泌尿器科

診療内容

特定機能病院及びがん診療連携拠点病院として、
1.先進医療
2.地域連携
3.チーム医療
を積極的に推進しています。

外来診療
  • 数多くの来院患者さんに対応すべく、土曜日を除く毎日医師2〜4人体制(4診療窓口)で診療しております。
  • 基礎的・臨床的な成果に基づき、悪性腫瘍、結石、男性機能、排尿に対して高度で先進的な医療を実施しています。
  • 緊急を要する患者さんに対しては、昼夜を問わず待機・対応しています。
入院診療
  • 入院患者さんは35〜40人です。入院では外科(手術)的な疾患が多いため、各種医療機器を用いて患者さんの状況に応じた手術を選択し治療を行っています。
  • 主たる対象疾患は、腎癌、腎盂癌、尿管癌、膀胱癌、前立腺癌、精巣癌などの悪性腫瘍、副腎腫瘍を含む後腹膜腫瘍、前立腺肥大症、女性での尿失禁を含む排尿障害、尿路結石、尿路感染症などです。
  • 副腎腫瘍、腎腫瘍、腎盂尿管腫瘍、前立腺癌に対する手術においては原則的に低侵襲性を目指し、腹腔鏡下手術を積極的に導入しています。また、美容の観点よりひとつの傷だけで手術を行う、単孔式腹腔鏡下手術(LESS)および腹腔鏡小切開手術(ミニマム創)も症例に応じて導入しています。また、前立腺癌手術においては2012年10月よりロボット支援手術を行っています。同様に、小さな腎癌に対しては、2015年4月よりロボット支援による腎部分切除術を行っています。2021年6月からは、浸潤性膀胱癌に対してもロボット支援手術を導入しています。
  • 進行性がんの患者さんに対しても、積極的に手術療法・化学療法・放射線療法を組み合わせた集学的治療ならびに、緩和治療を行っています。
  • QOLと生存にかかわる進行性膀胱癌患者さんに対しては、なるべく膀胱機能の温存を図るべく、放射線の化学療法と膀胱部分切除を行うべく日々取り組んでいます。
  • 前立腺肥大症の治療には薬物療法に加え、内視鏡的手術設備などの先進医療機器を整え患者さんの状態に応じた手術選択を行っています。尿路性器癌については早期発見とQOLを重視した外科的治療を行っています。
  • 特に前立腺癌については早期発見のもと神経温存手術により、術後の尿失禁、勃起不全の回避に努めています。同種血輸血をすることは殆どない状況です。
  • 尿路結石についてはレーザーを用いた経皮的腎結石砕石術(PNL)、経尿道的砕石術(TUL)などの尿路内視鏡手術と体外衝撃波治療(ESWL)を行っています。原則、ESWLについては外来で行っています。
  • 精索静脈瘤に対する顕微鏡下精索静脈瘤低位結紮術を施行しています。
  • 入院しなくて済む治療は、できるだけ外来通院での診療を目指しています。
  • また癌の薬物療法も病状や患者さんの全身状態により外来にて行います。

治療対象疾患

泌尿器悪性腫瘍
腎腫瘍(腎癌)、腎盂癌、尿管癌、膀胱癌、精巣腫瘍、副腎腫瘍、前立腺癌、後腹膜腫瘍
結石
腎結石、尿管結石、膀胱結石
炎症性疾患
膀胱炎、腎盂腎炎、慢性前立腺炎、間質性膀胱炎、性行為感染症・尿道炎
排尿障害

前立腺肥大症、神経性膀胱、過活動膀胱

先天異常
停留精巣、男性不妊症、精索静脈瘤
勃起障害
男性更年期

主な検査とその説明

診断および治療方針決定のために
  • 臨床一般検査(尿、血液、精液など)他
  • 腎機能検査(クレアチニンクリアランス、レノグラム・腎動態シンチ、腎静態シンチ)
  • 内分泌機能検査(副腎、精巣、前立腺、視床下部・下垂体など)
  • レントゲン検査(腹部単純、排泄性および逆行性腎盂造影、膀胱・尿道造影、血管造影、精管造影、腹部CTなど)
  • 超音波検査(副腎、腎、膀胱、前立腺、精巣など)
  • 特に前立腺ではパワードップラーエコーによる、前立腺癌の検索を行います。
  • RI検査(レノグラム、レノシンチグラム、骨シンチグラムなど)
  • MR検査(副腎、腎、膀胱、前立腺、精巣など)
  • PET検査(悪性腫瘍)
  • 内視鏡検査(膀胱鏡、尿道鏡、尿管鏡、腎盂鏡、腹腔鏡)
  • ビデオウロダイナミクス(膀胱・尿道内圧検査、括約筋筋電図など)
    を行います。
前立腺生検
  • 肛門からの経直腸的超音波撮影により、前立腺癌の疑い部位があれば同部を含め超音波ガイド下に安全に確実に組織を採取し病理組織診断を行います。
  • 20カ所採取法(多くの医療機関では10カ所前後)により、小さな病巣も見逃さない工夫をしています。
下部尿路機能検査(ビデオウロダイナミクスを含む)
  • 神経因性膀胱、尿失禁の正確な診断や、前立腺肥大症の手術前検査には膀胱尿道機能の検査が必要となります。
  • 尿流測定、膀胱・尿道内圧、括約筋筋電図などの尿流動態検査に、尿路造影を組み合わせた最新の検査法や、携帯式の測定装置により診断しています。
  • 尿流測定検査では、通常のトイレに排尿していただくだけで、尿勢の重症度が評価できます。
内視鏡検査
  • 血尿を認める時には尿路(膀胱、尿管、腎盂腎杯)の異常を疑います。
  • 特に無症候性の肉眼的血尿の場合には癌の存在も念頭において、外来で軟性膀胱鏡を施行する場合があります。
  • 上部尿路(尿管、腎盂腎杯)からの出血を認める場合は、見つかりにくい上部尿路癌の早期発見をめざして、短期入院・麻酔下で積極的に尿管鏡検査を行っています。
前立腺癌早期発見への取り組み
  • 当院は、日本泌尿器科学会栃木地方会健診部会および栃木県がん集検協議会前立腺がん検診部会により、前立腺がん検診において精密検査機関に推奨されています。

得意とする治療

特定機能病院として及びがん診療連携拠点病院としての役割を考え、癌の早期発見、生活の質(QOL)を考えた治療、進行癌に対する集学的治療に加え、重度の排泄障害に対しても、各領域での専門性の高い医師が積極的に取り組み成果を上げています。

癌早期発見
  1. 前立腺癌
    質の高い二次検診機関としての役割:一次検診(各市町検診、人間ドックなど)で異常が指摘された患者さんに対し、より詳細なPSAパラメーター(PSA F/T、PSAD等)やパワードップラーエコーMRIを駆使して、前立腺針生検が必要な患者さんを適切に選び出し、癌早期発見に努めています。早期発見により根治療法となる手術療法が可能になるわけです。
  2. 尿路上皮癌
    尿細胞診だけでなく、尿中腫瘍マーカーを利用した非侵襲的早期発見に取り組んでいます。
  3. 副腎腫瘍・腎腫瘍
  4. スクリーニング的に超音波検査を行っています。
生活の質(QOL)を考えた治療
  1. 腎腫瘍
    腎機能温存及び心・循環器系への影響を考慮し、小径腎腫瘍では、可能な限り、腎温存手術(腎部分切除術)を行っています。また、手術は腎摘除術も含めて、腹腔鏡手術もしくは腹腔鏡下小切開手術(ミニマム創手術)をまず第一に考え、腫瘍の進展状況等で困難な場合にのみ通常の切開手術を考慮します。
  2. 前立腺癌
    (1)手術療法:
    ロボット支援手術を中心として、勃起神経温存及び尿失禁予防を図りながらQOLの高い治療を目指しています。ロボット支援手術が向かない患者さんに対しては、腹腔鏡下小切開手術(ミニマム創手術)をおすすめしています。
    (2)薬物療法:
    一般に、前立腺癌は進行が遅く、内分泌療法が有効なため、他の癌と比べると比較的予後のよい癌といえます。しかし、内分泌療法抵抗性となった進行前立腺癌は予後不良とされています。当科では進行性前立腺癌に対し、ステロイド療法など種々のホルモン剤を使用して癌の進行をできるかぎり押さえ込む努力をしています。内分泌療法が無効になった内分泌抵抗性前立腺癌に対しては、抗癌剤を用いた化学療法を行います。また、生活の質(QOL)を重視して可能な限り外来通院で化学療法を行っています。癌の転移などによる疼痛に対しては、非ステロイド性鎮痛薬、オピオイド(麻薬)などで、苦痛の少ない生活が過ごせるよう配慮しています。
    (3)放射線療法:
    骨転移による骨痛には放射線療法が有効であり、放射線療法の活用による苦痛のない生活を目指しています。
  3. 精巣腫瘍
    精巣腫瘍(精巣癌)は日本人男性10万人当たり1〜2人と頻度は極めて低いですが、生下時や20〜40歳の男性で最も多い腫瘍です。精巣腫瘍の組織型は多種多様であり、組織型によりその治療法や予後も異なります。精巣摘除術のみでよいものや、放射線照射、全身化学療法、腹部リンパ節郭清術が必要なものなどがあります。多くの精巣腫瘍は多剤併用全身化学療法に対する感受性が極めて高く、治療成績はめざましく向上しており、転移を有する進行例であっても70〜80%が治癒すると考えられております。しかし精巣腫瘍は生殖年齢に好発するため、化学療法による精子形成抑制や後腹膜リンパ節郭清に伴う射精機能障が問題となってまいります。当科では化学療法開始前に精子保存を行ったり、後腹膜リンパ節郭清に伴う射精機能障害を予防する手術法など、生殖機能保存も重視し、生活の質を保った治療を心がけています。
  4. 膀胱癌
    膀胱癌では手術件数は年間百数十件を数えます。筋層浸潤癌については、原則抗癌剤治療を施行したのちに膀胱全摘術を行いますが、状況によっては、膀胱を摘除せずに済む内視鏡手術と抗癌剤併用の放射線治療を行っています。
  5. 排尿障害治療
    高齢化社会では、生活の質を低下させる前立腺肥大症、尿失禁、過活動膀胱、神経因性膀胱などの蓄尿・排尿機能障害の管理が重要です。これらの疾患に対し、最新の診断法(ビデオウロダイナミクス)と治療法(バイオフィードバック訓練、電気磁気刺激法、尿失禁手術)を行っています。
進行癌に対する治療
新規抗癌剤の積極的活用当科では、通常の化学療法では治療困難となった難治性進行癌に対し、新規免疫療法や分子標的剤などの各種最新薬剤を積極的に導入しています。特に進行性腎細胞癌、進行性尿路上皮癌(膀胱癌・腎盂尿管癌)に対しては、最新の治療を積極的に導入しています。

また、局所進行性であり、他の施設にて手術不可能と診断された患者さんに対しても、消化器外科(上部消化管外科、肝・胆・膵外科)や心臓・血管外科と連携しつつ、患者さんの意向に沿えるよう取り組んでいます。

進行癌に対する治療
難治性の尿道痛・下腹部痛・会陰部痛・排尿痛・頻尿などの症状に対し、各種薬剤や水圧拡張法などを駆使して治療にあたっています。

一般社団法人 National Clinical Database(NCD)の 手術・治療情報データベース事業への参加について

当科は、一般社団法人 National Clinical Database(NCD)が実施するデータベース事業に参加しています。
この事業は、日本全国の手術・治療情報を登録し、集計・分析することで医療の質の向上に役立て、患者さんに最善の医療を提供することを目指すプロジェクトです。
この法人における事業を通じて、患者さんにより適切な医療を提供するための医師の適正配置が検討できるだけでなく、当科が患者さんに最善の医療を提供するための参考となる情報を得ることができます。何卒趣旨をご理解の上、ご協力を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。

NCDに登録する情報の内容
2018年4月1日以降、当科で行われた手術と治療に関する情報、手術や治療の効果やリスクを検証するための情報(年齢や身長、体重など)を登録します。NCDに患者さんのお名前を登録することはなく、氏名とは関係のないIDを用いて登録します。IDと患者さんを結びつける対応表は当科で厳重に管理し、NCDには提供しません。
登録する情報の管理・結果の公表
登録する情報は、それ自体で患者さん個人を容易に特定することはできないものですが、患者さんに関わる重要な情報ですので厳重に管理いたします。
当科及びNCDでは登録する情報の管理にあたって、情報の取り扱いや安全管理に関する法令や取り決め(「個人情報の保護に関する法律」、「人を対象とした医学系研究に関する倫理方針」、「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等)を遵守しています。
データ公表にあたっては、NCDが承認した情報のみが集計データとして公表されます。登録するデータがどなたのものであるか特定されることはありません。
登録の拒否や登録情報の確認
データを登録されたくない場合は、登録を拒否して頂くことができます。当科のスタッフにお伝えください。
また、登録されたご自身のデータの閲覧や削除を希望される場合も、当科のスタッフにお知らせください。なお、登録を拒否されたり、閲覧・修正を希望されたりすることで、日常の診療等において患者さんが不利益を被ることは一切ございません。
NCD担当者の訪問による登録データ確認への協力
当科からNCDへ登録した方法が正しいかどうかを確認するため、NCDの担当者が患者さんのカルテや診療記録を閲覧することがあります。
当科がこの調査に協力する際は、NCDの担当者と守秘義務に関する取り決めを結び、患者さんとIDの対応表や氏名など患者さんを特定する情報を院外へ持ち出したり、口外したりすることは禁じます。
本事業への参加に関してご質問がある場合は、当科のスタッフにお伝えください。また、より詳細な情報は下記に掲載されていますので、そちらもご覧ください。

2018年4月 獨協医科大学病院 泌尿器科
一般社団法人 National Clinical Database(NCD)ホームページ

外来曜日別診療医一覧表

月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日 土曜日
 木島敏樹 講師
 武井航平 医員
 岡﨑明仁 医員
(腎臓外科・一般)
 釜井隆男 教授
 木島敏樹 講師
 植松稔貴 医員
(前立腺・一般)
 安士正裕 教授
 武井航平 医員
 倉科 凌 医員
(腎臓外科・一般)
 国分英利 医員
 大久保尚弥 医員
 福田武彦 (非)医員


(前立腺・一般)
 安士正裕 教授
 植松稔貴 医員
 戸倉祐未 医員
(化学療法外来)
[交代制]
 大久保尚弥 医員
 倉科 凌 医員

2024年4月現在

0282-87-2208