄生 | 非常勤医 | 腫瘍 |
早川 景子 | 非常勤医 | 腫瘍 |
黒澤 紀雄 | 非常勤医 | 腫瘍 |
佐々木 亨 | 非常勤医 | 手外科、上肢 |
鈴木 英嗣 | 非常勤医 | 手外科、上肢 |
深堀 賢斗 | 非常勤医 | 足の外科 |
病棟医長/片柳 順也・小谷野 岳 外来医長/渡邊 敏文 医局長/齋藤 龍佑 |
外来曜日別診療医一覧表
月曜日 | 火曜日 | 水曜日 | 木曜日 | 金曜日 | 土曜日 | |
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午 前 |
【股/脊椎/足/小児/上肢】 神野哲也 教授 垣花昌隆 講師 橘 哲也 医員 鈴木 萌 医員 松本和之(非)医員 田中寛来 医員 横山裕之 医員 |
【膝/足/脊椎】 渡邊敏文 准教授 栃木祐樹 准教授 片柳順也 准教授 齋藤龍佑 講師 簗瀬 司 医員 田山義樹 医員 |
【上肢】 神野哲也 教授(第2.4) 大橋正典 医員 田中亮太 医員 阿藤晃久(非)医員 大堀正明(非)講師(第2.4) 横山裕之 医員 大西健太郎医員 |
【股/足/小児/脊椎】 猪瀬弘之 准教授 小谷野岳 講師 垣花昌隆 講師 小沼宏樹 医員 長束由里 医員 |
【膝/股/上肢】 片桐洋樹 講師 塩田幹夫 講師 増田陽子 講師 鈴木 萌 医員 佐々木亨(非)医師(第1.3 .5) 木村和正(非)講師(第2.4) 鈴木章仁 医員 |
【腫瘍(第2.4)】 栃木祐樹 准教授(第1) 猪瀬弘之 准教授(第4) 交代制(脊椎、股、膝) 黒澤紀雄(非)医師(第2) 早川景子(非)医師(第4) 速水宏樹(非)医員(第2) |
午 後 |
片柳順也 准教授 垣花昌隆 講師 橘 哲也 医員 鈴木 萌 医員 田中寛来 医員 田山義樹 医員 |
渡邊敏文 准教授 栃木祐樹 准教授 片柳順也 准教授 齋藤龍佑 講師 簗瀬 司 医員 深堀賢斗(非)医員(第3) 田山義樹 医員 |
【膝/腫瘍(第2.4)】 塩田幹夫 講師 阿藤晃久(非)医員 五木田茶舞(非)医師(第2) 小柳広高(非)医師(第4) 救命(フォロー外来) |
猪瀬弘之 准教授 小谷野岳 講師 杉本一郎 講師 大山安正(非)講師(第4) 長束由里 医員 |
【腫瘍(第1.5)】 片桐洋樹 講師 橘 哲也 医員 救命(フォロー外来) 船内雄生(非)医師(第1.5) |
品田良太 医師 鈴木英嗣(非)医師(第1) |
備 考 |
◎ 事前に予約をお取りください。 |
令和7年1月現在
048-965-4927