再生医療センター

外来受付電話 0282-86-1111(代表)
E-mail saisei@dokkyomed.ac.jp

センター長副センター長副センター長
佐久間 理吏
釜井 隆男
清水 泰生

再生医療センター変遷

吉田謙一郎学長の発案で再生医療プロジェクトが発足後、平成24年4月「再生医療センター」が設立し初代センター長に井上晃男先生が就任されました。平成26年11月25日より再生医療等の安全性の確保等に関する法律(再生医療等安全性確保法)が施行され、当院再生医療センターも、再生医療センター運営委員会を組織し、特定細胞加工物製造許可申請書の届出・許可申請が受理されました。その後当センターでは脂肪組織由来幹細胞(ADRC)をはじめ、様々な細胞源を用いた再生医療を実施しております。

ADRCは骨髄幹細胞に比べ簡便かつ潤沢に細胞を摂取でき、骨髄幹細胞同等の分化能、パラクライン効果を認める優れた再生細胞で、これを用いた再生医療に関して、当院では腹圧性尿失禁や重症虚血肢の治療に実績があります。保険診療ではありませんので、各専門分野で臨床治験や臨床研究として実施しております。泌尿器科では腹圧性尿失禁に対する治験を8例施行し、有効性、安全性を確認しております。また心臓・血管内科/循環器内科では重症虚血肢(閉塞性動脈硬化症、バージャー病、膠原病による末梢血管炎等)に対する血管新生療法として臨床試験に参加し、こちらも5例施行し有効性、安全性を確認しております。その結果、第2種再生医療として承認されました。また、第3種再生医療としてADRCを用いた乳房再建術の計画書も承認されております。

ADRC以外の細胞源を用いた再生医療として、口腔外科では多血小板血漿(PRP)を用いた顎骨・歯槽欠損に対する組織修復治療を自由診療として実施しております。また総合周産期母子医療センターでは新生児低酸素脳症に対する、自己臍帯血幹細胞(CD34陽性細胞)治療の臨床試験に参加しております。整形外科では変形性関節症や、スポーツ傷害(筋・腱・靭帯)を対象とした自家多血小板血漿(PRP)注入療法を自由診療として実施しております。

2019年からMuse細胞(Multilineage-differentiating stress enduring cell)を細胞源とした再生治療にも注目しております。Muse細胞は東北大学の出澤真理教授により発見されたストレス耐性の多能性幹細胞で、組織傷害に際し骨髄から末梢血を介し傷害部位に選択的に遊走し、自発的分化によって損傷細胞を置換・補充し修復する「生体内修復幹細胞」です。本学先端医科学研究センターでは出澤先生を本学特任教授としてお招きし、Muse細胞に関する基礎的研究をすすめていますが、当センターとして、Muse細胞を用いた再生治療の臨床治験に参加しております。急性心筋梗塞の治験9例と脊髄損傷の治験1例、COVID-19重症肺炎の治験4症例を実施しました。

随時当院再生医療センターで実施可能な臨床研究・治験・先進医療・自由診療・保険診療の情報提供をホームページ上に更新します。

当再生医療センターで提供できる治療(2024.8月現在)
  • 顎骨再生口腔外科では多血小板血漿(PRP)を用いた顎骨・歯槽欠損に対する組織修復治療を自由診療として実施しています。
  • 新生児低酸素脳症に対する、自己臍帯血幹細胞(CD34陽性細胞)治療:総合周産期母子医療センターでは新生児低酸素脳症に対する、自己臍帯血幹細胞(CD34陽性細胞)治療の臨床試験を実施しています。
  • 膝軟骨再生医療:整形外科では膝関節における外傷性軟骨損傷または離断性骨軟骨炎に対する自己軟骨細胞シートによる軟骨再生治療の認定施設となっており、保険診療として実施しております。
  • 変形性関節症・スポーツ障害:整形外科では変形性関節症やスポーツ傷害(筋・腱・靭帯)を対象とした、自家多血小板血漿(PRP)注入療法を自由診療として実施しております。
  • 重症虚血肢による潰瘍・壊疽:心臓・血管内科/循環器内科ではADRCを用いた重症下肢虚血に対する血管新生療法を自由診療として実施しています。
  • 軟部組織の再建:形成外科・美容外科ではADRCを用いた乳房再建術を自由診療として実施しています。
  • クローン病による複雑痔瘻:下部消化管外科(一般外科)では、非活動期または軽症の活動期クローン病による複雑痔瘻に対するヒト体性幹細胞加工製品の認定施設となっており、保険診療として実施しております。
当再生医療センターで提供できる自由診療
  • 顎骨再生
  • 治療内容:多血小板血漿(PRP)を自家骨または人工骨に混合し顎骨・歯槽欠損に充填します。PRPには成長因子が含まれており、組織修復や骨造成の早期治癒を促進する効果が期待されます。
    ①上肢から採血(静脈血約30ml)。
    ②採血した血液を遠心分離機にかけてPRPを生成。
    ③自家骨・人工骨に混合し顎骨・歯槽欠損に充填。
    治療期間:術後1年間の経過観察とX線撮影を適宜行います。
    費用:352,000円(治療と入院期間によって変動、治療回数1回)
    主なリスク・合併症:術後外科侵襲による腫脹・疼痛・創部の感染・神経障害等
  • 変形性関節症・スポーツ障害(筋・腱・靭帯損傷)
  • 治療内容:自己血液中の血小板を濃縮した多血小板血漿(PRP)を関節内や筋・腱・靱帯損傷部に注入します。PRPに含まれる成長因子より抗炎症効果と組織修復効果が期待できます。
    ①外来で採血(静脈血約30ml)。
    ②採血した血液を遠心分離機にかけてPRPを生成。
    ③患部に注入。
    治療期間:注射後は約半年間の経過観察を実施します。PRP注射は希望があれば繰り返し行う事ができます。
    費用:変形性関節症(第2種再生医療等)1回66,000円(税込)
    筋・腱・靭帯損傷(第3種再生医療等)1回55,000円(税込)
    主なリスク・合併症:採血部位の感染・神経損傷、注入部位の一時的な腫脹や疼痛等
  • 重症虚血肢による潰瘍・壊疽
  • 治療内容:皮下脂肪から採取した脂肪から脂肪組織由来の幹細胞(ADRCs)を分離し、虚血肢に筋注することで血管新生を促進する治療法です。
    ①腹部、大腿などから脂肪吸引で脂肪を採取。
    ②脂肪由来再生幹細胞(ADRCs)を分離。
    ③虚血肢にADRCsを筋注。
    治療期間:術後約半年間の経過観察を実施しています。
    費用:98万円(入院期間2週間、治療回数1回)
    主なリスク・合併症:出血、感染、脂肪塞栓、知覚障害等
  • 軟部組織の再建
  • 治療内容:脂肪由来幹細胞(ADRCs)を多く含む脂肪の注入し、軟部組織の債権を実施します。
    ①腹部、大腿などから脂肪吸引で脂肪を採取。
    ②脂肪由来幹細胞(ADRC)を抽出。
    ③吸引脂肪とADRCを混和して注入。
    治療期間:術後約半年間の経過観察を実施します。
    費用:60~200万円(入院期間、必要脂肪量によって変わります。治療回数1回)
    主なリスク・合併症:出血、感染、脂肪塞栓、知覚障害、陥凹変形、嚢胞、形態異常等


ご紹介くださる先生方へ

当センターで提供可能な再生医療は前述のとおりです。対象となりうる患者さんがいらっしゃいましたら是非ともご紹介ください。いずれの場合も入院・精査の上、適応を確認してからの治療になることをご了解ください。また連絡窓口は当センター事務員が担当しております。詳細につきましては各治療実施責任者に確認後改めましてご連絡いたします。

再生医療センターメンバー

顧問 吉田 謙一郎 学長
   井上 晃男      特任教授

施設管理者 病院長 麻生 好正 内科学(内分泌代謝)教授
品質管理部門 佐久間 理吏 内科学(心臓・血管) 教授
製造管理部門 清水 泰生 内科学(呼吸器・アレルギー)教授
衛生管理部門 水島 恒和 外科学(下部消化管)教授

メンバー
青木 琢 外科学(肝・胆・膵)教授
飯田 拓也 形成外科学 教授
井川 健 皮膚科学 教授
石塚 満 外科学(下部消化管)准教授
井上 健一 先端医科学研究センター 准教授
井上 陽晶 薬剤部
岩畔 英樹 非常勤講師
梅川 浩平 形成外科学 講師
瓜田 淳 整形外科学 講師
小尾 正太郎   先端医科学研究センター 准教授
釜井 隆男 泌尿器科学 教授
川又 均 口腔外科学 教授
岸本 聡子 先端医科学研究センター 講師
鈴木 達也 リプロダクションセンター センター長
富沢 一生 整形外科学 講師
豊田 茂 内科学(心臓・血管)教授
中村 祐介 内科学(呼吸器・アレルギー)助教
永瀬 直 臨床研究管理センター
成瀬 勝彦 産科婦人科学 教授
橋本 涼太 内科学(心臓・血管)助教
濱口 眞輔 麻酔科学  教授
福田 宏嗣 心臓・血管外科学 教授
増渕 真澄 手術部(材料部) 師長
八木沢 就真 口腔外科学 助教
山口 剛史 臨床工学部 技士長 
 
(50音順)

海老原 充生 事務担当
小比類巻 歩 事務担当
大森 敦子 CRC担当

2025年2月現在