化学療法部門

電話(直)0282-87-2453

化学療法部門/外来化学療法室 スタッフ

部門長
別納 弘法
師長
矢口 美奈子

専従看護師10名 薬剤師6名 (認定薬剤師1名) 看護補助1名 事務1名

沿革

外来における抗がん剤治療(外来化学療法)は「自宅で生活しながら」というニーズの高まりにより全国の病院で行われています。
当院では2002年8月に他院に先駆けて設置基準を満たした外来化学療法室を開設しました。2004年8月には専用治療室(19床)を設けました。2006年10月には外来化学療法室は化学療法部門に再編され、入院から外来まで途切れのない治療の実践・管理、化学療法剤の組み合わせ(プロトコールまたはレジメンと呼びます)の登録・承認のほか、教育や啓蒙活動も行っています。2015年以降、新築された教育医療棟5階に3代目となる外来化学療法室を開設(現在、46床で稼働)し、2021年4月には開設以来の総投与件数が10万件に到達、また、単年度(2021年)の投与件数も1万件に達し(グラフ参照)、増加する化学療法のニーズにも十分対応できているものと自負しております(将来的には増床可能な占有スペースあり)。
ソフト面では、いつも同じ顔の看護師・薬剤師・医師が常駐しているという安心を提供しています。また、患者さんから希望のある場合や医療者側から必要と思われる場合には、管理栄養士による栄養指導も受けられます。
外来化学療法室の各種スタッフは、それぞれの立場で研鑽を積んでいますので、担当の先生に聞き漏らしたような事、副作用の心配や自宅での生活の問題など、何でも気軽に相談してください。
環境面では、明るい陽射しの中で治療を受けていただきます。患者さんの好みに応じて、リクライニングシートで談笑したり、大型テレビを見たり、できる治療を受けていただくスペースのほか、治療をお待ちいただくスペース、静かに治療を受けていただくスペース、また、個室も用意しています。

我々の化学療法室では、患者さんに安心安全の上、気持ちよく治療を受けていただく事を最優先に考えておりますが、娯楽設備等のアメニティは最低限のものしかありません。化学療法室の位置づけは、病院と自宅、あるいは病棟と外来の境にあったり、また、病気が進行してしまった患者さんにとっては最後の砦であったり、治療の仕上げとしての補助療法を受けている患者さんにとっては完治までの最後のハードルであったり、と言わば交差点のような所と考えております。治療中の患者さんの状況を把握するためにもお互いの顔の見える治療を目指しています。

我々外来化学療法室のスタッフにとっては、情報提供や統計的な管理も重要な仕事です。看護師だけでなく、専従薬剤師による専門的な薬剤の説明や服薬指導も行っています。各種薬剤の最新の知見、また新たに報告された副作用や有害事象の情報も提供しています。化学療法室には会議室を設けて、すべての抗がん剤に関連する添付文書、服薬パンフレット、最新の文献などを用意しました。診察室以外にも家族を含めた面談や相談室も設けております。

担当科は変わりません

今まで診ていた科が担当科です。外来化学療法室で治療をするからといって突然別の医師に交代する訳ではありません。治療方針の決定や説明・承諾も担当科が行います。
外来化学療法室は実際の投与と管理を行います。ただ点滴を行う場所ではなく、他の診療科とも横断的に協力し、専門的な診療の手伝い、或いは指導、教育、情報の共有などを行います。患者さんからは「新しく頼りになるチームが診療に加わった」と感じていただけるように努力しています。

安全に対する取り組みと治療件数

化学療法室で扱う治療薬の組み合わせ(レジメンと呼びます)は全て登録制になっており、化学療法に関する連絡会議で討議・承認を得たものだけが投与されます。登録の際には各科での投与経験や文献的妥当性の資料提出が求められ、実験的な治療は基本的に許されません。化学療法を受ける場合、前日までに指示内容がレジメンと合致しているか、以前の投与内容と整合性があるか等を薬剤部が確認します。治療室内にも1分以内に結果が判定可能な血算・生化学分析装置が設置されています。投与が決定されると全ての薬剤と患者さんに付けて貰うタグが印刷されます。全てのボトルは投与する毎にバーコードによるデジタル認証を行い、患者さんにも一緒に確認をしていただいています。
投与可される薬剤は薬剤師が二人以上で確認しながら専用の安全キャビネット内で調合を行います。また独自の薬剤庫を備えており、化学療法室に着いてから薬剤の投与までの時間を極力短縮しています。
有害事象が起きた場合、全ての急変処置用の薬剤・器具が用意されており一時救命処置がその場で可能です。血管外漏出等日常起こり得る事象に対しては対応マニュアルを作成し、また皮膚科、口腔ケア外来、形成外科等の専門外来と連携しています。開設以来一度も致命的な急変はありませんが、万が一に備えて他部署とのシミュレーション等も行っています。

適切なベッド管理を行い、なるべく待ち時間をなくした状態で安全な治療を提供しています。新型コロナウィルスへの対策はパーティションの設置やスタッフの教育などは勿論のこと、非接触型医療器具の導入や無菌調剤の徹底、点滴交換時の飛沫防止など万全の対策を講じています。スタッフが大きな声を出さなくてすむように、インターカム(写真参照)も導入しています。

個人情報の保護/費用その他について

外来化学療法部は個人情報保護法の概念を尊重し最大限の配慮を行っています。業務の性格上、データやレジメンはコンピュータで管理されますが、個人データはLANを通じて転送する事を禁止しています。二重パスワード等のソフト上の管理だけでなく、全室個別施錠等可能なかぎりの対策を取り、情報の漏洩を防ぐ努力をしています。
外来化学療法室で行われる診療はすべて保険診療です。保険で認められている外来化学療法診療料、無菌調剤加算、その他基準を満たした上で施設に認められる加算項目が診療代金に算定されます。それぞれは数百円から二千円程度ですが、病状や年齢等により異なります。認定看護師など、特定の有資格者による説明や指導に関しては一部「がん患者指導料」が算定されます。また、他の医療機関や保険薬局との情報共有のために連携管理加算が算定される場合があります。かかりつけの薬局で適切な指導が受けられるように、薬剤毎の危険性などを記載した「薬品情報書」や、当日にどんな点滴をどのようにして行ったかが分かる全ての薬剤の指示内容が文書で配布され、処方箋には血液検査データなどが記載されます。専門的な治療を行う部署の設置および専門治療室への集約化はがん対策基本法の趣旨でもありご了承ください。治療や指導など全ての総額に対して高額療養費制度が適応されます。詳しい計算方法等に関しては必要に応じて医事外来課で説明します。また外来通院における高額医療費貸付制度等、受けられるサービスに関してもお気軽にご相談ください。