脳卒中センター

外来受付電話 0282-87-2198(脳神経内科外来)

センター長
竹川 英宏
竹川 英宏

診療内容

当センターでは急性期脳卒中(脳梗塞、脳出血、一過性脳虚血発作、くも膜下出血)の疑いがある患者さんを少しでも早く診察、治療を開始するために、2018年4月に設置されました。
急性期脳卒中の初期対応や鑑別はもちろん行いますが、特に超急性期脳梗塞に対してrt-PAによる血栓溶解療法やカテーテルによる機械的血栓回収療法を行います。

診療体制

当センターの専従医師は2名(脳神経内科兼務)ですが、数名の脳神経内科の医師が兼務として従事しています。超急性期脳卒中疑い患者さんが搬送された時は、脳卒中センター医師および脳神経内科の医師が救命救急センター医師とともに初期対応にあたります。

脳梗塞の超急性期で治療が安全にできると判断した場合は、速やかにrt-PAによる血栓溶解療法を行います。またrt-PAの有効性が乏しい患者さん、rt-PAが出来ない患者さんで、適応があると判断した場合は、脳卒中センターまたは脳神経外科の医師によるカテーテルを用いた機械的血栓回収療法を施行いたします。

脳出血の患者さんの場合は、脳神経外科とともに手術適応の判断を行います。また、くも膜下出血の患者さんは速やかに脳神経外科による治療を開始します。

脳卒中はいつ発症するかわかりません。このため、24時間、365日対応できるよう、脳卒中センター専用のPHSを用いて脳卒中センター医師、脳神経内科医師にいつでも連絡が取れる体制を整えています。

急性期脳卒中は入院加療が必要です。ご入院される病棟は脳卒中ケア・ユニット、救命救急センター病棟、脳神経内科病棟、脳神経外科病棟のうち、最も適切な病棟および診療科で入院加療を行います。

治療および成績

2022年度の虚血性脳卒中は一過性脳虚血発作(画像陰性)が27例、脳梗塞が422例でした。脳梗塞の内訳は、ラクナ梗塞46例、branch atheromatous disease15例、アテローム血栓性脳梗塞/脳塞栓症73例、大動脈原性脳塞栓症13例、心房細動による心原性脳塞栓症127例、奇異性脳塞栓症21例、その他の心疾患による脳塞栓症34例、頚動脈・脳 動脈解離19例、大動脈解離4例、感染性心内膜炎6例、原因不明(複数の原因)17例、塞栓源不明16例、その他(がん、血液疾患など)31例と、様々な病型の虚血性脳卒中を診療しました。また、脳内出血は127例、くも膜下出血は64例、脳静脈閉塞症3例でした。

2022年度の脳梗塞に対する超急性期治療数(再灌流療法)は85例(rt-PA静注療法単独45例、機械的血栓回収療法単独19例、t-PA静注療法と機械的血栓回収療法併用21例)でした。残念ながら当院搬送時にすでに大きな脳梗塞が見られ、治療による出血の危険が高く、通常の急性期治療となる患者さんもいらっしゃいましたが、約6割の患者さんは再灌流療法で後遺症なし、またはごく軽度の後遺症のみ(日常生活制限なし)まで改善されました。症状などによっては発見から4.5時間以内にrt-PA静注療法が、発症から24時間以内に機械的血栓回収療法が施行できますが、一刻も早く治療を開始することが何より重要です。脳卒中が疑われたら1秒でも早くご連絡いただければと思います。

特徴・特色

当センターには日本脳卒中学会認定脳卒中専門医・指導医、日本神経学会認定神経内科専門医・指導医、日本頭痛学会専門医・指導医、日本脳神経血管内治療学会専門医が勤務しています。脳卒中は様々な神経の症状が出現しますが、脳卒中以外の神経内科疾患の鑑別にも速やかに対応が可能です。加えて、一部の脳卒中は頭痛を訴えることがありますが、脳卒中以外の頭痛の鑑別にも専門医が力を発揮します。

また脳卒中の診療にはCTやMRI、シンチグラムなどの画像検査に加え、様々な超音波検査が行われます。当センターには日本超音波医学会の超音波専門医・指導医、日本脳神経超音波学会認定検査士も勤務しており、高度な超音波診断による速やかな脳梗塞の原因検索が可能です。

その他

当センターは基本的に救急対応のため外来診療は行っていません。平日、急性期脳卒中の疑いのある患者さんのご連絡は、脳神経内科外来までお願いいたします。脳神経内科外来より当センター医師にすぐに連絡が入るよう体制を整えています。

また当センターには(一社)日本脳卒中学会の栃木県担当委員責任者、(公社)日本脳卒中協会の専務理事、同栃木県支部の支部長が勤務しており、様々な啓発活動を行っています。